妊娠中の尿もれ(尿失禁)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠中に、咳やくしゃみをしたときなどに尿が少しもれてしまうことをいいます。大きくなった子宮が膀胱を押すことで起こりやすくなります。治療やケアでよくなることがほとんどです。
重要な事実
- 尿もれは妊娠中の女性によくある症状です
- 恥ずかしいことではなく、相談することで楽になる方法があります
- 多くは出産後に改善しますが、続く場合は専門家に相談しましょう
とてもよくある症状です。妊娠した女性のおよそ3~5割が経験すると言われています。
妊娠中の女性、特に妊娠後期(7か月ごろ以降)に多く見られます。出産後に一時的におこることもあります。
症状
- 尿がまったく出ない
- 強い腰や下腹部の痛みがある
- 発熱があり、吐き気もする
- 見た目でわかる鮮血の血尿が出る
- ⚠排尿のときに強い痛みや焼けるような感じがある
- ⚠尿がにごっている、またはいつもと違う強い臭いがする
- ⚠おなかや腰の張りが続く
一般的な症状
- 咳やくしゃみ、笑ったとき、重いものを持ったときに尿がもれる
- 急に尿がしたくなり、トイレまで間に合わないことがある
- トイレが近く、何度も行きたくなる
- 尿が少しずつしみ出る感じがある
子供の症状
- 妊娠中の尿もれは大人の女性の症状のため、子どもに当てはまるものはありません。
高齢者の症状
- 高齢者に見られる尿もれとは原因が異なります。妊娠による尿もれは出産後に改善することが多いですが、加齢に伴う尿もれは続くことがあります。心配な場合は医師に相談してください。
原因
主な原因
- 大きくなった子宮が膀胱を圧迫するため
- 妊娠中に増える女性ホルモンの影響で尿道や骨盤底の組織がゆるみやすくなるため
- 出産のときに骨盤底筋という筋肉が引っ張られ、尿道をしっかり閉じられなくなるため
リスク要因
- 最初の妊娠
- 双子や三つ子など多胎妊娠
- 妊娠前からの体重が多い、または妊娠中の体重増加が大きい
- 便秘になりやすい
- 出産経験がある(特に産道がけがをした場合)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 排尿のときに強い痛みがある
- 尿に血が混じっている
- 発熱や悪寒がある
定期受診を予約すべき場合:
- 尿もれが続いて生活に支障がある
- 尿もれについてどうしたらよいか知りたいとき
- 妊婦健診の際に気になることとして伝えたい
診断
医師が妊娠中の経過や症状について詳しく聞き、尿検査や体の状態を確認します。必要に応じて、尿をためる力や骨盤底筋の状態を調べることもあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(感染の有無を調べます)
- 問診(いつ・どんなときにもれるかを聞かれます)
- 骨盤底筋の状態を確認(内診として行われることがあります)
- 残尿測定(排尿後に膀胱にどのくらい残っているか調べます)
診察で予想されること
妊娠中に行う検査は、赤ちゃんの安全を考えて選ばれます。少しの間は尿をためていただく場合もありますが、無理のない範囲で行われます。
治療
妊娠中の尿もれは、まず薬や手術をせずに、生活の工夫や骨盤底筋体操などの保存的治療を行います。症状の程度に合わせて、無理なく続けられる方法を一緒に考えます。
自宅でのセルフケア
- 骨盤底筋体操(こつばんていきんたいそう)を毎日行う ※産科医や助産師に正しい方法を教わりましょう
- 尿意を感じたら、少しだけがまんする練習をする(膀胱トレーニング)
- 咳やくしゃみをするときに、足を組み気味にするなどの姿勢で腹圧をさげる
- 水分を一度にたくさんとらず、こまめに飲む
- 重いものを持ち上げる動作をさける
医療治療
妊娠中に行える治療は限られているため、使用する場合も医師の指導のもとで行われます。医療用の体に負担がかからないコイル状の道具や、骨盤底筋を鍛えるための器具などを用いた方法が検討されることがありますが、妊娠中は必ず専門医に相談することが大切です。
手術が検討される場合
妊娠中に手術は行いません。出産後も改善せず、生活に支障が続く場合に、ほかの治療を試したうえで検討されます。
この病気と共に生きる
尿もれが心配なときは、専用の吸水パッドを使うと安心です。外出先では予備を1枚持っておくと気持ちに余裕ができます。また、長時間トイレに行けない場所では、事前にトイレの場所を確認しておきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 骨盤底筋体操を毎日の習慣にする
- 便秘を防ぐため、食物繊維をしっかりとる
- 急に走る・飛び跳ねるなど腹圧がかかる動作をさける
- 適度な運動は体調のよいときに
食事と運動
バランスのよい食事と、妊娠中に医師からすすめられた範囲での軽い運動を心がけましょう。特に便秘になると尿もれが悪化しやすいため、水分はこまめにとり、食物繊維や発酵食品を意識してとりましょう。
精神的健康と心の健康
尿もれは「恥ずかしい」「ありませんでした」と話せないことも多く、人に知られないかと不安になることがあります。そのため、外出や人との交流を控えてしまうこともありますが、それはとてももったいないことです。尿もれは治療やケアでよくなる症状なので、ひとりで抱え込まないでください。
予防
妊娠前から骨盤底筋を意識した体操やストレスをためない生活を送ることで、妊娠中の尿もれをやわらげられる可能性があります。ただし、妊娠中の体の変化によるものなので、完全に防げるとは限りません。現在妊娠中なら、今からでも骨盤底筋体操を取り入れるのがおすすめです。
ワクチン
妊娠中の予防接種については、かかりつけの医師と相談して決めましょう。感染症は尿路感染などにもつながるため、医師のすすめに従って受けることが大切です。
検診プログラム
妊婦健診には尿検査が含まれています。尿もれだけでなく、尿路感染や妊娠高血圧症候群を早く見つけるためにも、定けん受診を続けましょう。
合併症
治療しない場合
- 尿路感染症(膀胱炎などをおこしやすくなる)
- 尿もれが続くと、内ももやおしりの皮膚がかぶれたりただれたりする
- 出産後も症状が長びき、QOL(生活の質)が下がることがある
長期的な見通し
妊娠中の尿もれは、出産後に多くの場合改善します。出産後も続くときは骨盤底筋体操や生活の工夫でよくなることがよくあります。あきらめずに、専門家のサポートを受けましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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