妊娠中に仰向けでつらくなる症状(仰臥位低血圧症候群)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠中、特に後期になると、仰向けに寝ると大きくなった子宮が背中側の大きな血管(大静脈)を圧迫して、心臓に戻る血液の流れが悪くなることがあります。その結果、血圧が下がり、めまいや吐き気、息苦しさなどが起こる症状を「仰臥位低血圧症候群」と呼びます。横向きに寝ると多くの場合、症状が楽になります。
重要な事実
- 妊娠20週以降に起こりやすい
- 左側を下にして寝ると症状が改善することが多い
- 多くの場合、体位の工夫で管理できます
かなり一般的な症状で、妊婦さんの約10〜15%に経験があると言われています。特に妊娠後期に多く見られます。
妊娠中の女性に起こります。特に、大きな赤ちゃんができた方、双子などの多胎妊娠、羊水が多い方、体重が多い方は症状が出やすい傾向があります。
症状
- 意識を失った
- 横を向いても症状が治まらない
- 強い胸の痛みがある
- 多量の出血がある
- 激しいおなかの痛みがある
- ⚠横になるたびに強いめまいがある
- ⚠息苦しさが強く、日常生活に支障がある
- ⚠胎動がいつもより少ないと感じる
一般的な症状
- 立ちくらみ
- 息苦しさ
- 動悸(心臓がドキドキすること)
子供の症状
- この症状は妊娠中に特有のもので、子どもには当てはまりません。
高齢者の症状
- この症状は妊娠中に特有のもので、高齢者には当てはまりません。
原因
主な原因
- 仰向けに寝ると、大きくなった子宮が背中側の大静脈を圧迫するため
- 大静脈が圧迫されると心臓に戻る血液量が減り、血圧が下がって脳への血流が減るため
リスク要因
- 妊娠20週以降
- 多胎妊娠(双子など)
- 羊水過多(羊水の量が多いこと)
- 妊婦の体重が多い
- 大きな赤ちゃんを妊娠している
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 横を向いても症状が治まらない
- めまいや息苦しさで動けなくなる
定期受診を予約すべき場合:
- 妊娠中の体調について気になることがあれば、定期健診のときに相談しましょう
診断
妊娠週数や症状の様子を確認し、診察室で横になったときと横向きのときの症状や血圧の変化を確認することがあります。特別な設備が必要な検査は通常ありません。
行われる可能性のある検査
- 血圧測定(仰向けと横向きでの比較)
- 妊婦健診による診察
診察で予想されること
診察では、血圧を測りながら体の向きを変えて症状の変化を確認します。通常は数分で終わり、その場で結果がわかります。痛みを伴う検査はありません。
治療
基本は「仰向けを避け、横向き(特に左側を下にする)で休む」ことです。これで多くの症状は改善します。症状が強く自分で対処できない場合は、病院で安全に管理されます。
自宅でのセルフケア
- 左側を下にして寝転ぶ
- 背中にクッションを入れて、少し横向きになる
- 急に立ち上がらない
- 横になるときは、足を少し高くして休む
医療治療
症状が強い場合は、医師の判断で点滴や酸素吸入などの治療が行われることがあります。また、赤ちゃんとお母さんの状態を確認しながら、安全な方法で管理されます。薬や治療法は必ず医師と相談して決めます。
手術が検討される場合
この症状のためだけに手術が必要になることはありません。帝王切開をする場合は、あらかじめ左側に傾けた体位で手術が行われるなど、血流を保つ工夫がされます。
この病気と共に生きる
妊娠中は、寝るとき以外も、仰向けで長く過ごすのを避け、横向きに近い姿勢を心がけましょう。休むときも横向きが基本です。
生活習慣のアドバイス
- 寝るときは大きめのクッションや妊娠中用クッションを使う
- 昼間の休憩も横向きでとる
- 長時間同じ姿勢を続けない
- 体が楽な服装や下着を選ぶ
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、妊娠中はバランスの良い食事と医師に相談した範囲での適度な運動を心がけましょう。体調が悪くなったら無理をせず、横向きで休みましょう。
精神的健康と心の健康
めまいや息苦しさが続くと、不安になったり、夜うまく眠れなかったりすることがあります。この症状は一時的なことが多く、体位の工夫で改善できることを知っておくと安心です。一人で抱え込まずに、周囲や専門家に相談しましょう。
予防
完全に防ぐことはできませんが、妊娠20週以降は仰向けを避け、横向きに寝る習慣をつけることで、症状をかなり減らすことができます。
合併症
治療しない場合
- めまいで転倒してけがをする
- 血圧が下がりすぎて、一時的に意識を失う
- まれに、赤ちゃんへの血液供給が減り、胎児の状態に影響が出る可能性がある
長期的な見通し
ほとんどの場合、横向きに寝るなどの正しい体位で症状は改善します。妊娠中は注意が必要ですが、経過は良好で、出産後には症状は消えます。医師や助産師のアドバイスに従いながら、安心して過ごしてください。
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最終更新: 2026年7月31日
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