妊娠中の膝の痛み
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠中に膝(ひざ)に痛みが出ることをいいます。おなかが大きくなると体の重心が変わり、膝に負担がかかりやすくなります。妊娠にともなうホルモンの影響で関節がゆるむことも関係します。多くの場合は心配のないもので、生活の工夫で和らげられます。
重要な事実
- 妊娠中は体重が増え、膝にかかる負担が大きくなります。
- 関節をゆるめるホルモンのせいで、膝が不安定になりやすいです。
- 多くは妊娠中の一時的なもので、出産後に改善することがほとんどです。
- 安静やストレッチ、正しい姿勢などの工夫が効果的です。
はい、多くの妊婦さんが経験する身近な症状です。妊娠後期(特に8〜9か月)に起こりやすいといわれています。
妊娠中の女性なら誰にでも起こりえます。もともと膝が弱い方や、体重増加が大きい方、運動習慣が少なかった方は特に注意が必要です。
症状
- 膝の痛みに加えて、突然の胸の痛みや息切れがある場合
- 片足全体がはれ、赤くなり、熱を持って強い痛みがある場合(血栓の可能性)
- 転んだり事故で膝を強く打ち、激しい痛みで動かせない場合
- ⚠膝が赤く腫れて熱を持ち、痛みが強くなっている
- ⚠膝に水がたまり、曲げ伸ばしできない
- ⚠体重をかけると激痛が走り、歩けない
- ⚠痛みが数日続いて悪化している
一般的な症状
- 膝の前側(お皿のまわり)が痛む
- 階段の上り下りやしゃがむときに痛む
- 立ち上がるときに膝に力が入りにくい
- 膝が少し腫れぼったい
- 長時間歩くと膝がだるい
原因
主な原因
- 体重増加とおなかの大きさによる重心の変化
- リラキシンなどのホルモンが関節や靭帯をゆるめる
- 姿勢の変化(反り腰や外股歩行など)で膝への負担が増える
- 運動量が減り、膝を支える筋肉が弱くなる
リスク要因
- 妊娠前から膝が痛かった方
- 急激な体重増加
- 多胎(双子など)でおなかが大きくなりやすい
- 運動習慣が少なく筋力が不足している
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に膝を動かせないほどの痛みが出た
- 膝の激しい痛みとともに、足のしびれや冷えがある
- 発熱をともなう膝の腫れ
定期受診を予約すべき場合:
- 妊娠中いつでも、膝の痛みが生活の妨げになるときは一度相談しましょう
- 市販の湿布などを自己判断で使う前に、助産師や医師に相談するのが安心です
診断
医師が問診(症状や妊娠経過の確認)と診察を行い、膝の痛みの場所や状態を確認します。必要に応じて画像検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 問診と身体診察(腫れや熱、動きの確認など)
- 超音波検査(膝の中の水や組織の状態をみます)
- MRI検査(痛みの原因を詳しく調べる場合があります)
- X線検査(骨折などが疑われる場合のみ)
診察で予想されること
診察では、いつからどのようなときに痛むかを聞かれます。妊娠中のため、安全な検査方法やケア方法を一緒に相談できます。痛みはたいてい一時的なものですから、安心して話してください。
治療
治療の中心は、膝への負担を減らすための生活の工夫と、ゆるんだ関節を支えるための運動です。薬を使う場合は、妊娠中に安全とされる方法を医師がていねいに説明します。
自宅でのセルフケア
- 安静にして、痛みが強いときは無理に動かさない
- 膝を冷たいタオルなどで冷やして痛みを和らげる
- 座るときは足を少し上げ、膝の下にクッションを置いて負担を減らす
- ヒールの低い、運動靴などの歩きやすい靴をはく
- ゆっくりとしたストレッチや、無理のない範囲での筋力トレーニング
- 長時間立ったままや座ったままでいることを避ける
- 同じ姿勢を続けず、少しずつ動くようにする
医療治療
医師や理学療法士の指導のもと、妊娠中でも安全な範囲で運動や物理療法(温熱や電気刺激など)を行うことがあります。薬を使う場合は、妊娠中の安全性を考慮したものを医師が選びます。必ず自己判断せず、医師に相談してください。
手術が検討される場合
妊娠中の膝の痛みで手術が必要になることはまれです。強いけがや特別な病気が原因の場合は、医師が妊娠経過をみながら慎重に判断します。多くの場合は手術をせず、保存的な治療で対応できます。
この病気と共に生きる
毎日の生活では、痛みを感じたら休むこと、そして動けるときは軽く体を動かすことが大切です。おなかの重さを支えるために、骨盤ベルトやマタニティウェアを活用する方もいます。自分に合った方法を見つけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 歩くときは背筋を伸ばし、大股ではなく歩幅を小さめにする
- しゃがむときはひざをそろえず、片ひざを立てて負担を分散する
- 寝るときは横向きになり、ひざの間に枕をはさむと楽になります
- 長時間立ちっぱなしより、こまめに座る休憩をとる
- 足腰の筋力を保つため、医師と相談して妊婦向けの運動を行う
食事と運動
妊娠中の体重増加をコントロールするために、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。カルシウムやビタミンDなどの栄養素は骨や筋肉の健康に役立ちますが、サプリメントの利用は医師に相談してください。運動は妊婦さんに安全な範囲でウォーキングや水中運動などを行うと、膝を支える筋肉を保てます。
精神的健康と心の健康
痛みが続くと、動作の不便さやストレスを感じることがあります。「自分のせいかな」と悩みすぎないでください。妊娠中は体が大きく変化する時期です。困ったことは周囲に話し、サポートを受けましょう。
予防
完全に防ぐことはできませんが、妊娠前から適度な運動を続けること、体重増加をコントロールすること、正しい姿勢を意識することで、膝の負担を減らすことができます。
ワクチン
膝の痛みを予防するためのワクチンはありません。
検診プログラム
特別な検診はありませんが、妊婦健診のときに膝の痛みについて医師や助産師に伝えると安心です。
合併症
治療しない場合
- 痛みのために運動量が減り、体重増加が進みやすくなる
- 膝の痛みをかばって別の場所(腰や股関節など)も痛くなることがある
- まれに膝の痛みが産後まで続くことがある
長期的な見通し
妊娠中の膝の痛みの多くは、出産後、体の状態が元に戻ると自然に改善します。その間も適切なケアを続ければ、快適に過ごすことができます。自分の体をいたわりながら、無理のないペースで過ごしてください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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