脳卒中からの回復中に起こる吐き気について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
脳卒中(のうそっちゅう)から回復しているときに、吐き気(はきけ)や気持ち悪さを感じることがあります。これは、脳の損傷による平衡感覚(バランス感覚)の問題や、服用している薬の副作用、あるいはリハビリ中の動きによるものが原因となることがあります。吐き気はつらい症状ですが、多くの場合は一時的で、適切な対処により改善します。
重要な事実
- 脳卒中後の吐き気は比較的よく見られる症状です。
- 吐き気は多くの場合、回復の初期に現れ、数週間から数ヶ月で改善します。
- 吐き気を引き起こす原因はいくつかあり、医師と相談することで対策を立てられます。
- 吐き気のために水分や食事が十分に取れない場合は、医療機関に相談することが大切です。
はい、脳卒中後の吐き気は特に回復初期によく見られる症状の一つです。脳卒中を経験した人の約3割から4割が何らかの吐き気を感じることがあると報告されています。
脳卒中から回復中のすべての人に起こりうる症状です。特に、脳幹(のうかん)や小脳(しょうのう)などバランスや吐き気を司る部分に損傷がある場合、または特定の薬を服用している場合に多く見られます。
症状
- 突然の顔や手足のまひ、しびれ(特に片側だけ)
- ろれつが回らない、言葉が出てこない
- 片方の目が見えない、視野が欠ける
- 今までに経験したことのない激しい頭痛
- 意識がもうろうとする、または意識を失う
- バランスを崩して立てない
- ⚠吐き気がひどく、水分も食事もまったく取れない
- ⚠吐き気に加えて強いめまいやふらつきがある
- ⚠吐き気が数日以上続く
- ⚠脱水の兆候(口が渇く、尿の量が減る、立ちくらみ)
- ⚠吐き気とともに新しい神経症状(しびれ、力が入らないなど)が出た
一般的な症状
- むかむかとした吐き気
- 実際に吐いてしまう(嘔吐)
- めまいやふらつきを伴う
- 食欲がない
- 胃のむかつき
子供の症状
- 子どもが脳卒中になることは稀ですが、吐き気に加えて頭痛や嘔吐、意識の変化が見られることがあります。
- 子どもでは脱水になりやすいため、吐き気が続く場合は早めに医師に相談しましょう。
高齢者の症状
- 高齢者では脳卒中後の吐き気が脱水や栄養不足を引き起こしやすいため注意が必要です。
- また、平衡感覚の低下により転倒のリスクが高まることもあります。
- 他の持病(例:糖尿病、心臓病)の影響で症状が強く出ることもあります。
原因
主な原因
- 脳の損傷そのもの:特に平衡感覚や嘔吐中枢(吐き気を感じる部分)が傷ついた場合。
- 服用している薬の副作用:脳卒中後に使われる血をサラサラにする薬や血圧の薬などで吐き気が出ることがあります。
- リハビリ中の動き:頭を動かすことでめまいや吐き気が起こる(良性発作性頭位めまい症など)。
- 胃腸の機能低下:脳卒中後は胃の動きが鈍くなることがあり、吐き気の原因になります。
リスク要因
- 脳幹や小脳の脳卒中
- 脳卒中後の薬を複数服用している
- もともと乗り物酔いしやすい体質
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状(再び脳卒中が疑われる症状)がある場合はすぐに119番通報してください。
- 吐き気がひどく、水分がまったく取れない、または吐いてしまって水分が保てない場合
- 吐き気に加えて意識がぼんやりする、言葉がおかしいなどの新たな症状がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 吐き気が続いて食欲が落ち、体重が減っている
- 吐き気のためにリハビリや日常生活に支障が出ている
- 吐き気の原因が薬かもしれないと感じる場合
診断
医師はまず、あなたの吐き気の症状や経過、現在服用中の薬、脳卒中の種類などを詳しく聞きます。必要に応じて、脳の状態を確認するための画像検査や血液検査を行い、吐き気の原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の詳しい聞き取り)
- 血液検査(脱水や電解質の異常、薬の影響を確認)
- 脳のCT検査やMRI検査(新しい脳卒中がないか、脳の状態を確認)
- 必要に応じて、平衡機能検査や耳鼻咽喉科の診察
診察で予想されること
診察では、医師が吐き気のパターンや原因を特定しようとします。あなたが感じていることを正直に伝えることが大切です。原因がはっきりすれば、それに合わせた対策(薬の変更や生活指導など)を提案してもらえます。
治療
脳卒中後の吐き気の治療は、原因に応じて行われます。多くの場合、吐き気を和らげるための生活習慣の工夫と、医師による適切な薬の調整が中心となります。
自宅でのセルフケア
- 少量の食事を何回かに分けて食べる(一度にたくさん食べない)
- 水分は少しずつこまめに取る(冷たい水やスポーツドリンクが良いこともある)
- 強い匂いのするもの(たばこ、香水、油もの)を避ける
- 横になるときは頭を少し高くすると楽になることがある
- ゆっくりと動作する(急に動かない)
- 新鮮な空気を吸う(窓を開けるなど)
医療治療
吐き気が続く場合、医師は吐き気を抑える薬を処方することがあります。また、現在服用中の薬が原因と考えられる場合、薬の種類や量を調整することもあります。脳卒中後のリハビリ中に起こるめまいに対しては、前庭リハビリテーション(平衡感覚を鍛える訓練)が役立つことがあります。薬の名前や具体的な用量は医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
吐き気そのものを治療するための手術はほとんど必要ありません。ただし、脳卒中後に水頭症(脳に水がたまる)などの合併症が起こった場合は、手術が必要になることがありますが、それは別の治療目的です。
この病気と共に生きる
吐き気があるときは、無理をせず安静にしましょう。食事や水分は少しずつ取ることが大切です。リハビリ中に吐き気が出る場合は、リハビリの前や後に休憩を入れる、食べ過ぎないなどの調整をしてみてください。吐き気が続いても、時間とともに改善することが多いです。
生活習慣のアドバイス
- 食後はすぐに横にならず、少し座っている
- 部屋の中は換気をよくする
- 吐き気が起きやすい時間帯を把握し、活動を調整する
- ストレスをためない(吐き気が悪化することがある)
食事と運動
食事は消化の良いもの(おかゆ、うどん、バナナなど)を少量ずつ取ると良いでしょう。脂っこいものや辛いものは避けてください。水分はこまめに取り、脱水を防ぎましょう。運動は、医師や理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で行ってください。めまいがある場合は、安全に配慮して行うことが重要です。
精神的健康と心の健康
吐き気が続くと、気分が落ち込んだり、不安を感じることがあります。脳卒中後の回復自体がストレスになることもあり、吐き気がさらにその負担を増やすことがあります。気持ちのつらさも大切な症状の一つです。遠慮なく医師や看護師、家族に相談しましょう。必要に応じて、心理的なサポートを受けることもできます。
予防
脳卒中後の吐き気を完全に予防することは難しい場合もありますが、以下のことに気をつけることで症状を和らげたり、悪化を防いだりすることができます。
合併症
治療しない場合
- 脱水(体内の水分が不足すること)
- 栄養不足や体重減少
- 誤嚥(ごえん:吐いたものが気管に入ってしまうこと)による肺炎
- リハビリの進行が遅れる
- 気分の落ち込みや意欲の低下
長期的な見通し
脳卒中後の吐き気は、多くの場合、適切な対応と時間の経過とともに改善します。原因に合わせた治療と生活の工夫で、症状は和らぎやすくなります。回復のペースは人それぞれですが、焦らずに医師やリハビリチームと協力しながら進んでいきましょう。吐き気が続いても、必ず改善の見込みがあります。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月30日
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