つわり(妊娠中の吐き気と嘔吐)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
つわりとは、妊娠の初期に多くの妊婦さんが経験する、吐き気や嘔吐などの症状のことです。正式には「悪阻(おそ)」と呼ばれることもあります。食べ物やにおいに対して気分が悪くなるなど、妊娠による体の変化のひとつです。
重要な事実
- 妊婦さんの約7割がつわりを経験すると言われています。
- 多くの場合、妊娠12〜14週ごろまでに症状が落ち着きます。
- 重症化すると「妊娠悪阻(にんしんおそ)」という病気になることがあり、治療が必要です。
はい、とても一般的です。妊婦さんのおよそ70%が、程度の差はあれつわりの症状を感じます。
妊娠した女性なら誰にでも起こり得ますが、初めての妊娠、多胎妊娠(双子など)、以前につわりが重かった方、においに敏感な方などは、症状が強くなりやすいと言われています。
症状
- 吐き気や嘔吐がひどく、水もまったく飲めない、または吐いてしまい水分が取れない
- 尿の量が極端に減り、色が濃い茶色のまま
- 意識がもうろうとする、立っていられないほどのめまい
- 激しい腹痛がある
- 吐血する、または吐いたものに血が混じる
- ⚠妊娠前の体重より5%以上減った
- ⚠1日に何度も吐き、食事も水分もほとんど取れない
- ⚠めまいや立ちくらみが続く
- ⚠おなかの痛みや出血を伴う
一般的な症状
- 吐き気や嘔吐
- 食欲がわかない
- 特定のにおい(食べ物・タバコ・化粧品など)で気分が悪くなる
- よだれが増える
- 胃のむかつきや胸やけ
- 疲れやすさ、眠気
- 軽い頭痛
子供の症状
- つわりは妊娠した女性本人に起こる症状で、子どもに直接現れるものではありません。ただし、お母さんがつわりでつらいときは、家族が家事や食事の準備を手伝うと助けになります。
高齢者の症状
- つわりは年代に関係なく起こります。高齢出産の場合は、妊娠中の体調変化についてより丁寧に相談しながら過ごすことが大切です。
原因
主な原因
- 妊娠によってホルモン(特にhCGというホルモン)が急激に増えることが関わっていると考えられています。
- においを感じる嗅覚(きゅうかく)が敏感になり、日常のにおいで吐き気を感じることがあります。
- 胃腸の働きがゆっくりになり、食べ物が胃に長くとどまることでむかつきが起こることがあります。
リスク要因
- 過去の妊娠でつわりが強かった
- 多胎妊娠(双子や三つ子など)
- 妊娠前に乗り物酔いや偏頭痛を起こしやすい
- 母親や姉妹など、家族につわりが重い人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水も飲めない、または飲んでもすぐ吐いてしまう
- 体重が妊娠前より急に減っている
- 尿が極端に少ない、または色が濃い
- 強い腹痛や出血がある
定期受診を予約すべき場合:
- つわりの症状がつらく、仕事や家事ができない
- 食欲がなく、体重が減ってきた
- 妊娠中の薬やサプリメントについて医師に相談したい
- 定期的な妊婦健診のときに、つわりのことを相談する
診断
つわりは、お話を聞く(問診)と症状の様子から診断されます。必要に応じて、体重測定や血液検査・尿検査、超音波検査などで妊娠の状態や脱水の有無を確認します。
行われる可能性のある検査
- 問診(妊娠週数、症状の程度、食べられるものなど)
- 体重測定(体重減少の確認)
- 血液検査(脱水、電解質、栄養状態のチェック)
- 尿検査(尿中のケトン体や糖の有無)
- 超音波検査(胎児の状態を確認)
診察で予想されること
診察では、あなたのつわりの様子を詳しく聞かれたり、体の状態を調べたりします。治療が必要な場合は、医師と一緒に、妊娠中でも安全に対処できる方法を選んでいきます。
治療
つわりの治療の基本は、症状をやわらげながら、栄養と水分をしっかり保つことです。軽い場合は生活の工夫と休養で過ごします。症状が重い場合は、医師の指導のもとで薬を使ったり、入院して点滴を受けたりすることがあります。
自宅でのセルフケア
- 食事は、1回にたくさん食べるのではなく、少量を何回かに分けて食べる
- 空腹になりすぎないように、寝る前に軽いものを食べておく
- においの強い食べ物(コーヒー、揚げ物、生魚など)を避ける
- 冷たい食べ物や飲み物は、温かいものよりにおいが少なく食べやすいことがある
- 十分に休み、こまめに水分を取る
- 歯磨きをするときは、換気をして吐き気が起きにくい姿勢を工夫する
医療治療
つわりが強く日常生活に支障がある場合は、医師が妊娠中に比較的安全に使える吐き気止めや、ビタミンB6のサプリメントなどを検討することがあります。ただし、薬やサプリメントは必ず医師に相談してから使用してください。自分で市販の薬を判断して使うのは避けましょう。
手術が検討される場合
つわりに対して手術が行われることはありません。ごくまれに重症の妊娠悪阻(にんしんおそ)で入院が必要になることがありますが、脱水や栄養不足の改善のための点滴などが中心です。
この病気と共に生きる
つわりは「我慢すればいい」ものではありません。つらい時は遠慮せずに休むことが大切です。家事や育児の負担は家族に頼み、自分をいたわりましょう。また、つわり中は急に気分が悪くなることがあるので、外出のときは吐き気がしたときに休める場所や方法を考えておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 起床後、ベッドの中で少しゆっくりしてから起きる
- 横になっても気持ち悪いときは、体を少し起こすと楽になることがある
- 食後にうがいをすると口の中がさっぱりして気分が良くなることがある
- 眠いときは昼寝をする。寝不足はつわりを悪化させることがある
食事と運動
食べられるものを食べられる時に食べるのが基本です。ごはん、パン、麺類などの炭水化物は比較的食べやすいことがあります。無理のない範囲で、軽い散歩やストレッチなどを医師に相談しながら行いましょう。激しい運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
吐き気や嘔吐が続くと気持ちが沈んだり、孤独を感じたりすることもあります。「つわりくらい」と我慢せず、パートナーや家族、友人に気持ちを話しましょう。不安が強いときは、産婦人科の医師や助産師に相談することも大切です。
予防
つわりを完全に予防する方法はまだわかっていません。ただし、規則正しい生活、十分な休養、においへの対策などによって、症状をやわらげたり、悪化を防いだりすることができます。
ワクチン
つわりに直接関係するワクチンはありません。妊娠中の予防接種については、医師と相談してください。
検診プログラム
妊娠初期の健診では、母体の健康状態や胎児の成長を定期的に確認します。つわりの症状が強くても、医師と相談しながら必要な検査を受けることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 水分が取れず、脱水症状を起こす
- 栄養が不足して体力が落ちる
- 体重が大きく減り、日常生活ができなくなる
- 「妊娠悪阻」にまで進行し、入院での治療が必要になることがある
長期的な見通し
つわりの症状は、多くの妊婦さんで妊娠12〜14週ごろまでに自然に落ち着いていきます。適切なケアと周囲の理解があれば、妊娠を安心して続けられます。もし症状が重くても、医療者に相談することで助けを求めることができます。つらい時は我慢せず、早めに相談してください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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