子どもの腎臓病について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腎臓(じんぞう)は、背中の腰のあたりにある、そらまめのような形をした臓器です。血液をきれいにし、体の中でいらなくなったものを「おしっこ(尿)」として体の外に出す働きがあります。子どもの腎臓病とは、この腎臓の働きが何らかの原因で悪くなる病気のことをいいます。生まれつきのものと、成長の途中で起こるものがあります。
重要な事実
- 子どもの腎臓病には、生まれつきの形の異常と、後から起こる腎臓の炎症などがあります
- 早期に見つけて治療することで、腎臓の働きを長く保てることがあります
- 日本では学校で定期的におしっこの検査(学校検尿)が行われており、早期発見に役立っています
子どもの腎臓病は、あまり多くない病気です。しかし、風邪などの感染症をきっかけに起こるものや、学校検尿で見つかるものもあります。決して特別な病気ではなく、きちんとした治療や生活の管理で、多くの子どもが普通に生活できます。
新生児から思春期までのどの年齢の子どもにも起こり得ます。生まれつきの腎臓の形の異常は男の子にやや多く見られることがありますが、急性腎炎やネフローゼ症候群などは、特に幼稚園から小学校低学年の子どもに多く見られます。
症状
- 急に全くおしっこが出なくなった(12時間以上)
- 呼吸が苦しそう、息が荒い
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しにくい
- けいれんが止まらない
- 真っ赤な血尿が続く、または血の塊が出る
- ⚠顔や足のむくみが急にひどくなった
- ⚠おしっこの回数が普段より明らかに減っている
- ⚠発熱、吐き気、おなかの痛みが強い
- ⚠頭痛が続き、ぐったりしている
- ⚠尿検査で異常を指摘された
一般的な症状
- まぶたや足がむくむ(腫れる)
- おしっこに血が混じる(血尿)
- おしっこが泡立つ(たんぱく尿の可能性)
- おしっこの量が極端に少ない、または出ない
- 体がだるい、疲れやすい
- 顔色が青白い
子供の症状
- おねしょが続く、または急に増える(今までなかったのに始まった)
- 食事の好みが変わる、食欲がない
- 理由なく泣いたり機嫌が悪い(小さい子ども)
- 成長が遅い、背が伸びにくい
- 夜中に目を覚ます回数が多い
- 頭痛や吐き気を訴える(高血圧が原因のことがある)
高齢者の症状
- 高齢者でも腎臓の働きが悪くなると、むくみやだるさなどの似た症状が見られます。ただし、原因や治療の進め方は子どもの場合とは異なるため、まずはお近くの医療機関で相談してください。
原因
主な原因
- 生まれつきの腎臓や尿路の形の異常(先天奇形など)
- 溶連菌などの感染症の後に起こる急性糸球体腎炎
- ネフローゼ症候群(腎臓からたんぱくが漏れる病気)
- 膀胱尿管逆流(おしっこが腎臓に逆流する病気)
- 遺伝性の腎臓の病気(多発性囊胞腎など)
リスク要因
- 家族(親や兄弟)に腎臓病の人がいる
- 低出生体重で生まれた
- 重症の脱水や感染症を起こしやすい
- 尿路感染症をくり返している
- 血圧が高い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- むくみや血尿、おしっこの量の変化など、腎臓病を疑う症状が急に出た場合は、すぐに小児科または腎臓内科を受診してください
- 症状がなくても学校検尿で異常があれば、すみやかに精密検査を受けましょう
定期受診を予約すべき場合:
- おしっこの様子やむくみが気になるとき
- 学校検尿や健康診断で再検査をすすめられたとき
- 家族に腎臓病の人がいる場合、一度は受診して相談しましょう
診断
まずおしっこ(尿)の検査を行います。たんぱくや血が混じっていないかを調べます。その結果に応じて、血液検査や超音波(エコー)検査などで詳しく調べます。必要に応じて、腎臓の組織を一部取って調べる検査(腎生検)が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(おしっこの中のたんぱく、血、細菌を調べます)
- 血液検査(腎臓の働きや炎症の程度を調べます)
- 超音波(エコー)検査(腎臓の形や大きさを調べます)
- レントゲン検査、CT、MRI(必要に応じて)
- 腎生検(腎臓の組織を顕微鏡で調べる検査)
診察で予想されること
尿検査はおしっこを採るだけなので、痛みはありません。超音波検査はゼリーをおなかに塗って機械を当てるだけで、子どもにも負担が少ない検査です。腎生検は入院して行うことがありますが、体を楽にして安全に進められるようにします。検査の説明が難しい場合は、医師や看護師が子どもの年齢に合わせて説明します。
治療
治療は腎臓病の原因や重症度によって異なります。目的は、症状をとり除き、腎臓の働きを守り、子どもが元気に成長できるようにサポートすることです。治療は長く続くこともありますが、現代の医療で多くの腎臓病はコントロールできます。
自宅でのセルフケア
- 医師に指示された水分量を意識する(勝手に減らしたり増やしたりしない)
- 塩分のとりすぎに注意する
- 毎日決まった時間に体重や血圧を測る(むくみのチェック)
- 感染症予防のため、手洗い・うがいをしっかり行う
- 学校やおうちで、おしっこの様子を観察する
医療治療
薬の治療には、むくみをとる薬、血圧を下げる薬、腎臓の炎症を抑える薬、免疫の働きを調整する薬などがあります。お子さんの状態に合わせて、医師が最も適した治療を選びます。薬の種類や量は必ず医師の指示に従ってください。炎症が強い場合は、入院して点滴治療を行うこともあります。
手術が検討される場合
生まれつき腎臓や尿路の形に異常がある場合、または尿路の逆流が重度で薬で管理できない場合は、手術が検討されることがあります。また、腎臓の働きが極端に低下した場合は、透析や腎移植という治療が選択されることもあります。
この病気と共に生きる
学校生活は、お子さんの状態に合わせて医師と相談しながら続けることができます。体育の授業や遠足などについては、病状に合わせて参加のしかたを調整します。学校の先生や養護教諭とよく話し合い、お子さんが無理なく過ごせるようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠と食事を心がける
- かぜやインフルエンザなどの感染症にかからないようにする
- 医師の許可がない限り、激しい運動は控える(腎臓に負担をかけないため)
- 学校での水分補給やトイレの使い方について、先生と相談する
- 家庭での血圧測定を習慣にする
食事と運動
食事は、塩分を控えめにし、たんぱく質やカリウム、リンの量はお子さんの腎臓の状態によって調整が必要です。かかりつけの医師や管理栄養士の指導に従ってください。運動は、病状が安定していれば普通の子どもと同じように楽しめることが多いですが、激しいスポーツや接触の多い競技は制限される場合があります。必ず医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
長く続く治療や通院は、お子さまにとって不安やストレスになることがあります。「どうして自分だけが」と感じたり、学校で心ない言葉をかけられて傷つくこともあるかもしれません。お子さまの気持ちに寄り添い、話しを聞く時間をつくってください。必要に応じて、カウンセラーや医療ソーシャルワーカーに相談することも助けになります。
予防
すべての腎臓病を予防することはできませんが、尿路感染症やかぜなどの感染症を早めに治療し、脱水を避けることは、腎臓を守るために役立ちます。また、学校検尿などの健診を受けて、早期発見につなげることが大切です。
ワクチン
感染症は腎臓病を悪化させることがあります。お子さんの予防接種は、かかりつけの医師と相談しながら、なるべく標準的な時期に受けるようにしましょう。特に、腎臓の働きが弱い子どもは感染症のリスクが高いため、予防接種のスケジュールを医師に確認してください。
検診プログラム
日本では、小学校1年生から中学校3年生まで、学校で毎年「学校検尿」が行われています。これは、おしっこにたんぱくや血が混じっていないかを調べるもので、腎臓病の早期発見にとても役立っています。検尿で異常を指摘されたら、必ず医療機関で再検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 腎臓の働きがさらに悪くなり、慢性腎臓病になる
- 高血圧が続き、心臓や血管に負担がかかる
- 成長障害(低身長や思春期の遅れ)
- おしっこをろ過する力が極端に落ち、最終的に透析や腎移植が必要になることもある
- 貧血や骨が弱くなるなどの全身への影響
長期的な見通し
腎臓病の治療は、この数十年で大きく進歩しました。多くの子どもたちは、薬や食事などの治療を続けながら、普通に学校に通い、スポーツを楽しみ、大人になっても社会生活を送ることができます。たとえ腎臓の働きが低下しても、透析や腎移植などの治療によって、希望をもって未来を描き続けることができます。お子さまに寄り添い、医療チームと一緒に歩んでいけば、必ず道は開けます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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