尿もれ・排尿トラブルとともに生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
尿失禁(にょうしっきん)とは、自分の意思とは関係なく、尿が漏れてしまう状態のことです。尿もれの一種であり、原因はさまざまです。決して恥ずかしいものではなく、多くの場合、適切な相談と対策で改善できます。
重要な事実
- 尿もれは、誰にでも起こりうるよくある症状です。
- 年をとったら仕方ない、と我慢する必要はありません。
- 原因を調べることで、生活しやすい方法が見つかります。
- 早めに相談すると、治療や工夫の選択肢が広がります。
とてもよくある症状です。成人のおよそ10人に1人以上が何らかの尿もれを経験するといわれています。加齢や出産などがきっかけになることがありますが、本人だけの問題ではありません。
子どもから高齢者まで、誰にでも起こりえます。とくに、出産経験のある女性、閉経後の女性、前立腺に問題がある男性、慢性の便秘のある人、神経や筋肉の病気がある人にみられやすい傾向があります。
症状
- 尿がまったく出ず、下腹部が強く痛む
- 尿に血が混じり、腰や背中に激しい痛みがある
- 高熱があり、排尿ができない、または排尿時の痛みが非常に強い
- 意識がぼんやりする、冷や汗が出るなど、全身の状態が悪い
- ⚠尿に血が混じっている
- ⚠排尿時の痛みが強く、発熱がある
- ⚠おなかや腰の痛みが続く
- ⚠最近になって、排尿の状態が急に悪くなった
一般的な症状
- 咳やくしゃみ、笑ったとき、重いものを持ったときに尿がもれる
- 急に強い尿意が起こり、トイレに間に合わない
- 夜中に何度もトイレで目が覚める
- トイレに行った後も、まだ尿が残っている感じがある
- 排尿のときに痛みや違和感がある
子供の症状
- 夜のおねしょが続く
- 昼間にパンツへ尿がもれる
- トイレに行く回数が極端に少ない、または多い
- 排尿を我慢する姿勢や、もじもじする様子が見られる
- 排尿のときに痛がる、焼けるように感じる
高齢者の症状
- 急に我慢できない尿意が強くなる
- 歩くのがゆっくりになり、トイレに間に合わない
- 夜間のトイレの回数が増え、転倒の心配がある
- 便秘や薬の影響で尿もれが悪化する
- 認知症などでトイレの場所がわからず、もれてしまうことがある
原因
主な原因
- 骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋)や、尿道を支える組織が弱くなる(妊娠・出産、加齢など)
- 膀胱の筋肉が過敏に収縮してしまう
- 男性の前立腺肥大により、尿の出口が狭くなる
- 神経の病気やけがで、排尿をコントロールしにくくなる
- 尿路感染症、便秘、一部の薬、手術の影響
リスク要因
- 出産の経験
- 慢性的な便秘
- 重い物を繰り返し持ち上げる仕事や動作
- 糖尿病や神経の病気
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血尿が出た
- 排尿時や腰、下腹部に強い痛みがある
- 発熱をともなっている
- 突然、尿がまったく出なくなった
定期受診を予約すべき場合:
- 尿もれのために生活が不便になっている
- 夜中に何度もトイレで起きて、睡眠が足りない
- 尿もれを気にして、外出や趣味をあきらめている
- 尿もれの回数や量が増えてきた
診断
医師が、症状の様子や生活の状況を詳しく聞き、必要に応じて尿検査や超音波検査などを行います。「いつ、どのくらい尿がもれたか」を日記につけると、診断の手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(尿に血や細菌がないか調べる)
- 残尿測定(排尿後に膀胱に残った尿の量を測る)
- 超音波検査(膀胱や腎臓の様子を見る)
- 尿流測定(尿の勢いを測る検査)
- 排尿日誌(1日の排尿量や回数を記録する)
- ウロダイナミクス検査(膀胱の圧力や働きを詳しく調べる検査)
診察で予想されること
初診では、尿もれの状況や飲んでいる薬、過去の病気、出産歴、仕事や生活についても聞かれます。緊張する必要はありません。必要があれば、検査の目的や流れを説明してもらえます。ほとんどの検査は痛みの少ないもので、負担を減らす工夫もされています。
治療
治療は原因や生活への影響によって異なります。まずは骨盤底筋体操や膀胱訓練などの行動療法と生活習慣の見直しに取り組み、それでも十分でない場合に薬や医療的な治療、手術を検討します。自分に合った方法を、医師と一緒に選んでいくことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 骨盤底筋体操:肛門や膣を締めてからゆるめる運動をくり返し、骨盤の底の筋肉を鍛えます。
- 膀胱訓練:尿意を感じても少しずつ我慢する時間をのばし、膀胱を慣らしていきます。
- 排尿日誌をつけて、自分のトイレのリズムを知る。
- 水分を飲みすぎず、かといって我慢しすぎず、こまめにとる。
- 便秘を予防し、おなかに余分な負担をかけない。
医療治療
医師が処方する薬(膀胱の過剰な収縮を抑える薬や、排尿のしくみに働きかける薬など)、尿道や骨盤を支える器具、専門的な治療などがあります。薬の使用は、必ず医師の指示に従ってください。自己判断で量を変えたり、中止したりしないことが大切です。
手術が検討される場合
ほかの治療で十分に改善しない場合、手術が選択肢になることがあります。例えば、膀胱や尿道の位置を支える手術や、前立腺が原因の場合に行う処置などです。手術が必要かどうかは、専門医による検査と話し合いで決定されます。
この病気と共に生きる
尿もれがあると、外出や人と会うことが不安になるかもしれません。しかし、工夫次第で多くの活動は続けられます。予備の下着や尿もれ用パッドをバッグに入れる、トイレの場所を確認しておく、移動中のトイレ休憩を計画するなどで、安心感が変わります。薬局の薬剤師や看護師に、症状に合った用具を相談するのもよい方法です。
生活習慣のアドバイス
- 朝起きたらコップ1杯の水を飲み、朝の排尿リズムをつくる
- カフェインやアルコールを控えめにする
- 便秘を防ぐため、食物繊維を十分にとる
- 1日30分程度のウォーキングなど、無理のない範囲で体を動かす
- 喫煙をやめる(咳が尿もれの引き金になるため)
食事と運動
水分を減らしすぎると、尿が濃くなって膀胱を刺激し、かえって症状が悪化することがあります。1日1.5リットル前後を目安に、飲みすぎず我慢しすぎずを意識しましょう。食事は、食物繊維で便秘を防ぎ、たんぱく質で筋肉を維持することが大切です。運動中は呼吸を止めず、骨盤底筋体操では力を抜く時間も大切にします。
精神的健康と心の健康
毎日尿もれを気にしていると、疲れや不安、落ち込みを感じることもあります。「年のせいだから」とひとりで抱え込まず、医療者に話すだけでも気持ちが楽になります。睡眠不足が続くときは、夜間の水分のとり方や寝室の動線を見直してみましょう。強い不安やつらさがあるときは、自治体の心の健康に関する相談窓口や精神保健福祉センターなどの専門機関に相談してください。緊急時には119番をためらわずに使ってください。
予防
すべての尿もれを防ぐことはできませんが、リスクを減らすことは可能です。規則正しい排尿、便秘の予防、適度な運動、禁煙などが役立ちます。女性では妊娠中や産後の骨盤底筋体操が予防に役立つという報告もあります。すでに症状がある場合も、無理に自分で治そうとせず、早めに相談することが大切です。
検診プログラム
尿もれそのものの定期的な検診はありません。気になる症状がある場合は、健康診断の機会やかかりつけ医の診察のときに、自分の言葉で伝えてみましょう。
合併症
治療しない場合
- 尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎)を起こしやすくなる
- 尿が皮膚に触れて、かぶれやただれができる
- 夜間のトイレが原因で、転倒や骨折のリスクが高まる
- 外出や人づきあいを避けるようになり、生活の質が下がる
- まれに、膀胱や腎臓に負担がかかり、腎機能に影響することがある
長期的な見通し
尿もれは、多くの場合、適切なケアと治療で改善できる症状です。ひとりで解決しようとせず、医療者と相談しながら進めていけば、できることは増えていきます。たとえ症状が続いても、生活を快適にする道具や工夫はたくさんあります。あきらめずに、自分に合った方法を一緒に見つけていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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