高血糖のフォローアップケア
概要
高血糖とは、血液中に含まれる糖(ブドウ糖)の量が多くなりすぎた状態です。血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが足りないと、体内の糖がうまく取り込まれず、血液中にあふれてしまいます。高血糖が長く続くと、血管や神経に影響を与えるため、早めに対処し、経過を定期的に確認することが大切です。これをフォローアップケア(経過観察と管理)と呼びます。
重要な事実
- 血糖値は食事や運動、ストレスなどで大きく変動します。
- 高血糖を放置すると、目や腎臓、神経などに合併症を起こすことがあります。
- 定期的な通院と生活習慣の見直しで、多くの合併症は予防できます。
はい。日本では糖尿病の可能性が強い人は約1,000万人、その予備群も約1,000万人と推計されており、成人の約5~6人に1人が高血糖かその予備軍ともいわれています。
高血糖は男女を問わず、子どもから高齢者まで誰にでも起こり得ます。特に、食べ過ぎや運動不足、肥満、生活習慣の乱れがある人や、家族に糖尿病の人がいる場合にリスクが高まります。
症状
- 意識がもうろうとし、呼びかけに反応しない
- 呼吸が速くて深い(クスムール呼吸)
- 激しい嘔吐や腹痛が続く
- 突然の胸の痛みや激しい息苦しさ
- ⚠いつもより血糖値が極端に高い(測定できる場合)
- ⚠高熱が出ている
- ⚠尿量が極端に多く、異常にのどが渇く
- ⚠長時間吐き気があり、水分がとれない
一般的な症状
- 喉が渇く
- 尿の量や回数が増える
- 体がだるく疲れやすい
- 食事をとっているのに体重が減る
- 視界がぼやける
子供の症状
- 夜尿(おねしょ)が続く
- 体重が増えない
- 甘いものを異常に欲しがる
- 集中力がない
高齢者の症状
- 症状がはっきりしないことが多く、脱水になりやすい
- 意識のぼんやりや、転びやすさに注意が必要
- 口が乾く、だるいなどの訴えが少ない
原因
主な原因
- 血糖値を下げるインスリンの分泌が少ない、または働きが悪い
- 食べ過ぎや糖質のとりすぎ
- 運動不足
- ストレスや感染症などの体調変化
- 一部の薬の影響(医師に相談が必要)
リスク要因
- 肥満(特に内臓脂肪が多い)
- 高カロリーな食事や不規則な食事
- 運動習慣がない
- 家族(親や兄弟姉妹)に糖尿病の人がいる
- 妊娠(妊娠糖尿病の既往)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血糖値がかなり高く、自己管理だけでは改善しない
- 意識がおかしくなったり、ほとんど動けなくなってきた
- 嘔吐や腹痛がひどく、水分もとれない
定期受診を予約すべき場合:
- 定期的な通院の予約があるときは、指示に従って受診する
- 血糖値が高い状態が数日続くとき
- 治療について不安や疑問があるとき
診断
高血糖の診断は、血液検査で血糖値を測定しておこないます。空腹時の血糖値や、過去1~2か月の血糖の平均を反映するヘモグロビンA1c(HbA1c)という指標がよく使われます。医師が症状や検査結果を総合的に判断して診断します。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖検査(朝食前に測定)
- ブドウ糖負荷試験(糖入りの飲み物を飲んで血糖の変化を調べる)
- ヘモグロビンA1c検査(過去1~2か月の平均的な血糖状態がわかる)
診察で予想されること
診察では、食事・運動・睡眠・服薬の状況などを尋ねられます。また、脂質異常や血圧、腎臓や目の合併症がないかを確認するための検査が追加されることもあります。医師はあなたの生活を考慮したうえで、治療目標やフォローアップの計画を立てます。
治療
高血糖の治療の基本は、食事療法、運動療法、薬物療法の3本柱です。内分泌代謝科や糖尿病内科の医師、管理栄養士などと相談しながら、無理なく続けられる方法を一緒に決めていきます。治療はすぐに結果を求めるのではなく、長い目で続けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 主食・主菜・副菜をそろえ、野菜など食物繊維の多いものから食べる
- 間食や甘い飲み物を控え、食事の時間を規則正しくする
- 医師に相談したうえで、ウォーキングなど安全な運動を習慣化する
- 睡眠を十分にとり、ストレスをため込まない
- 血糖自己測定をしている場合は、記録を付けて受診時に提示する
医療治療
薬物療法には、錠剤などのお薬とインスリン注射があります。どちらも、血糖値の状態や生活スタイルに合わせて選択されます。どの治療法でも、効果と副作用のバランスを見ながら、医師が量や種類を調整します。自己判断で薬をやめたり量を変えたりせず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
高血糖そのものを手術で治すことは一般的ではありません。ただし、高度肥満が原因で糖尿病や高血糖が改善しない場合に、減量を目的とした手術が選択肢になることがあります。この手術は多くの条件と専門的なチームによる評価が必要です。
この病気と共に生きる
日々の生活では、食事・運動・休養のバランスを整えることがすべての基本です。調子が良い日も悪い日も、自分の血糖値の変化や体調を記録して、医師や看護師、管理栄養士に伝えましょう。小さな変化を見逃さず、一緒に対応策を決めることがフォローアップのポイントです。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間に朝・昼・夕の食事をとる
- エレベーターではなく階段を使うなど、日常で体を動かす工夫をする
- 喫煙している場合は禁煙外来を活用する
- 飲酒は医師の指示がある場合のみ、量と頻度を守る
食事と運動
食事は、野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなど食物繊維が多いものを先に食べると、血糖値の急上昇の抑制に役立ちます。そのあと、ごはんやパンなどの主食(糖質)をゆっくり食べましょう。運動は、食後30分~1時間程度の軽いウォーキングが効果的です。合併症や持病がある場合は、医師に運動量を確認してから始めてください。
精神的健康と心の健康
高血糖と診断されたり、治療を続けたりすることは、不安やストレスにつながることがあります。イライラ、気分の落ち込み、不眠などを感じるのは珍しいことではありません。ひとりで抱えず、家族や友人、医療者に話しましょう。こころのつらさが続く場合は、心療内科や精神科の医師、臨床心理士などの支援を受けることも選択肢の一つです。万一、「自分を傷つけたくなる」などの強い気持ちがある場合は、すぐに119番や精神科の救急窓口に連絡してください。
予防
高血糖の進行は、生活習慣の改善によって予防または遅らせられる可能性があります。特に糖尿病予備軍の段階では、体重を減らし、運動量を増やし、食べ方を改善することで、糖尿病への進展リスクを大きく下げられることが研究で示されています。定期健診を受けることも予防の第一歩です。
ワクチン
高血糖の状態は感染症にかかりやすく、重症化しやすい傾向があります。インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種は、感染症のリスクを減らすために検討されることがあります。個々の健康状態に合うかどうか、医師に相談しましょう。
検診プログラム
健康診断や人間ドックの血液検査で血糖値が測定されています。自分では気づきにくい高血糖を見つけるためにも、年に1回は健診を受け、結果を確認しましょう。
合併症
治療しない場合
- 神経障害(手足のしびれや感覚低下、痛み)
- 網膜症(目の中の網膜の血管が傷み、視力低下や失明のリスク)
- 腎症(腎臓の働きが低下し、重症では透析が必要になる)
- 動脈硬化の進行(心筋梗塞や脳卒中のリスク上昇)
長期的な見通し
高血糖が続いても、医師と一緒に治療と生活習慣を改善し、血糖値を良好な範囲に保てば、合併症のリスクを大きく下げることができます。治療技術やサポート体制も進歩しており、無理のない方法で続けていけば、安心して社会生活を送ることができます。焦らず、前に進みましょう。
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最終更新: 2026年8月19日
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