尿失禁:診断後のあなたへのガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態をいいます。これは病気そのものではなく、尿をためる・出す働きに問題が起きたときに現れる「症状」です。診断を受けた後に新たに始まったり、もともとあった症状が気になり始めたりすることもあります。
重要な事実
- 尿失禁は決して珍しくありません。多くの人が経験し、相談できる症状です。
- 恥ずかしいと我慢せず、医療機関に相談することで改善できる可能性が高いです。
- 膀胱や尿道の働きは、訓練や生活の工夫で良くなることがあります。
- デリケートな部分の皮膚を清潔に保つことが大切です。
とても多い症状です。日本では、一定の年齢以上になると、およそ3人に1人が何らかの尿漏れを経験すると言われています。男性でも女性でも起こります。
どの年齢の人にも起こり得ますが、特に出産を経験した女性、前立腺の治療を受けた男性、また年齢を重ねた人に多く見られます。ただし、若い人や子どもでも起こることがあります。
症状
- 尿を一滴も出せず、下腹部や腰に強い痛みがある(この場合はすぐに119番へ)
- 高熱と震えをともない、状態が急に悪くなる(119番へ)
- 尿に大量の血が混じっている(119番へ)
- 突然、意識がもうろうとし、自分で動けない(119番へ)
- ⚠排尿時に痛みや焼ける感じがある
- ⚠尿がにごっている、またはいつもと違うにおいがする
- ⚠最近になって尿漏れが急に悪化した
- ⚠骨盤のあたり(下腹部)の痛みが続く
一般的な症状
- せき、くしゃみ、笑い、重い物を持ったときなどに尿が漏れる
- 急に強い尿意が起こり、トイレに間に合わないことがある
- トイレに行った後でも、まだ尿が残っている感じがする
- 寝ている間に尿が漏れる
- 手術や病気の診断後に、新たに尿が漏れるようになった
子供の症状
- 夜、眠っている間に尿が漏れる(夜尿症)
- 日中もおもらしをすることがある
- 小学校低学年まではめずらしくありませんが、続く場合は相談をしてください
高齢者の症状
- 実際の尿の量より多くの回数、トイレに行く
- トイレへ行く途中で漏れてしまうことがある
- 動くのがおそくなり、尿が漏れやすくなる
- 服用している薬の影響で尿が漏れやすくなることがある
原因
主な原因
- 骨盤底筋(骨盤の底にある筋肉)のゆるみ
- 出産による膀胱や尿道の周りのダメージ
- 前立腺の病気やその治療の影響
- 膀胱の神経の働きに問題があること
- 便秘が続くことで膀胱に圧力がかかる
- 肥満によるおなかの圧力の高まり
- 一部の薬の副作用
リスク要因
- 年齢を重ねること
- 出産の経験
- 喫煙や慢性的なせき
- 慢性的な便秘
- 更年期の女性ホルモンの減少
- 膀胱を刺激する飲み物(コーヒーなど)のとりすぎ
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿がまったく出ない、またはおなかがパンパンにはって痛む
- 高熱や強い腰・背中の痛みをともなう
- 尿に鮮やかな赤い血が混ざる
- 意識がぼんやりする、めまいがする
定期受診を予約すべき場合:
- 尿漏れが何度もあり、日常生活に支障がある
- 尿漏れを隠すために人との付き合いを避けている
- 尿漏れのためのパッドや着替えが常に必要
- 小学生を過ぎても夜尿が続いている
- 治療や手術のあとに新しく尿漏れが始まった
診断
診断は、あなたの話を聞くことから始まります。医師が「いつ、どんなときに尿が漏れるか」を詳しく尋ねます。必要に応じて、おなかや骨盤を診たり、尿や血液の検査、超音波検査などを行います。
行われる可能性のある検査
- 排尿の記録(何時にどのくらいの量の尿が出たか、どのくらい漏れたか)をつける
- 尿検査(感染症や血尿の確認)
- 血液検査(腎臓の働きやホルモンなど)
- 超音波検査(残尿、腎臓の状態)
- 尿流量測定(尿を出すスピードと量)
- ウロダイナミクス検査(膀胱の圧力や機能を詳しく調べる)
診察で予想されること
外来で行える検査がほとんどで、緊張する必要はありません。膀胱の様子を見るために、尿をためた状態で検査を行うこともあります。検査は痛みをともなうものではなく、リラックスして臨めます。
治療
治療は、尿失禁のタイプと原因、あなたの生活スタイルにあわせて選びます。まずは自分でできる工夫を試し、それでも改善しない場合には、薬や医療機器、手術などの選択肢があります。厚生労働省の指針でも、症状に合わせた治療が推奨されています。
自宅でのセルフケア
- 骨盤底筋体操(骨盤の底の筋肉をゆっくり締める運動)
- 膀胱訓練(トイレに行く間隔を少しずつのばす)
- 尿漏れしやすい飲み物や食べ物を避ける
- 排尿しやすい姿勢をとる(前かがみになる、足元を安定させるなど)
- トイレに間に合わないとき用に予備の下着を用意する
医療治療
症状に応じて、膀胱の収縮を抑える薬や、尿道の周りの筋肉を強化する薬などの内服薬が処方されることがあります。また、尿道の外側から弱い電気刺激を与えることで筋肉を鍛える方法も、専門医のもとで行えます。薬には副作用があることもあるので、使う前に医師によく相談してください。
手術が検討される場合
生活の工夫や薬・リハビリでも改善しない場合は、手術が選択されることがあります。女性では尿道を支えるテープを当てる手術などが、男性では人工尿道括約筋の埋め込みなどが行われます。手術は専門の泌尿器科医に相談し、体の状態や症状をしっかり評価したうえで決めます。
この病気と共に生きる
尿漏れがあると、毎日の計画が難しく感じることがあります。外出の前にはトイレの場所を確認したり、パッドや着替えを持ち歩くと安心です。失敗しても自分を責めないでください。工夫で生活の安心感は大きく変わります。
生活習慣のアドバイス
- 体重を適正に保つ(肥満は腹圧を上げる)
- 水分を減らしすぎない(尿を濃くして膀胱を刺激するため)
- 便秘を予防する(食物繊維を多くとる)
- カフェインや炭酸飲料をとりすぎない
- 禁煙する(慢性のせきは腹圧を上げる)
- 毎日ほどよく体を動かす
食事と運動
特別な食事が必要なわけではありませんが、野菜や果物を十分にとり、便秘に気をつけましょう。便秘は膀胱を圧迫し、尿漏れを悪化させます。運動は、骨盤底筋を意識しながらのウォーキングから始めるのがおすすめです。腰を痛めない範囲で行ってください。
精神的健康と心の健康
尿漏れは、恥ずかしさ、不安、いらいら、気分の落ち込みなど、心への影響が大きい症状です。外出を避けたり、人との交流が億劫になったりすることもあります。あなたが感じていることは自然な反応です。しかし、多くの症状は改善できる可能性があります。ひとりで抱え込まず、家族や医療者に相談しましょう。気分がつらく、眠れない日が続く場合も、ためらわずに医師へ伝えてください。
予防
すべての尿失禁を防ぐことはできませんが、リスクを減らす方法はあります。適正な体重を保ち、日常の中で骨盤底の筋肉を意識し、便秘を予防することで、発症リスクを下げられます。すでに症状がある場合でも、悪化を防ぐことができます。
合併症
治療しない場合
- デリケートな部分の皮膚がかぶれたり、ただれたりする
- 尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎)のリスクが高くなる
- 早足でトイレに行こうとして転倒する
- 外出や人との交流を避けるようになり、生活の幅が狭くなる
- 夜間もトイレに起きることで睡眠不足になる
長期的な見通し
尿失禁は、あきらめる必要はありません。多くの人は、正しい診断と治療によって症状が改善し、快適な生活を取り戻せます。あるいは、残った症状とうまく付き合いながら、活発に暮らしている人も大勢います。あなたの生活の質は、工夫と支援で大きく向上します。希望を持って、まず一歩、医療機関に相談してみてください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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