糖尿病と診断された後の高血糖について
概要
高血糖(こうけつとう)とは、血液の中のブドウ糖(エネルギーのもとになる糖)が通常の範囲より多くなっている状態です。糖尿病やその前段階と診断された後も、食事、運動、体調、ストレスなどの影響で、血糖値が高くなることがあります。高血糖が長く続くと血管や神経にダメージを与えるため、日ごろからの管理が大切です。
重要な事実
- 糖尿病と診断された後、血糖値が高めに出ることはよくあります。
- のどのかわき、おしっこが多い、だるいなどの症状を手がかりに、早めに対応できます。
- 治療と生活習慣の見直しを続ければ、合併症を防ぎながら元気に生活できます。
はい、とてもよくあることです。治療を始めたばかりのころや、感染症、ストレス、睡眠不足など体調が変化したときに、血糖値は上がりやすくなります。
1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病など、どのタイプの糖尿病と診断された人でも経験します。また、糖尿病の治療中でなくても、急な病気やけがの後には高血糖が起こることがあります。
症状
- 息が苦しい、呼吸が速い
- 吐き気やおう吐が止まらない
- 激しい腹痛がある
- 口から甘酸っぱい果実のようなにおいがする
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- ※このような症状がある場合は、ためらわずに119番へ電話してください
- ⚠血糖が自分のめやすよりずっと高く、体調が悪い
- ⚠のどのかわきやおしっこの増加が強く、水分がとれない
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠目のかすみや頭痛が続いている
- ⚠「いつもと違う」と感じる体調の変化がある
一般的な症状
- いつもよりものどがかわく
- おしっこの回数が増える、量が多い
- 疲れやすい・体がだるい
- 目がかすむ、ピントが合いにくい
- 頭痛がする
- 口の中がかわく
子供の症状
- おねしょや夜間の排尿が続く
- 食欲はあるのに体重が減る
- イライラして落ち着かない
- おなかが痛いと訴える
高齢者の症状
- 眠気やぼんやりした感じがあり、意識がはっきりしないことがある
- めまいや立ちくらみがする
- 脱水症状(口がかわく、尿の色が濃い)になりやすい
- 皮膚や膀胱などの感染症を繰り返す
- 転びやすくなる、足の感覚がにぶる
原因
主な原因
- 決められた糖尿病の薬やインスリンを忘れた、使う量・タイミングが合っていない
- 食事で糖質(炭水化物)をとりすぎた
- 風邪、インフルエンザ、膀胱炎などの感染症にかかった
- ケガや手術、強いストレス、睡眠不足
- 運動不足や急な体調不良
- ほかの病気のために使っている薬の影響
リスク要因
- 糖尿病の治療を自己中断している
- 不規則な生活や偏った食事が続いている
- 体重が増えている、運動をしていない
- 忙しくてストレスが多い
- 感染症や体調不良で体が弱っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高血糖に加えて、息苦しさ、おう吐、腹痛、意識のろう状態などの緊急症状がある場合は、すぐに119番へ電話してください。
- 血糖値が自分で決めた安全のめやすを大きく上回り、体調が悪化している場合は、当日中に医療機関へ相談してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 1週間のうち何度も血糖値が目標の範囲より高い
- のどのかわき、だるさ、おしっこの増加などが続く
- 定期受診の日が近づいている
診断
高血糖は、自宅で血糖値測定器を使って測る自己測定と、医療機関の血液検査で確認します。特にHbA1c(ヘモグロビンA1c、グリコヘモグロビン)は、過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を示す大切な指標です。
行われる可能性のある検査
- 血糖値の自己測定(指先の小さな針で採血し、測定器にかけて測る)
- HbA1c(ヘモグロビンA1c)検査(過去1〜2か月の平均の血糖値を反映)
- ケトン体検査(高血糖がひどいときに、血中や尿中のケトン体を調べる)
- 医師による問診と診察
診察で予想されること
診察では、血糖値の記録や、食べたもの、運動、体調の変化などを伝えます。すると、医師や看護師、管理栄養士が、あなたの生活に合った改善策や治療の調整を提案してくれます。質問したいことをあらかじめメモにまとめておくといいでしょう。
治療
高血糖の治療の目標は、血糖値を安全な範囲に近づけることです。そのために、毎日の食事・運動・薬の使い方を見直し、必要に応じて医療者が薬の内容を調整していきます。すべてを一度に完璧にやろうとしなくて大丈夫です。
自宅でのセルフケア
- こまめに水や麦茶などの水分を補給する
- 処方された薬やインスリンは、決められた量と時間に正しく使う
- 体調が良ければ、食後に軽い運動(ウォーキング)を10分程度行う
- 甘いジュースやお菓子、糖質の多い飲み物を控える
- 睡眠や休息を十分にとる
- 毎日の血糖値と食事、体調を記録する
医療治療
医師や糖尿病専門医は、血糖値を下げる飲み薬の種類や量、インスリンの投与量やタイミングを、あなたの血糖値の記録に合わせて調整します。治療法は人それぞれです。自分で勝手に薬をやめたり、量を変えたりせず、医療チームと相談しながら進めましょう。
手術が検討される場合
高血糖を直接治療するための手術はありませんが、糖尿病の合併症が進んだ場合に、目や足などの手術が必要になることはあります。通常は、血糖コントロールが優先されます。心配な場合は、医師に相談してください。
この病気と共に生きる
血糖値の上がり方には個人差があります。自分の血糖値がどのタイミングで上がりやすいかを、日々の記録から知ることが上達の近道です。まずは「甘い飲み物を半分だけに減らす」など、小さな目標から始めましょう。
生活習慣のアドバイス
- 1日3食を規則正しく食べる
- ウォーキング、水泳、体操など、好きな運動を週に数回楽しむ
- 十分な睡眠と休息をとる
- 禁煙し、お酒は量を守る
- 毎日足をチェックし、傷やむくみがないか確認する
食事と運動
野菜やきのこ、海藻などの食物繊維を先に食べ、そのあとに主菜(魚・肉・大豆製品)、最後に主食(ごはん・パン・麺類)と、食べる順番を工夫すると血糖値の急な上昇を抑えられます。食後の軽い運動も効果的です。管理栄養士のアドバイスを受けながら、無理せず続けられる食事と運動を見つけてください。
精神的健康と心の健康
血糖値が高い日が続くと、自分を責めたり、先のことを心配して不安になったりすることがあるのは、自然な気持ちです。無理に解決しようとせず、まずはその気持ちを家族や友人、医療スタッフに話してみてください。気分の落ち込みが長く続くときは、医師に相談することも支えになります。
予防
高血糖をゼロにすることはできませんが、日々の選択でその回数や程度を大きく減らせます。薬を正しく使う、バランスの良い食事を選ぶ、体を動かす習慣をつくる、睡眠をしっかりとることで、高血糖になりにくい体と生活をつくれます。
ワクチン
風邪やインフルエンザなどの感染症は血糖値を上げやすくします。医師からすすめられた予防接種を受け、手洗い・うがいなどの感染対策を日ごろから続けましょう。
検診プログラム
糖尿病と診断された後は、定期的にHbA1c・腎臓・目の検査を受けることで、合併症を早期に見つけて治療することができます。医師の指示に従って検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 目の血管が傷つき、視力が低下する(糖尿病網膜症)
- 腎臓の働きが低下し、人工透析が必要になることがある(糖尿病腎症)
- 手足のしびれや感覚の低下、痛みが起こる(糖尿病神経障害)
- 動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる病気のリスクが高まる
- 高血糖昏睡(タイプによりケトアシドーシスを含む)などの重い状態になることもある
長期的な見通し
糖尿病と診断された後も、きちんと治療を続ければ、こうした合併症を予防・遅らせられる可能性は十分にあります。完璧な日に一歩ずつ近づけばいいのです。あなたのペースで、生活のリズムを整え、医療者と一緒に血糖コントロールを続けていきましょう。
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最終更新: 2026年8月19日
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