骨折の治りかたと治療の流れ
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
骨折とは、骨にひびが入ったり、骨が折れてしまうことです。骨折した骨は、時間をかけて自然に元の丈夫な骨に戻ろうとします。このしくみを「骨折の治り」といいます。からだの中では、骨を修復する細胞がはたらき、新しい骨をつくってつなぎ合わせていきます。
重要な事実
- 骨折は多くの場合、適切な治療をすれば数か月でしっかりと治ります。
- 骨折した部分を安静にし、正しい位置で固定することが治りの基本です。
- 骨は、栄養・運動・休養のバランスが整うと、より健康的に治ります。
骨折はとても身近なけがで、子どもからお年寄りまで、年間に多くの人が経験します。特に手首や足の骨、太ももの付け根の骨は骨折しやすい場所です。
骨折は年齢を問わず誰にでも起こりえます。子どもは転んだりスポーツ中に、大人は交通事故や転倒で、お年寄りは骨がもろくなる骨粗しょう症が原因で骨折することがあります。
症状
- 骨が皮膚を突き破っている、または骨が見えている
- 大量の出血がある
- 手足の指の色が青白い、または真っ黒になる
- 指先やつま先の感覚がない、または動かせない
- 強い痛みで動けず、意識がもうろうとしている
- ⚠強い痛みがあり、体重をまったくかけられない
- ⚠はれが急速にひどくなっている
- ⚠しびれや違和感がある
- ⚠けがのあとに熱が出てきた
一般的な症状
- 痛みがあり、動かすとさらに痛む
- はれや内出血がある
- その部分を動かしにくい、または動かせない
- 骨がずれて変な形に見える
- 体重をかけられない
子供の症状
- 「骨が折れたかもしれない」とはっきり言わないことがある
- 痛がってその手足を使わなくなる
- いつもより泣いたり、機嫌が悪かったりする
- はれやあざがあり、触ると嫌がる
高齢者の症状
- 転んだあとに強い痛みがある
- 立ったり歩いたりできなくなる
- 腰や背中に痛みがあり、姿勢が変わる
- 体を動かすと痛みが続く
原因
主な原因
- 転んで手をつく、高いところから落ちる
- スポーツ中の強いぶつかり合いやねじり
- 交通事故などの大きな力が加わる
- 骨が弱くなっている状態での軽い転倒やくしゃみなど
リスク要因
- 骨粗しょう症(骨の密度が下がり、骨がもろくなる病気)
- 高齢であること
- 栄養バランスの悪い食事
- 運動不足による筋力や骨の強さの低下
- ふらつきやめまいがする薬を飲んでいる
- 転びやすい環境(段差や散らかった部屋など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 強い痛みがあり、動かせない
- はれや変形がひどい
- しびれや感覚の異常がある
- 指先の色が悪い
定期受診を予約すべき場合:
- 小さなけがでも、痛みが1〜2日続く
- 痛くても歩けたり動かせたりするが、違和感が残る
- 過去に骨折した部分が再び痛む
診断
医師が問診と診察を行い、痛みのある場所や動かし方を確認したうえで、画像検査を行って骨折の有無と状態を調べます。
行われる可能性のある検査
- レントゲン検査(骨の形やひびの状態を確認する)
- CT検査(骨の細かいずれや複雑な骨折を確認する)
- MRI検査(骨だけでなく、軟骨やじん帯などの損傷も確認する)
診察で予想されること
診察では、けがをしたときの様子や現在の痛み・しびれを聞かれます。その後、必要に応じて画像検査があります。検査は痛みを伴うものではありませんが、骨折した部分を動かすときは少し不快なことがあります。診断後、医師から治療の選択肢や今後の見通しについて説明があります。
治療
骨折の治療の目的は、折れた骨を正しい位置に戻し、動かないように固定して、自然な治りを助けることです。おおまかに「保存療法」と「手術療法」がありますが、どちらが適切かは骨折の場所やずれ方、年齢や健康状態によって決まります。
自宅でのセルフケア
- ギプスや装具などで指示された固定を、勝手にはずさない
- 痛む部分をむやみに動かさず、安静にする
- はれや痛みが強いときは、氷のうなどで冷やす(やりすぎに注意)
- 痛みが治まっても、医師の指示があるまでは重い物を持ったり、激しい運動をしない
医療治療
治療は、まず折れた骨を元の位置に近づける「整復」を行います。ずれが少なければ、ギプスや装具で固定するだけの場合もあります。ずれが大きい場合や、骨が不安定な場合は、手術で骨をプレートやねじなどで固定する方法が選ばれます。手術中や固定中には、痛みを和らげるための薬や、骨の治りを助ける薬が使われることがありますが、具体的な薬は医師が患者さんの状態に合わせて選びます。
手術が検討される場合
骨のずれが大きく、ギプスだけで正しい位置を保てない場合や、骨が皮膚を突き破っている「開放骨折」の場合は、手術が必要になることがあります。また、高齢者で足の付け根の骨折をした場合は、早く体を動かして寝たきりを防ぐために手術がすすめられることがあります。
この病気と共に生きる
骨折後は、固定した部分を動かさない生活が続きますが、からだ全体の安静にしすぎると筋力が落ちてしまいます。医師や理学療法士の指示にしたがって、動かせる部分は少しずつ動かすようにしましょう。固定がはずれたあとは、リハビリで関節の動きや筋力を回復させます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する(たばこは骨の治りを悪くします)
- アルコールはほどほどにする
- 十分な睡眠をとり、からだを休める
- 転倒に気をつけて、部屋の段差や滑りやすい場所を整える
食事と運動
骨の材料になる栄養素(カルシウム、ビタミンD、たんぱく質)を、バランスの良い食事からとることが大切です。リハビリでは、医師や理学療法士の指導のもとで、無理のない範囲で運動を始めます。骨に適度な刺激が加わると、骨の治りがよくなります。
精神的健康と心の健康
骨折後は、仕事や趣味を休まなければならず、気分が落ち込んだり、いらいらしたりすることがあります。特に治りが長引くと不安も大きくなります。そのようなときは、ひとりで抱え込まず、家族や友人、医師や看護師に気持ちを話してみましょう。
予防
骨折を完全に防ぐことはできませんが、リスクを大きく減らすことはできます。骨を丈夫に保つ生活習慣と、転倒しにくい環境づくりが大切です。
合併症
治療しない場合
- 骨がずれたまま固まってしまい、変形が残る
- 関節の動きが制限されたり、動かすと痛みが続いたりする
- 骨がなかなかくっつかない「偽関節」になることがある
- 長く動かさないことで、筋力低下や関節のこわばりが起こる
長期的な見通し
骨折は、適切な治療とリハビリを行えば、多くの場合、数か月で元の生活に戻ることができます。高齢者の骨折でも、手術やリハビリの進歩により、再び歩けるようになる方がほとんどです。焦らず、医師の指導を守って治療を続けていきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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