糖尿病と運動:安全に体を動かすためのガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
糖尿病は、血液の中の糖(血糖)が多くなりすぎる病気です。体の中の「インスリン」というホルモンが十分に働かないと、血糖が高くなります。運動は、筋肉が糖をエネルギーとして使いやすくするため、血糖を整える大切な方法の一つです。
重要な事実
- 運動には、歩くなどの有酸素運動と、筋肉をつくるトレーニングの両方が役立ちます。
- 運動を始める前や強さを変える前には、必ず医師や看護師、糖尿病療養指導士に相談しましょう。
- 低血糖(血糖が下がりすぎる状態)を防ぐため、運動前後の血糖値のチェックが大切です。
日本では、糖尿病が強く疑われる人が全国におよそ1千万人いるとされています。予備群(糖尿病の一歩手前の状態)も含めると、多くの人が糖尿病やその一歩手前の状態にあるといわれています。
糖尿病にはいくつかの種類があります。最も多い2型糖尿病は中高年に多く見られますが、若い世代でも増えています。1型糖尿病は子どもや若い人でも起こります。妊娠中だけ血糖が高くなる妊娠糖尿病もあります。
症状
- 呼びかけに反応しない、意識がもうろうとしている
- けいれんが起きている
- 運動中や運動後に強い胸の痛みがある
- ひどい息苦しさがある
- このようなときは、ためらわずに119番で救急車を呼んでください。
- ⚠血糖値がとても高い、またはとても低いと感じる(自分で測れる場合)
- ⚠低血糖のようなふるえや冷や汗が続く
- ⚠めまいやふらつきが強い
- ⚠運動後に何度も低血糖が起きる
- ⚠かかりつけ医に当日中に連絡しましょう。
一般的な症状
- のどが異常に渇く
- 尿の量や回数が増える
- 疲れやすい、体がだるい
- 食べているのに体重が減る
- 手足の感覚がにぶい、しびれる
- 傷やできものが治りにくい
子供の症状
- おねしょが続く、夜中に何度もトイレに行く
- 体重が減る、元気がない
- 吐き気やおなかの痛みを訴える
高齢者の症状
- 食欲が落ちる、脱水症状になりやすい
- 意識がもうろうとする、ぼんやりする
- 皮膚や尿の感染症を繰り返す
原因
主な原因
- すい臓のインスリンが出にくくなる
- 出たインスリンが体で十分に働かない(インスリン抵抗性)
- 運動不足や食べすぎが続き、血糖を調節する力が弱くなる
リスク要因
- 家族に糖尿病の人がいる
- 肥満(特に体の中心に脂肪がつくタイプ)
- ほとんど体を動かさない生活
- 高血圧や脂質異常症(血の中の脂肪が多い状態)がある
- 妊娠中に糖尿病になったことがある
- 年齢を重ねる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 運動中に胸が痛い、圧迫される感じがある
- 意識がおかしい、倒れそうになる
- 自分で判断できない強い低血糖の症状がある
定期受診を予約すべき場合:
- 運動を始める前(今まで運動をしていなかった人や薬を使っている人)
- 血糖コントロールが悪く、運動の計画を立てたいとき
- 定期的な健診や、かかりつけ医での受診を続ける
診断
糖尿病の診断は、血液検査で血糖値やHbA1c(グリコヘモグロビン)という数値を確認して行います。HbA1cは、ここ1~2か月の平均的な血糖の状態を示す指標です。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖値(朝ごはんを食べる前の血糖)
- HbA1c(過去1~2か月の平均血糖の目安)
- 尿検査(尿糖や尿たんぱくの有無)
- 合併症を調べるための眼底検査や腎臓の検査
診察で予想されること
病院では、まず医師が症状や生活習慣について話を聞き、必要な血液検査や尿検査を行います。結果をもとに、治療の目標や運動・食事・薬の計画を一緒に決めます。心配なことは何でも質問し、安心して通院を続けられることが大切です。
治療
糖尿病の治療の柱は、食事、運動、薬の3つです。運動は血糖を下げる効果があるだけでなく、血行を良くし、心臓や血管を健康に保つことにもつながります。治療は医師や看護師、管理栄養士、薬剤師などのチームで支えます。
自宅でのセルフケア
- 毎日、無理のない範囲で歩くなど、有酸素運動を続ける
- 週に数回、スクワットなどの筋力トレーニングを取り入れる
- 運動前後の血糖値を確認し、低血糖に注意する
- 運動前に血糖が低いときは、無理に運動せず、主治医の指示に従う
- 運動しやすい靴と靴下を選び、足に傷やまめがないか毎日確認する
- 運動中は水分をこまめにとり、体調が悪ければすぐ休む
- 目の病気(網膜症)や心臓・腎臓の合併症がある人は、運動の種類や強さを医師に確認してから始める
医療治療
血糖を下げる薬をのんだり、インスリン注射を使ったりする治療もあります。種類や量は、患者さんの血糖の状態や生活に合わせて医師が調整します。どの薬も、必ず医師の指示に従って使い、運動との関係についても相談しながら進めましょう。
手術が検討される場合
治療の中心は食事・運動・薬ですが、体重が強く影響する場合は、医師から減量のための外科治療(手術)の選択肢が説明されることがあります。手術が必要かどうかは、専門の医師と十分に話し合って決めることになります。
この病気と共に生きる
糖尿病との生活では、食事・運動・睡眠のリズムを整え、ストレスをためないことが基本です。運動を続けるには、無理をしすぎないことがいちばん。自宅でできる体操や、買い物に行くときに歩くなど、日常生活に小さな工夫を取り入れましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に運動することを目標にする
- 睡眠をしっかりとり、疲れを残さない
- ストレスをためすぎないよう、趣味やリラックスする時間を持つ
- たばこを吸っている人は禁煙を検討する
- 足の皮膚を観察し、まめや傷に早く気づく
食事と運動
食事は野菜やたんぱく質を中心に、血糖を上げすぎない食べ方と量を意識しましょう。運動は、歩くなどの「有酸素運動」と、スクワットや軽い筋トレなどの「筋力トレーニング」を組み合わせると効果的です。運動前や長時間の運動後には、低血糖を防ぐための補食(おにぎりや果物など)を、医師や管理栄養士に教わった方法に合わせてとりましょう。
精神的健康と心の健康
糖尿病は長く付き合う病気なので、「疲れた」「不安だ」と感じることもあるでしょう。そうした気持ちは自然なことです。無理をせず、あなたの気持ちを医師や看護師に話してみてください。必要に応じて、専門のカウンセリングや患者会などの支援につないでもらえます。
予防
2型糖尿病は、体重を適正に保つ生活習慣を続けることで、発症や進行を予防できることが示されています。1型糖尿病は、今のところはっきりとした予防法がないため、見つけ次第早く治療を始めることが大切です。
ワクチン
糖尿病の人は感染症にかかると重症化しやすいため、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンがすすめられることがあります。接種については、かかりつけ医に相談しましょう。
検診プログラム
健康診断で血糖値やHbA1cを定期的に調べることが、糖尿病や予備群を早く見つける第一歩です。年に1回は血液検査を受け、心配な数値があれば医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 細い血管が傷つき、目(網膜症)、腎臓(腎症)、神経(神経障害)に障害が出る
- 大きな血管に影響し、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まる
- 足の血流や感覚が悪くなり、傷から感染症を起こす(足病変)
長期的な見通し
糖尿病は、コントロールがうまくいっていれば、合併症を防いで健康な生活を続けられます。運動を習慣にすることは、病状を改善する大きな力になります。希望を持ちながら、今日からできる一歩を医療者と一緒に作っていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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