高齢者の糖尿病(とうにょうびょう)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
糖尿病は、血液の中のブドウ糖(血糖)が多くなりすぎる病気です。食べ物から得たブドウ糖を細胞で使うために「インスリン」というホルモンが必要ですが、インスリンの働きが弱くなったり、量が足りなくなったりすると、血糖が高いままでいます。高齢者では、加齢による変化やほかの病気の影響で、このリスクが高くなります。
重要な事実
- 高齢者の糖尿病は、自覚症状がなく静かに進むことがあります。
- 糖尿病は動脈硬化を進め、心臓病や脳卒中、腎臓病などのリスクを高めます。
- 治療は食事・運動・薬を組み合わせ、一人ひとりに合わせて行います。
はい、日本では65歳以上のおよそ3人に1人が糖尿病またはその予備軍(血糖がやや高い状態)といわれています。厚生労働省の調査でも、高齢になるほど患者さんが多いことがわかっています。
主に65歳以上の人にみられますが、特に運動不足、肥満、高血圧がある方、家族に糖尿病の方がいる場合は発症しやすくなります。高齢者の糖尿病は、血糖値が高いだけでなく、認知機能や生活機能にも影響することがあります。
症状
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 呼吸が深く、速くなる
- 吐き気やおう吐が続き、水分がとれない
- 腹痛が強い
- 血糖値が著しく高く、体調が急に悪くなった
- ⚠発熱や尿の痛みなど、感染症のサインがある
- ⚠下痢やおう吐で水分がとれず、脱水の心配がある(口が乾く、尿量が減る)
- ⚠血糖値がいつもより高く、自分で対処できない
- ⚠足に傷ができ、赤く腫れたり、痛みがある
一般的な症状
- のどが渇く
- 尿の回数や量が増える
- 疲れやすい
- 体重が減る(食欲はあるのに)
- 手足のしびれや冷え
- 小さな傷が治りにくい
子供の症状
- この記事は高齢者向けのため、子どもの糖尿病の症状はここでは説明していません。
- 子どもでも、のどが渇く、尿が多い、体重が減るなどの症状が現れることがありますが、原因や治療が異なるため、かかりつけの小児科で相談してください。
高齢者の症状
- 高齢者ではのどの渇きを感じにくいことがあります。
- 尿の回数が増え、夜間にも何度も起きる。
- めまい、立ちくらみ、転びやすくなる。
- 何となくだるい、食欲がない。
- 認知機能の低下(注意力散漫、物忘れなど)が目立つこともあります。
原因
主な原因
- 高齢者の糖尿病の多くは2型糖尿病です。加齢によりインスリンの分泌が減ったり、効きが悪くなったりして起こります。
- 内臓脂肪が増えやすい、筋肉量が減る、活動量が低下するなどの加齢変化も原因になります。
- 遺伝的な要素もあり、家族歴があると発症しやすいことが知られています。
リスク要因
- 肥満(特に内臓脂肪)
- 運動不足
- 高血圧、脂質異常症
- 糖尿病の家族歴
- 加齢そのもの
- ストレスやホルモンの変化
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 自分の意識がもうろうとする、または倒れそうになる場合は、ためらわずに119番で救急車を呼んでください。
- 血糖値がどんどん上がり、吐き気やおう吐がある場合は、すぐに医療機関に連絡してください。
- 胸の痛み、強い頭痛、しびれ、言葉がうまく出ないなどの症状は早めに受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血糖値またはHbA1cが高いと指摘された。
- のどが渇く、尿が多いなどの症状が続いている。
- 糖尿病と診断されている人は、指示された頻度で定期的に受診する。
診断
糖尿病の診断は血液検査で行います。血糖値のほか、過去1~2か月の平均的な血糖を反映するHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という値も使います。手順としては、問診や身体診察のあと、採血し、基準値を超えていれば、別の日にもう一度検査して確認することが多いです。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖検査(朝ごはんを食べない状態で測る)
- 随時血糖検査(時間を選ばずに測る)
- HbA1c検査(過去1~2か月の平均)
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(必要に応じて)
診察で予想されること
検査は採血が中心なので痛みはほとんどありません。結果は数日でわかります。診断後は、糖尿病の専門医や看護師、管理栄養士などがあなたの生活に合わせた治療計画を説明します。心配なことは何でも質問してください。
治療
高齢者の糖尿病治療は、無理なく安全が第一です。低血糖(血糖が下がりすぎる)は特に危険なので、血糖を一気に下げようとせず、ゆっくりとコントロールします。治療の柱は、食事療法・運動療法・薬物療法の3つです。かかりつけ医と相談しながら、自分に合った方法を見つけましょう。
自宅でのセルフケア
- 決まった時間に3食バランスよく食べる
- 野菜やきのこ、海藻など食物繊維を先に食べる(血糖の上がり方がゆるやかになります)
- 1日30分程度、無理のない運動(速歩き、体操、水中運動)を医師の許可のもとで
- 足を毎日観察し、傷や変色がないか確認する
- 服薬・インスリン注射は指示どおりに行い、自己判断でやめない
- 血糖自己測定が指示されている場合は、記録をつけて受診時に見せる
医療治療
医師は、あなたの血糖値、年齢、腎臓や肝臓の具合、ほかの病気、生活スタイルなどを考慮して薬を選びます。飲み薬のほか、インスリンやその他の注射薬もあります。薬は種類が豊富で、効果や副作用が異なります。特に高齢者は低血糖のリスクが高いため、医師が少量から調整し、こまめにチェックされます。薬の名前や量、飲み方は医師・薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
糖尿病そのものに手術はありませんが、目の病気や血管の病気など、合併症に対して手術が必要になることがあります。また、ほかの病気の手術を受ける際は、糖尿病のコントロール状態を医師に伝えることが大切です。
この病気と共に生きる
毎日の血糖コントロールは、食事・運動・睡眠・ストレスなど、すべての生活が関係します。完璧を目指す必要はありません。少しずつ、自分の健康に向き合っていきましょう。かかりつけ医や糖尿病療養指導士に相談しながら、継続することが何より大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙をする(タバコは血管を傷つけます)
- アルコールはほどほどに(医師の指示があればそれに従う)
- 毎日同じ時間に起き、十分な睡眠をとる
- ストレスをため込まず、趣味や人との交流を持つ
- 外出の機会を作り、日光を浴びる(骨と筋肉の健康にも良い)
食事と運動
食事は、主食(ごはん・パン・麺)、主菜(魚・肉・卵・大豆)、副菜(野菜・きのこ・海藻)をそろえるのが基本です。甘い飲み物を控え、塩分も控えめに。運動は、ウォーキングやラジオ体操など、好きなものを毎日続けられる範囲で。膝や腰が痛い人は、水中歩行や椅子に座って行う運動を医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
糖尿病と診断されると、ショックや不安を感じることがあります。長く付き合う病気だからこそ、ストレスや気分の落ち込みも起こりやすいです。しかし、それらは決して弱さではありません。家族や友人、医師、看護師に気持ちを話してみましょう。もし、死にたいと考えたり、自分を傷つけたくなる気持ちが続くなら、一人で抱えずに、すぐに医療機関・精神保健福祉センターなどに相談してください。あなたの命は大切です。
予防
高齢者でも、生活習慣の改善で糖尿病の発症リスクを下げられることがあります。特に、適度な運動・バランスの良い食事・体重管理は効果的です。ただし、加齢や遺伝的な要素もあるため、完全に予防できるとは限りません。それでも、気づいたときから始めることが大切です。
ワクチン
糖尿病の人は感染症にかかりやすく、重症化しやすいため、インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種がすすめられます。かかりつけ医に相談して、自分に合った予防接種を受けましょう。
検診プログラム
健康診断の血液検査で血糖値とHbA1cをチェックすることが基本です。糖尿病と診断された人は、合併症の早期発見のために、定期的に眼底検査や尿検査、足のチェックを受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 網膜症:目の中の血管が傷み、視力が低下することがあります
- 腎症:腎臓の機能が低下し、透析が必要になることがあります
- 神経障害:手足のしびれ・感覚低下・こむら返りなどが起こります
- 動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります
- 感染症(肺炎、尿路感染症、皮膚の感染症)にかかりやすくなります
- 足の血流が悪くなり、傷が治りにくくなって壊疽(組織が腐ること)に至ることがあります
長期的な見通し
糖尿病は、治療を続けることで合併症をかなり防げる病気です。血糖を下げすぎないことを心がけ、医師と相談しながら管理を続ければ、健康な人とほぼ変わらない生活を楽しむことができます。この先ずっと続く治療に感じるかもしれませんが、一歩一歩の取り組みが将来の健康につながります。あなたのペースで続けていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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