高齢者の副腎の健康
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
副腎は、腎臓の上にある小さな三角の臓器で、体に必要なホルモンを作っています。ホルモンとは体の機能を調整する化学物質のようなものです。副腎は、ストレスへの対応、血圧・血糖・水分・塩分のバランスを保つ働きに関わっています。高齢になると副腎は少しずつ働きが変わりますが、多くの人は日常生活で困ることはありません。ただし、まれにホルモンが足りなくなったり、逆に多くなりすぎたりすることがあります。
重要な事実
- 副腎は腎臓の上にある小さな臓器で、生命に必要なホルモンを作ります。
- ホルモンはストレス反応、血圧、血糖、水分と塩分のバランスを調整しています。
- 加齢に伴い副腎の働きは少し弱まりますが、ほとんどの高齢者では大きな問題はありません。
- 異常が起きた場合は、薬で調整したり、生活の工夫で対応できます。
副腎の病気自体はまれですが、高齢者では感染症や薬の影響で副腎機能が低下しやすくなることがあります。特に長期間ステロイド薬を使っている人は注意が必要です。
主に65歳以上の人に影響します。特に、慢性疾患がある人、長期間ステロイド薬を服用している人、手術や重症感染症などの強いストレスを受けた人は、副腎機能が低下しやすくなります。
症状
- 意識がもうろうとする
- 血圧が非常に低く、立ち上がれない
- 激しい嘔吐や下痢が続いて水分がとれない
- 強い冷や汗とともに顔色が青ざめ、脈が速い
- ⚠高熱が続く
- ⚠繰り返す嘔吐や下痢で水分が十分とれない
- ⚠普段より極端にだるく、動けない
- ⚠めまいが強く、倒れそうになる
一般的な症状
- 疲れやすさ(倦怠感)
- 食欲不振
- 体重減少
- 低血圧(立ちくらみやめまい)
- 塩分が無性に欲しくなる
- 吐き気・腹部の不快感
- 筋肉や関節の痛み
子供の症状
- 子どもにも副腎の病気はありますが、この記事は高齢者向けです。子どもの場合は発育の遅れや低血糖、血圧の異常などが現れることがあります。
高齢者の症状
- 特に高齢者では、元気がない、何となくだるい、食欲が落ちるなどの目立たない症状が初めに見られることがあります。
- めまいや立ちくらみ、転倒しやすさ、急に混乱する、物忘れが進むように見えることもあります。
- これらの症状は、他の病気や老化のせいだと思われがちで、発見が遅れることがあります。
原因
主な原因
- 免疫の異常によって副腎が障害される(自己免疫性副腎炎)
- 結核などの感染症
- がんが副腎に広がる
- 下垂体の病気で副腎を刺激するホルモンが不足する
- 長期間ステロイド薬を使用した後に、急にやめることで起こる副腎不全
リスク要因
- 高齢である
- ステロイド薬(副腎皮質ステロイド)を長期間使っている
- 糖尿病や高血圧、慢性感染症などの持病がある
- 手術やけが、重症感染症など体に強いストレスがかかった
- 副腎疾患の家族歴がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識がもうろうとする、血圧低下、激しい嘔吐など前の緊急症状に当てはまる場合
- ステロイド薬を服用中の人が、高熱や下痢、けがなどで体調が大きく崩れた場合(薬の量を急に減らさず、すぐに医師に相談する必要があります)
定期受診を予約すべき場合:
- だるさ、食欲低下、体重減少、めまい、低血圧、塩分への強い欲求などが数週間続く場合
- 「何となく調子が悪い」と感じる状態が続き、日常生活に支障が出る場合
診断
医師は、あなたの症状や病歴を詳しく聞き、必要な血液・尿検査を行います。副腎のホルモン値や、電解質(ナトリウム、カリウム)、血糖値を調べます。必要に応じて、負荷試験といって、ホルモンを補充した後の反応を見る検査や、CT・MRIでの画像検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(コルチゾール、ACTH、電解質、血糖)
- 尿検査(尿中コルチゾール)
- ACTH負荷試験(副腎刺激試験)
- CT検査、MRI検査(副腎や下垂体の形を確認)
診察で予想されること
検査は外来で行えることがほとんどです。採血や採尿には時間がかかり、数時間にわたって何度か行うことがあります。結果が出るまで数日から数週間かかる場合もあります。専門の医師(内分泌内科・糖尿病内科)を紹介されることもあります。
治療
副腎の働きが低下している場合は、不足しているホルモンを医師の指示に従って補充します。副腎の働きが高すぎる場合は、原因となる病気の治療や、必要に応じて手術を行います。いずれの場合も、医師と連携しながら長期的に管理することが大切です。
自宅でのセルフケア
- 決められた薬を、指示された時間に飲む。薬を変えたりやめたりしない。
- 規則正しい食事と睡眠を心がける。特に朝食を抜かないようにする。
- 急な激しい運動は避け、体調に合わせて無理をしない。
- 感染症予防のため、手洗いやうがいを欠かさない。
- ストレスがかかるときは、十分な休養をとる。
医療治療
治療は、不足するホルモン(コルチゾールなど)を補充することが基本です。医師が適切なステロイド薬を選び、量や服用タイミングを個別に調整します。また、原因となる病気の治療もあわせて行います。薬の種類や量は絶対に自分で変えず、医師の指示に従ってください。服用中の薬や市販薬も必ず伝えましょう。
手術が検討される場合
副腎の腫瘍などでホルモンが出すぎている場合、手術で副腎の一部または全体を摘出することがあります。手術が必要かどうかは専門医が詳しい検査で判断します。
この病気と共に生きる
副腎疾患の管理は継続的にホルモンを補充しながら、体調の変化に注意することです。指示どおりに薬を服用し、定期的に受診してホルモン値を確認することが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間の食事と睡眠
- ストレスをためない(趣味、散歩、深呼吸など)
- 感染症予防のための手洗い
- 予防接種の相談
- 要注意の症状リストを持ち歩く
食事と運動
塩分のとり方は病気によって異なります。副腎機能低下の人は塩分を多めに必要とすることがありますが、食べすぎはいけません。病気に応じて医師や管理栄養士の指導を受けてください。運動は無理のない範囲で、ウォーキングや軽い体操がおすすめです。
精神的健康と心の健康
疲れやすさや症状の不安から気分が落ち込むこともあります。また、長時間の低血圧や倦怠感は生活の質に影響します。悩みは一人で抱えず、医療スタッフや家族、地域の相談窓口に話しましょう。
予防
副腎疾患そのものを予防することはできませんが、長期間ステロイド薬を使う場合は医師の指示通りに減量することが重要です。感染症や大きなストレスに対しては、副腎不全のリスクを認識しておくと早期に対応できます。
ワクチン
高齢者は特に肺炎球菌やインフルエンザなどの予防接種を医師に相談してください。副腎機能低下のある人にとって感染症は大きなリスクです。
検診プログラム
特定の症状や基礎疾患がある場合は、血液検査で副腎ホルモンの値をチェックすることがあります。症状がなくても定期健診で血圧や血糖、電解質を測定し、異常を指摘されたら相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- ホルモン不足を治療しないと、脱水、電解質異常、心拍リズム異常、低血圧、ショック(副腎クリーゼ)を引き起こすことがあります。
- ホルモン過剰の場合は、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症、感染症への抵抗力低下などにつながることがあります。
長期的な見通し
適切に診断されて治療を受ければ、多くの高齢者が普通に近い生活を送ることができます。薬や生活の工夫を続けながら、定期的に医療機関でフォローアップすることで、急な悪化を防げます。副腎疾患と診断されたからといって、希望を失わないでください。
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重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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