Rotavirus vaccine
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ロタウイルスワクチンは、乳幼児に重い下痢や嘔吐を引き起こすロタウイルス感染症を予防するためのワクチンです。経口(口から飲むタイプ)のワクチンで、赤ちゃんの重症化や入院を防ぐ効果があります。
重要な事実
- ロタウイルスは世界中の乳幼児に急性の胃腸炎を引き起こす主要原因のひとつです。
- ワクチンは生後2か月から接種可能で、2~3回の接種で高い予防効果が得られます。
- 日本では2011年から定期接種(予防接種法に基づくワクチン)として推奨されています。
- ワクチンのおかげで、ロタウイルスによる重症な下痢や脱水で入院する子どもの数が大きく減っています。
ロタウイルス感染症はとてもありふれた病気です。ほとんどの子どもが5歳までに少なくとも1度は感染します。
主に生後6か月から2歳までの乳幼児に多く見られます。特にワクチンを受けていない子どもは重症化しやすいです。大人も感染しますが、症状は軽いことがほとんどです。
症状
- ぐったりして意識がもうろうとしている
- けいれんがある
- 水分を受け付けず、まったく飲めない
- 唇や舌が乾いてひび割れている、または皮膚をつまんでも戻らない(重度の脱水の兆候)
- 便に血が混じっている
- ⚠おしっこが6時間以上出ていない
- ⚠嘔吐や下痢が続いて体重が減っている
- ⚠高熱が続く
- ⚠目のくぼみや泣いても涙が出ないなどの脱水サインがある
- ⚠症状が1週間以上続く
一般的な症状
- 水のような下痢(1日に何度も続く)
- 発熱(多くは38℃程度)
- おなかの痛みや不快感
子供の症状
- 激しい水様性下痢(米のとぎ汁のような便)
- 頻回な嘔吐で水分が取れなくなる
- 脱水症状(口が渇く、泣いても涙が出ない、おしっこの量が減る、ぐったりする)
- 高熱(39℃以上)が出ることもある
高齢者の症状
- 大人では症状が軽いことが多く、軽い下痢やおなかの不快感程度で済む場合がある
原因
主な原因
- ロタウイルスというウイルスへの感染が原因です。感染力が非常に強く、少量のウイルスでうつります。
- 主にウイルスが付いた手や物を介して口から入る(経口感染)ことで広がります。
リスク要因
- 生後6か月から2歳の乳幼児(特に免疫力が未熟なため)
- 保育園や幼稚園など集団生活をしている
- 兄弟姉妹がいる家庭
- ワクチンを受けていないこと(最も大きなリスク)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脱水が疑われる(おしっこが半日以上出ない、泣いても涙が出ない、ぐったりしている)
- 便に血が混じっている
- 高熱が続く(39℃以上)
- 水分が全く取れない、または嘔吐が続いて飲んでも吐いてしまう
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢や嘔吐が軽いが、2~3日たっても良くならない
- 発熱が続くがそれ以外の症状は落ち着いている
- 予防接種について相談したい(赤ちゃんがまだワクチンを受けていない場合)
診断
医師が症状と問診から診断することがほとんどです。必要に応じて便の検査(迅速検査)でロタウイルスを特定することもあります。
行われる可能性のある検査
- 便検査(迅速抗原検査):数分で結果がわかる
- 血液検査(脱水の程度を調べるために必要な場合がある)
診察で予想されること
診察では、下痢や嘔吐の頻度、水分摂取の状況、おしっこの量などを詳しく聞かれます。おなかを触ったり、脱水の兆候がないかチェックされます。便の検査が必要な場合は、少量の便を採取して調べます。
治療
ロタウイルス感染症には特別な治療薬はなく、症状を和らげながら自然に回復するのを待つ対症療法が基本です。最も重要なのは脱水を防ぐことです。
自宅でのセルフケア
- こまめに水分を補給する(経口補水液(OS-1など)やイオン飲料が効果的)
- 母乳やミルクは通常通り与えてよいが、嘔吐が激しいときは少量ずつ頻回に
- 消化に良い食べ物(おかゆ、うどん、バナナなど)を少しずつ与える
- おむつかぶれを防ぐため、こまめにおむつを替える
- しっかり手洗いをして、ウイルスの広がりを防ぐ
医療治療
脱水が強い場合は、病院で点滴(血管から直接水分や電解質を補う治療)を受けることがあります。整腸剤や止瀉薬を使うこともありますが、使用するかどうかは医師の判断によります。解熱剤が必要な場合は、医師または薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
ロタウイルス感染症に対して手術が必要になることはありません。
この病気と共に生きる
症状が出ている間は、安静にして水分補給を心がけましょう。下痢や嘔吐は通常3~8日続きます。ウイルスは便の中に長く排出されるため、症状が治まった後も1週間程度は感染力があります。家庭内ではタオルや食器を分け、こまめに手洗い・消毒をしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 手洗いの徹底(石けんと流水で30秒以上)
- おもちゃやドアノブなど触れる場所をアルコール消毒する(ただし、ロタウイルスはアルコールにやや強いため、次亜塩素酸ナトリウムを含む消毒液がより効果的)
- 汚れたおむつはビニール袋に密閉して捨てる
- 症状がある間は、家族は特に注意して感染予防を行う
食事と運動
症状が落ち着いてきたら、いつもの食事に徐々に戻しましょう。激しい運動は避け、体力が戻るまでゆっくり過ごすことが大切です。下痢が続いているときは、脂肪分の多い食べ物や乳製品(牛乳など)は一時的に控えたほうが良い場合があります。
精神的健康と心の健康
子どもの体調が悪いと、親御さんも心配や疲れでストレスがたまることがあります。一人で抱え込まず、パートナーや家族、地域の子育て支援サービスに相談しましょう。赤ちゃんも体調不良で不機嫌になりやすいですが、愛情を持って接することが大切です。
予防
ロタウイルスワクチンを接種することで、重症の下痢や入院を防ぐことができます。ワクチンは100%予防できるわけではありませんが、感染しても症状が軽くなる効果があります。また、手洗いや消毒などの衛生対策も予防に役立ちます。
ワクチン
ロタウイルスワクチンは経口生ワクチンです。日本では2種類のワクチンがあり、いずれも生後2か月から接種可能です。接種スケジュールはかかりつけ医と相談し、決められた回数(2回または3回)を期限内に受けることが推奨されています。
検診プログラム
ロタウイルス感染症に対する特別な健診やスクリーニングはありません。ワクチン接種の有無や症状に応じて、医師が必要に応じて検査を行います。
合併症
治療しない場合
- 重度の脱水症状(命に関わることもある)
- 電解質異常(体内の塩分やカリウムのバランスが崩れる)
- 入院が必要になる
- まれに腸重積(腸の一部が別の腸に巻き込まれる病気)を起こすことがあるが、ワクチン接種でも極めてまれ
長期的な見通し
ほとんどの子どもは、適切な水分補給と安静で1週間以内に自然に回復します。ワクチンの普及により、重症化や入院は大きく減っています。ロタウイルスワクチンを接種することで、お子さんを重い症状から守ることができます。回復後は通常の生活に戻り、特別な後遺症が残ることはほとんどありません。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月20日
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