高血糖の合併症を知って、健康を守ろう
概要
高血糖が長く続くと、体の中で細い血管や神経が傷つき、さまざまな合併症(追加の病気)を引き起こすことがあります。これを「高血糖の合併症」と呼びます。血糖値が高い状態が続くと、目、腎臓、神経、心臓、血管などに影響が及びます。
重要な事実
- 血糖値が高い状態が何年も続くと、合併症のリスクが高まります。
- 初期の合併症は自覚症状がないことが多く、気づかないうちに進行します。
- 血糖値を良好に保つことで、合併症は予防・進行を遅らせることができます。
はい、日本では糖尿病やその予備群の人がとても多く、血糖値が高い状態で生活している方も少なくありません。そのため、高血糖による合併症は身近な健康問題の一つです。
血糖値が高い状態が続くと、子どもからお年寄りまで、どの年代でも合併症のリスクがあります。特に、肥満、運動不足、食生活の乱れ、家族歴(家族に糖尿病の人がいる)、高血圧や脂質異常症などがある方は注意が必要です。
症状
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 呼吸が速く、深くなる
- 激しい吐き気やおう吐が続く
- 強い腹痛がある
- 血糖値が急激に高くなり、体調が急変した場合(緊急事態)
- ⚠高熱がある
- ⚠強い痛み(目や足、胸など)がある
- ⚠感染症の兆候(赤み、はれ、痛み、熱)がある
- ⚠血糖値が(自分で測れる場合)普段よりかなり高い状態が続く
- ⚠合併症が疑われる新たな症状が現れた(例:視力低下、しびれ、胸の痛みなど)
一般的な症状
- のどが異常に渇く
- 尿の回数や量が増える
- 疲れやすい、体がだるい
- 体重が減る(特に理由がないのに減る)
- 目がかすむ、視界がぼやける
- 傷や感染症が治りにくい
子供の症状
- 夜尿(おねしょ)が続く、または新たに始まる
- 成長や発育が遅れるように感じる
- 普段より元気がなく、疲れやすい
高齢者の症状
- 脱水になりやすい
- 意識がぼんやりする、混乱する
- 転倒しやすくなる
- 感染症(膀胱炎や肺炎など)にかかりやすい
原因
主な原因
- すい臓から出るインスリンというホルモンの働きが悪くなる、または不足することで、血糖値が高くなります。
- 食べすぎや甘い飲み物のとりすぎなど、高血糖につながる生活習慣が続く。
- 運動不足によって、筋肉がブドウ糖をエネルギーとして使いにくくなる。
- ストレスや感染症などの体への負担で、血糖値が上がることがある。
リスク要因
- 肥満(特に内臓脂肪が多い)
- 家族に糖尿病やその合併症の人がいる
- 年齢とともにリスクは高まる
- 高血圧や脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)
- 妊娠中に高血糖を指摘されたことがある(女性の場合)
- 運動不足や不規則な食生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- のどが渇く、尿が多いなどの症状が急に強くなったとき
- 意識がぼんやりするなど、重症の高血糖が疑われるとき
- 目、足、胸などに強い痛みや異変が現れたとき
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー:過去1~2か月の平均的な血糖の状態を示す数値)が高いと言われたとき
- のどが渇く、尿が多いなど、高血糖の症状が続くとき
- 糖尿病またはその予備群と診断され、合併症のチェックをまだ受けていないとき
- 日頃の血糖コントロールを振り返りたいとき
診断
高血糖の合併症かどうかを確かめるためには、まず血糖値の状態を評価し、次に合併症のチェックを行います。血液検査や尿検査、そして必要に応じて眼底(目の奥)の検査や神経の検査などが行われます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(空腹時血糖値、HbA1c)
- 尿検査(尿糖や尿たんぱく)
- 眼科検診(眼底検査)
- 腎機能を調べる血液検査
- 神経の働きを調べる検査(しびれや感覚のチェック)
- 心電図や足の血流の検査(必要に応じて)
診察で予想されること
診察では、あなたの体調や生活習慣、症状について医師が質問します。痛みを伴う検査はほとんどありません。血糖値が高いだけではすぐに合併症とは診断されませんが、長く続いているかどうかや他のサインがないかを総合的に判断します。結果は数日から数週間でわかることが多く、医師から説明があります。
治療
治療の大きな目標は、血糖値を健康的な範囲に保ち、合併症を予防・進行を遅らせることです。そのために、食事療法、運動療法、薬物療法を組み合わせて行います。合併症がすでにある場合は、その進行を抑えるための治療も同時に行います。
自宅でのセルフケア
- バランスの良い食事を規則正しくとる
- 野菜や食物繊維を多くとり、糖分の多い食品や飲み物を控える
- 週のほとんどで、1日30分程度の軽い運動(ウォーキングなど)を心がける
- 足を毎日観察し、傷や水虫、赤みがないかチェックする
- 決められた時間に睡眠をとり、ストレスをためすぎない
- 処方された薬は、医師の指示どおりに飲む(自己判断で止めない)
医療治療
高血糖の治療では、医師があなたの血糖の状態に合わせて、飲み薬や注射薬を処方することがあります。これらの薬は血糖を下げる働きがありますが、種類や量は個人差が大きく、また体調によっても調整が必要です。必ず医師の指示に従い、自己判断で追加や中止をしないようにしてください。
手術が検討される場合
高血糖そのものに対して手術が必要になることはほとんどありません。しかし、合併症が進行した場合(例えば、糖尿病による足の潰瘍(できもの)が治らない、重症の感染症になった場合など)には、外科的な処置や手術が必要になることがあります。これは担当医と十分に相談して決めることになります。
この病気と共に生きる
高血糖の合併症を防ぐためには、1日1日の積み重ねがとても大切です。毎日の食事、運動、服薬、そして定期的な受診を続けることで、血糖値は安定しやすくなります。急にすべてを完璧にしようとせず、できることから少しずつ始めましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する(たばこは血管を傷つけ、合併症を悪化させます)
- お酒はほどほどにする(医師に相談して量を決めましょう)
- ストレスをためない(趣味や気分転換の時間を持つ)
- 睡眠を十分にとり、体調を整える
- 定期的に体重と血糖値をチェックする
食事と運動
食事は、3食を規則正しくとり、主食・主菜・副菜をそろえることを意識しましょう。糖分の多い清涼飲料水や甘いお菓子は控えめに、野菜や海藻、きのこなど食物繊維の多いものを積極的にとりましょう。運動は、無理のない範囲でウォーキングやストレッチなどを毎日続けることがおすすめです。運動する前に、自分の血糖値の状態を医師に確認してから始めると安全です。
精神的健康と心の健康
慢性の病気と向き合うことは、時に不安やストレス、気持ちの落ち込みを感じさせることがあります。それは自然なことです。つらい気持ちを一人で抱え込まず、家族や友人、かかりつけ医、看護師などに話してみましょう。必要に応じて、心の専門家のサポートを受けることも選択肢の一つです。決して恥ずかしいことではありません。
予防
高血糖の合併症は、血糖値を目標の範囲に保つことで多くを予防し、進行を遅らせることができます。また、高血圧や脂質異常症などのリスクがある場合は、それらを管理することも合併症の防止につながります。定期的な健康診断と日頃の生活習慣の見直しが大切です。
ワクチン
血糖値が高い人は感染症にかかると重症化しやすいため、インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種が推奨されることがあります。ご自身に合った予防接種について、かかりつけ医に相談しましょう。
検診プログラム
糖尿病と診断されている人は、合併症を早期に見つけるために、定期的な眼科検診、腎臓の検査、足のチェックなどを受けることが大切です。頻度や項目は医師があなたの状態に合わせて決めます。
合併症
治療しない場合
- 目の網膜(もうまく:目の中の光を感じる部分)の血管が傷つき、視力が低下する(糖尿病網膜症)
- 腎臓のフィルター機能が低下し、最終的には透析が必要になることがある(糖尿病腎症)
- 手足の神経が傷つき、しびれ、痛み、感覚の低下が現れる(糖尿病神経障害)
- 足の感覚が鈍くなったり血流が悪くなったりして、傷が治りにくく、潰瘍や壊疽(えそ)になり、切断が必要になることもある
- 心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性の病気のリスクが高まる
- 感染症にかかりやすく、治りにくくなる(膀胱炎、肺炎、皮膚の感染症など)
長期的な見通し
合併症が心配になるかもしれませんが、大切なのは「今から対策を始めること」です。血糖値を良好に保ち、定期的にチェックを受けることで、多くの合併症は予防できますし、たとえ進行していても適切な治療で遅らせたり、症状を和らげたりすることができます。あなたのペースで、医療者と一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
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最終更新: 2026年8月19日
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