診断後の股関節の痛みを上手に管理するために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
診断後の股関節の痛みとは、病院で股関節の病気やけがと診断された後も続く、またはあらためて現れる痛みのことです。股関節(足の付け根)は体重を支える大きな関節なので、痛みがあると歩く、座る、立ち上がるなどの動作に影響が出ます。
重要な事実
- 股関節の痛みは人によって強さや出方が違い、同じ診断でも症状が違うことがあります。
- 適切なケアや治療で痛みを和らげられることが多く、一人で我慢する必要はありません。
- 痛みをかばって動き方が変わると、腰や反対側の関節にも負担が出ることがあります。
はい、よくあることです。特に長く付き合う治療が必要な股関節の病気では、診断後も痛みが続いたり、からだの使い方によって痛みの強さが変わったりすることがあります。
股関節の病気やけががあると診断された方なら、年齢を問わずどなたにも起こり得ます。高齢の方や、立ち仕事・スポーツなどで股関節に負担がかかりやすい方に多く見られます。
症状
- 転んだり強い衝撃を受けたりして、立ったり歩いたりできない(すぐに119番に電話してください)
- 股関節のまわりが急に大きく腫れ、熱を持っている
- 足の色が青白い、または冷たくなっている
- 激しい痛みで、足に少し触れるだけでもがまんできない
- ⚠痛みが急に強くなり、今までの薬では治まらない
- ⚠熱があり、股関節の痛みと腫れがある
- ⚠安静にしていても痛む
- ⚠最近股関節の手術を受けたのに、急に痛みが強くなった
一般的な症状
- 歩くときに股関節やお尻、太ももが痛む
- 朝起きたときや、じっとしていた後に動き始めるときに痛む
- 座った姿勢から立ち上がるときに痛む
- 股関節の周りに違和感やこわばりがある
- 足を上げる、開く、ひねるなどの動きがしにくい
子供の症状
- 股関節の痛みを「太ももやひざが痛い」と表現することがあります
- 以前は歩けていたのに、急に足を引きずるようになる
- 発熱を伴う股関節の痛みは、早めに医療機関への相談が必要です
高齢者の症状
- 股関節の痛みで転びやすくなる
- 痛みをかばって歩くと、腰やひざにも痛みが出る
- 夜間、寝ているときに痛みで目が覚めることがある
原因
主な原因
- 股関節の軟骨がすり減ることで起こる痛み
- 関節の中の炎症が続くことで起こる痛み
- けがや骨折の後に、関節や周りの筋肉に影響が出ることで起こる痛み
- 股関節の周りの筋肉や腱(けん)の炎症や張り
- 骨に十分な血液が届かなくなることで起こる痛み
リスク要因
- 加齢(年をとるにつれて関節のすり減りが進む)
- 体重が増えて股関節への負担が大きくなる
- 長時間の立ち仕事や重いものを持つ仕事
- 運動不足による筋力低下
- 過去の股関節のけがや手術
- 家族に同じような股関節の病気がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 痛みが急に強くなった
- 熱や腫れを伴う
- 安静にしていても痛む
- 足に力が入らない、しびれがある
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが2〜3週間以上続く
- 日常生活や睡眠に影響している
- リハビリや治療をしているのに改善しない
- 医師からの説明で気になることがある
診断
すでに診断を受けている場合でも、医師はまず話を聞き、痛みの場所・強さ・起こる場面を確認します。その上で、体の動きや関節の状態を診て、必要に応じて画像検査を行います。
行われる可能性のある検査
- レントゲン(X線)検査:骨の変形や関節の隙間を確認します
- MRI検査:軟骨や腱、筋肉などの状態を詳しく調べます
- 超音波(エコー)検査:関節の中の炎症や液体を確認します
- 血液検査:炎症の程度や体全体の状態を調べます
診察で予想されること
診察では、痛む場所を触ったり、足を動かして状態を確認したりします。検査の内容によって時間は異なりますが、結果は後日あらためて医師から説明されることが多いです。
治療
治療の目的は、痛みをやわらげるだけでなく、動きやすさを保ち、日常生活を送りやすくすることです。診断された病気や症状の強さによって、治療の組み合わせが変わります。
自宅でのセルフケア
- 痛みが強いときは無理に動かさず、楽な姿勢で休む
- 冷やしたり温めたりするときは、使い分けを医師や理学療法士に相談する
- 杖や歩行器を使い、股関節への負担を減らす
- 横向きで寝るときは、股関節の間に軽いクッションをはさむ
- 急な方向転換や深くまがる動きを避ける
医療治療
医師の指示のもと、痛みの薬を用いた治療を行います。薬は症状や体質に合わせて、飲み薬・塗り薬・貼り薬のなかから選ばれます。また、関節への注射、筋肉の緊張をやわらげる注射、理学療法士による運動療法や物理療法、装具を使った治療も選択肢の一つです。どの治療も、必ず医療者と相談して決めることが大切です。
手術が検討される場合
薬やリハビリ、生活の工夫などの保存的治療で痛みが改善しない場合や、関節の変形が強く日常生活に支障がある場合は、手術が検討されることがあります。手術の内容やタイミングは、年齢・全身状態・生活スタイルを考えて、医師と話し合って決めます。
この病気と共に生きる
痛みがある日は無理をせず、体を休めることも大切です。一方で、軽く動かしたほうが楽になることもあります。痛みの様子を日記につけると、動き方の傾向が分かりやすくなります。家族や医療者に助けを求めることも、立派な対処法です。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠をしっかり取る
- つまずかないように家の中の整理整頓をする
- 椅子は高めにして立ち上がりやすくする
- お風呂やトイレに手すりをつける
- 痛みが強い日は予定を調整する
食事と運動
股関節の健康には、筋肉や骨を支える栄養と、適度な運動が大切です。カルシウムやたんぱく質、ビタミンDを含む食品をまんべんなく摂りましょう。運動は、痛みが少ない範囲での水中ウォーキングや自転車こぎ、ストレッチなどがおすすめです。運動を始める前に、医師や理学療法士に確認してください。
精神的健康と心の健康
痛みが続くと、気分が落ち込んだり、眠れなくなったり、一人で抱え込んでしまったりすることがあります。それは決して我慢が足りないからではありません。気持ちのつらさは、からだの症状と同じように大切なサインです。早めに医療者や家族に話しましょう。
予防
すでに診断されている場合、股関節の痛みを完全に防ぐのは難しいこともあります。それでも、筋肉を保つこと、体重を増やしすぎないこと、安全な姿勢で動くことを心がけると、痛みの悪化を防ぎ、症状を軽くできる可能性があります。
ワクチン
ワクチンそのものが股関節の痛みを直接防ぐわけではありません。ただし、感染症にかかると体全体に負担がかかるため、国の接種スケジュールに沿った予防接種を受けておくことは、健康管理に役立ちます。
検診プログラム
健康診断や骨密度検査を定期的に受けると、骨や関節の変化を早く知るきっかけになります。気になる症状があるときは、検診を待たずに医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 痛みをかばって歩くことで、腰や反対側の股関節・ひざに負担がかかり、新たな痛みが出る
- 筋力が落ちて、転びやすくなる
- 長く動かさないことで、関節の動きが悪くなる
- 痛みの原因によっては、病気の進行により関節の変形が進む
長期的な見通し
診断後の股関節の痛みは、適切な治療と生活の工夫で、多くの場合を和らげることができます。痛みがすべてなくならないとしても、自分に合う対処法を知ることで、楽しめる活動を続けられるようになることが大切です。焦らず、できることから一つずつ取り組んでいきましょう。
サポートを探す
地域の団体
- 日本整形外科学会 ↗ · 日本
- 日本骨粗鬆症学会 ↗ · 日本
- 厚生労働省 ↗ · 日本
相談窓口
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。