抗がん剤治療中に急に現れる副作用
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
抗がん剤は、がん細胞を攻撃するお薬ですが、同時に健康な細胞にも影響を与えることがあります。そのために、治療中にさまざまな体の変化(副作用)が現れることがあります。多くの副作用は治療から数日〜数週間後に現れますが、中には治療中や治療直後に急に現れるものもあります。突然の副作用には、アレルギー反応や発熱、呼吸の苦しさなどがあり、すぐに適切な対応が必要です。
重要な事実
- 副作用の現れ方や強さは人によって違い、すべての人が突然の副作用を起こすわけではありません。
- 突然の副作用には、アレルギー反応、発熱、出血、息苦しさなどがあります。
- 急な体調変化があったときは、ためらわず医療者に連絡することが大切です。
- 多くの突然の副作用は、早めの対応で安全に治療を続けられます。
抗がん剤治療を受ける方の多くが何らかの副作用を経験しますが、突然の重い副作用はそれほど多くはありません。ただし、治療が初めての方や体調によっては、誰にでも起こり得るものなので、注意と備えが大切です。
抗がん剤治療を受けているすべての方に可能性があります。年齢や性別、がんの種類を問わず、治療内容や体調、持病などによって、副作用の現れ方は個人差が大きいです。
症状
- 呼吸が止まる、または極端に苦しい
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- けいれんが止まらない
- 顔色が真っ青で、冷や汗が出る
- 大量の出血が続く
- これらが1つでもあれば、すぐに119番に電話してください
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠息苦しさや強い胸の痛みがある
- ⚠強い吐き気やおう吐、下痢が続く
- ⚠尿が出ない、または血尿が出る
- ⚠急に皮膚の発疹や水ぶくれが広がる
- ⚠急な強い頭痛、視界の異常がある
- ⚠飲んだものをうまく飲み込めない
一般的な症状
- 急な発熱(体温が38度以上)
- 息苦しさ、呼吸がしにくい
- 顔やのど、手足の急なむくみ
- じんましん、かゆみ、皮膚の赤み
- 強い吐き気やおう吐
- 下痢や血便
- 尿の出がにぶい、血が混じる
- 急なめまい、立ちくらみ
- 皮下出血やあざが急に増える
- 意識がもうろうとする
原因
主な原因
- 抗がん剤が、がん細胞とともに、働きの早い健康な細胞(骨髄の細胞、毛根の細胞、口や腸の粘膜の細胞など)にも作用するため
- 抗がん剤の種類や量、投与する速さによって、体が強い反応を示すことがあるため
- 体の免疫反応(アレルギー反応)が起こることがあるため
- 腎臓や肝臓など、お薬を処理する臓器に負担がかかることがあるため
リスク要因
- 抗がん剤治療が初めての方
- 過去に薬でアレルギー反応を起こしたことがある方
- 高齢の方、または乳幼児
- 腎臓や肝臓の働きが弱っている方
- 多くのお薬を併用している方
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急な発熱(38度以上)
- 息苦しさ、胸の痛み
- 意識の変化、けいれん
- 止まらない出血
- 強いアレルギー症状(じんましん、のどの腫れなど)
- そのほか、いつもと明らかに違う体調不良を感じた場合
定期受診を予約すべき場合:
- 吐き気や食欲低下が続くが、我慢できる程度
- 下痢や便秘が数日続く
- 手足のしびれやだるさが生活に影響している
- 口内炎や皮膚のトラブルがある
- 気になる症状があって、心配になったとき
診断
抗がん剤治療を行っている医療機関では、問診、身体診察、血液検査などの結果から、副作用かどうか、どのくらいの緊急性があるかを判断します。突然の副作用のときは、すぐに治療が必要なことがあるため、緊急で検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- 血圧、体温、脈拍、呼吸数などの測定(バイタルチェック)
- 血液検査(血球の数、腎機能、肝機能、炎症の程度など)
- 必要に応じて、胸部X線、心電図、アレルギーに関連する検査
診察で予想されること
医師や看護師が、症状の重さと原因を評価し、必要な治療を始めます。評価が終わるまでは、安静にして指示に従ってください。症状によっては、抗がん剤の投与を一時休んだり、お薬を変更したりすることがあります。
治療
突然の副作用の治療は、まず命にかかわる状態を防ぎ、つらい症状をやわらげることが目的です。医療者は、発熱やアレルギー反応などの症状に応じて、輸液(点滴)、酸素、吐き気を鎮める薬、抗アレルギー薬、消炎薬などを組み合わせて対応します。また、抗がん剤の投与速度を調整したり、一時的に休んだりすることもあります。必ず医師や看護師の指示に従ってください。
自宅でのセルフケア
- 急な症状が起きたら、無理をせず横になり、すぐに医療機関へ連絡する
- 発熱があるときは、水分をこまめに取り、体を冷やしすぎないようにする
- 吐き気があるときは、刺激の少ない食事を少量ずつ試す
- 出血しやすいときは、歯磨きをやさしくし、転んだりけがをしたりしないよう注意する
- 皮膚のかゆみや発疹があるときは、掻かずに清潔に保ち、ゆったりした服を着る
- 体調の変化を日時とともにメモしておき、次の受診時に伝える
医療治療
症状に応じて、水分や栄養を補う輸液、酸素吸入、吐き気を鎮めるお薬、アレルギー反応を抑えるお薬、感染症を治療するお薬などが使われます。これらのお薬は、症状と患者さんの状態に合わせて医療者が選択します。抗がん剤そのものの量や投与の速度を調整したり、治療を延期したりする場合もあります。必ず医師の説明を受け、納得したうえで治療に参加しましょう。
手術が検討される場合
通常、副作用そのものに対する手術は行われません。ただし、副作用が原因で腸閉塞や膿瘍などの合併症が起きて、手術が必要になることはまれにあります。その場合は、担当医が詳しく説明したうえで、最善の方法を一緒に検討します。
この病気と共に生きる
治療中は、体調の変化に気を配り、無理をしすぎないことが大切です。受診先や緊急連絡先をいつでも確認できるようにしておきましょう。また、副作用の記録(症状、時間、食事の内容など)をつけておくと、医療者に正確に伝えやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休養をとる
- 感染を予防するため、手洗いとうがいを徹底する
- 人混みを避けるなど、体調に合わせて行動する
- 禁煙し、アルコールは控える
- 気分転換になる軽い趣味や交流を無理のない範囲で続ける
食事と運動
食欲があるときは、たんぱく質(魚、肉、卵、大豆製品など)や野菜を意識してとりましょう。水分もこまめに飲むのがおすすめです。運動は、医師の許可があれば、散歩などの軽い運動を続けると体力維持や気分転換に役立ちます。体調が悪いときは、無理をせず休むことを優先してください。
精神的健康と心の健康
副作用がつらくて不安になったり、気分が落ち込んだりすることは自然なことです。つらい気持ちを一人で抱え込まず、担当医や看護師に話したり、がん相談支援センターなどの相談窓口を利用したりしてください。必要に応じて、心理の専門家の支援を受けることもできます。
予防
抗がん剤の副作用を完全に防ぐことは難しいですが、事前に治療計画を立て、体調を整えておくことで、重い副作用のリスクを減らすことができます。投与前の血液検査や、治療についての説明をしっかり聞くことが大切です。また、急な変化に備えて、何かあったときの連絡先を確認しておきましょう。
ワクチン
がん治療中は免疫力が低下することがあり、感染症にかかりやすくなります。ワクチン接種の時期や種類は、治療内容や体調によって制限されることがあるため、必ず主治医に相談してください。
検診プログラム
治療中は、副作用の早期発見のために定期的な血液検査や画像検査が行われます。指示された通りの間隔で検査を受けることが、安全な治療の継続につながります。
合併症
治療しない場合
- 重度の感染症(敗血症)を起こし、命にかかわることがある
- アレルギー反応が進行し、アナフィラキシー(全身の強いアレルギー反応)になることがある
- 腎臓や肝臓の機能が低下することがある
- 出血が続き、貧血が重くなることがある
- 脱水や栄養状態の悪化が進むことがある
長期的な見通し
突然の副作用は大変心配になるものですが、多くの場合は早めの適切な対応で症状を抑え、安全に治療を続けることができます。医療者とよく話し合い、無理のない治療計画を進めていくことが大切です。あなたは一人ではありません。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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