糖尿病の合併症について知ろう
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
糖尿病は、血液の中の糖分(ブドウ糖)が増えすぎてしまう病気です。血糖が高い状態が長く続くと、体の中の細い血管や太い血管、神経が傷つき、目や腎臓、手足、心臓などにさまざまな合併症(さらに起こる病気)が現れることがあります。しかし、合併症は予防したり、進行を遅らせたりすることができます。
重要な事実
- 合併症は初期にはほとんど症状がないことが多く、気がつかないうちに進むことがあります。
- 定期的な検査で、目の網膜症、腎臓の病気、神経障害などを早い段階で見つけることが大切です。
- 血糖・血圧・コレステロールの管理と禁煙は、合併症を防ぐ大きな力になります。
- 日本の厚生労働省は、糖尿病の定期健診と受診をすすめており、自治体の健康診断でも血糖値をチェックできます。
糖尿病は日本でもとても多い病気で、成人のおよそ6人に1人が糖尿病またはその予備群といわれています。合併症もそれにともなって多く見られますが、きちんと治療すれば発症や進行を防げます。
1型・2型を問わず、糖尿病のあるすべての人に合併症のリスクがあります。発症してからの期間が長い人、血糖コントロールがよくない人、血圧や脂質の異常がある人は特に注意が必要です。子どもや若い人でも、2型糖尿病が増えているため安心はできません。
症状
- 胸の痛みが長く続く(すぐに119番へ)
- 意識がもうろうとする、けいれんする(すぐに119番へ)
- 顔半分のまひ、言葉がしゃべりにくい、片腕が上がらない(すぐに119番へ)
- 吐き気・おう吐が続き、呼吸が深く速くなる(すぐに119番へ)
- 突然の視力低下や失明(すぐに119番へ)
- ⚠熱がある、または傷が赤くはれていて膿が出る
- ⚠足の色が悪い、冷たい、感覚がない
- ⚠飲み物が飲めない、下痢や嘔吐が続く
- ⚠血糖値が非常に高い、または低いなどのひどい調子不良
一般的な症状
- 目の見え方がかすむ、視力が低下する
- 手足のしびれ、ピリピリ感、感覚がにぶい
- 足の傷が治りにくい、繰り返す感染症
- 胸の痛み、息切れ、動悸
- 疲れやすい、だるい
- のどの渇き、尿の回数が増える
- 足の冷えや痛み、歩くと足がつる
原因
主な原因
- 血糖が高い状態が長く続くことにより、細い血管が傷つく
- 血液の中の脂質(コレステロール)や血圧の高い状態が重なり、大きな血管の動脈硬化が進む
- 高血糖による神経の栄養障害や血流の低下で神経が傷つく
リスク要因
- 糖尿病の期間が長い
- 血糖コントロールが不良(HbA1cなどが目標に達していない)
- 脂質異常症(高中性脂肪や低HDLコレステロール)
- 運動不足
- 糖尿病の家族歴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の「緊急の症状」が出たら、すぐに119番へ
- 足の傷が赤くはれる、膿が出る、広がる
- 視力が急に低下した
- 胸の痛みや息苦しさが続く
定期受診を予約すべき場合:
- 糖尿病と診断されたら、少なくとも年に1回は眼底検査、腎機能検査、足の診察を受ける
- 毎回の受診で血圧を測り、血液検査と尿検査を行う
- 糖尿病専門医や眼科、腎臓内科などの受診をすすめらたら従う
診断
合併症の診断には、糖尿病の検査に加えて、目、腎臓、神経、心臓などの詳しい検査が必要です。かかりつけ医のほか、糖尿病専門医や眼科、腎臓内科などの専門医が連携して行います。
行われる可能性のある検査
- 眼底検査(目の中の網膜を写真に撮る)
- 尿検査(アルブミンというタンパクが尿に出ていないか)
- 血液検査(腎機能(eGFR、クレアチニン)や血糖・脂質の確認)
- 手足の感覚や振動を調べる神経検査
- 足の脈を触れて血流を調べる検査
- 心電図や心臓の超音波検査
- 足の皮膚や爪の観察
診察で予想されること
定期受診では、診察と血液検査、尿検査を行い、必要に応じて眼科や腎臓内科へ紹介されます。痛みをともなう検査はほとんどありません。目の検査では瞳をひろげる点眼薬を使うため、検査後数時間は車の運転ができません。検査結果には数日かかりますが、専門スタッフが説明してくれます。
治療
合併症の治療は、原因である高血糖・高血圧・脂質異常をしっかりコントロールすることと、すでに進行した合併症をできるだけ早く見つけて治療することの両方が柱になります。症状をやわらげる薬や、血流をよくする治療などもありますが、何よりも毎日の生活習慣が大切です。
自宅でのセルフケア
- 血糖値を自分で測る習慣をつける
- 医師から処方された薬を忘れずに服用・注射する
- 毎日足を観察し、傷がないか、色や温度に変化がないかを確認する
- 禁煙する
- 食生活の見直し(減塩、野菜・食物繊維を多くとる)
- 適度な運動を継続する
- 定期的に検査を受ける
医療治療
合併症の種類や進行具合によって、血糖を下げる薬の調整や薬の組み合わせが工夫されます。また、高血圧や腎臓を保護する薬、コレステロールを改善する薬が検討されます。目の網膜症ではレーザー治療や目のなかに薬を注入する治療、腎臓病が進んだ場合には透析(血液をきれいにする治療)が行われることもあります。いずれも担当医があなたの状態に合わせて選択します。
手術が検討される場合
進行した網膜症で眼内の出血が止まらない場合や、足の血管がつまって血流が悪い場合などには、手術が検討されることがあります。また、腎不全が進行した場合には、移植という方法も選択肢のひとつですが、本人の状態や年齢、希望によって話し合いが行われます。
この病気と共に生きる
糖尿病の合併症と上手に付き合うには、毎日の血糖・血圧・体重の変化を気にかけ、かかりつけ医と連携することが大切です。症状がなくても検査を続けることで、早い段階で見つけられます。あせらず、自分のペースでできることから始めましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい食事(1日3食、野菜を先に食べるなど)
- 食後の運動(まずは10分の散歩から)
- 睡眠を十分にとる
- ストレスをためない工夫をする
- 飲酒は適量か控えめ
- 足のケア、爪切りは慎重に
食事と運動
主食、主菜、副菜をそろえたバランスのよい食事が基本です。野菜やきのこ、海藻など、食物せんいを多く含む食品を意識し、食塩は1日6g未満、女性なら5g未満をめやすに。糖分や果物のとりすぎに注意し、甘い飲み物は控えましょう。運動は、医師に相談しながら、1日30分程度の歩行と、週2回のストレッチや筋力トレーニングを取り入れるとよいです。
精神的健康と心の健康
合併症への不安や血糖管理の負担はとても大きいものです。眠れない、気分が沈む、何も楽しめない、などの症状が続くのは、うつ病のサインかもしれません。ひとりで悩まず、かかりつけ医や周囲の人に相談してください。命に関わる危機的な気持ちになったときは、ためらわずに救急や相談窓口を利用してください。
予防
合併症は避けられる可能性が高いです。血糖値を健康に近い状態に保ち、血圧や脂質を管理し、禁煙し、定期的に検診を受けることで、発症を防いだり進行をゆっくりにしたりできます。糖尿病と診断されたら、すぐにでも始められます。
ワクチン
糖尿病の人は感染症にかかると重症化しやすいため、かかりつけ医に相談して、インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種を検討しましょう。
検診プログラム
厚生労働省は年に1回の定期健診をすすめています。すでに糖尿病の人は、眼底検査、腎機能検査、神経検査、足の診察、心電図などを定期的に受けるようにしましょう。
合併症
治療しない場合
- 目の網膜が傷む網膜症(しもうしょう)や白内障、緑内障
- 腎臓の働きが低下する腎症(じんしょう)
- 神経が障害される神経障害(手足のしびれ、感覚低下)
- 動脈硬化が進むと起こる狭心症(きょうしん症)、心筋梗塞、脳梗塞
- 足の血流が悪くなり、皮膚潰瘍や壊疽(えそ)を生じて切断が必要になることもある
- 糖尿病の妊娠合併症(妊娠高血圧症など)
長期的な見通し
合併症はこわいイメージがありますが、早期発見としっかりした管理で、進行を止めたり、症状を改善したりできることが数多くあります。あなたの未来は、今日の受診と毎日の小さな積み重ねによって大きく変わります。一人ひとりのペースに合わせて、医療者と一緒に続けていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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