尿失禁と共に生きる
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
尿失禁(にょうしっきん)とは、自分の意図しないときにおしっこが漏れてしまう状態のことです。膀胱(ぼうこう)に尿をためる力や、尿道(にょうどう)を締める力が弱ると起こります。
重要な事実
- 尿失禁には、せきやくしゃみで起こる「腹圧性尿失禁」と、急にトイレに行きたくなる「切迫性尿失禁」など、いくつかの種類があります。
- 尿失禁はよくある問題で、女性だけでなく男性にも起こります。
- 自分でできるトレーニングや生活の改善で、症状がよくなることがあります。
はい。とてもよくある悩みです。女性の約3割が経験するといわれ、男性にも起こります。恥ずかしいと思って我慢している人も多いですが、治療で改善できることが多くあります。
妊娠・出産を経験した女性、閉経後の女性、前立腺(ぜんりつせん)の手術を受けた男性、高齢者に多くみられます。しかし、若い人や子どもにも起こります。
症状
- 突然、腰や背中に激しい痛みがある
- 尿がまったく出ず、下腹部が張って痛む
- 尿に血の塊(かたまり)が混じる
- 意識がぼんやりする、体の片側が動かしにくい、しびれがある
- ⚠排尿するときに強い痛みや焼ける感じがある
- ⚠熱をともなう腰や背中の痛みがある
- ⚠尿がにごっている、強いにおいがある
- ⚠急に尿失禁が悪化した
一般的な症状
- せきやくしゃみ、笑ったときに尿が漏れる
- 急に強い尿意を感じて、トイレに間に合わない
- 尿が漏れて下着がぬれる
- トイレの回数が多い(1日に8回以上)
- 夜中に何度もトイレに起きる
子供の症状
- 昼間におもらしをする
- 5歳を過ぎても夜のおねしょが続く
- おしっこを我慢できず、足を組んだりしゃがんだりする
- おしっこをするときに痛がる
高齢者の症状
- トイレに行くまでに間に合わず、漏らしてしまう
- 夜中に何度もトイレに起きて眠れない
- 皮膚がかぶれたり、尿路感染症になりやすい
- 転倒の心配から、自分で動くのを控えてしまう
原因
主な原因
- 出産や加齢によって骨盤の筋肉がゆるむ
- 膀胱が過敏になって、少しの尿でも強く収縮する
- 膀胱や尿道の神経の障害
- 尿路感染症などの炎症
- 前立腺肥大や前立腺がんの影響
リスク要因
- 妊娠・出産
- 長く続くせき
- 特定の薬の使用
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿が出ない、またはほとんど出ない
- 血尿が続く
- 高熱や激しい腹痛がある
- 突然、足や腰の力が入らなくなった
定期受診を予約すべき場合:
- 尿漏れが続いていて、生活や外出に支障がある
- 夜中に何度もトイレに起きて睡眠が足りない
- おむつやパッドを毎日使っている
- 子どもが5歳を過ぎてもおねしょが続く
診断
医師があなたの症状を詳しく聞き、身体の診察を行います。必要に応じて排尿の記録(排尿日誌)をつけてもらい、検査で原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(感染や血尿の有無を調べます)
- 残尿検査(排尿後に膀胱に残った尿の量を超音波で測ります)
- 尿流検査(おしっこの勢いや量を測ります)
- 内診(女性は腟、男性は直腸から骨盤の筋肉の状態をみます)
診察で予想されること
ほとんどの検査は診察室で行え、痛みはほとんどありません。検査の前に、気になっている症状や普段の排尿の様子をメモしておくと、診察がスムーズです。
治療
治療は、尿失禁の種類や程度、あなたの生活に合わせて組み立てられます。まずは自分でできるケアから始め、それでも効果が不十分な場合に、薬や手術などの専門的な治療を検討します。
自宅でのセルフケア
- 排尿日誌をつける(いつ、どれくらいの量で漏れたかを記録する)
- 膀胱訓練(トイレに行く間隔を少しずつ延ばし、膀胱を慣れさせる)
- 骨盤底筋体操(骨盤の底の筋肉を意識的に締めたりゆるめたりする運動)
- カフェインやアルコールを控え、一度にたくさんの水分をとらない
- 便秘にならないように、食物繊維をとる
- 体重が多めの場合は、減量を目指す
医療治療
薬の治療は、膀胱の落ち着きをよくするものや、尿道の筋肉を強くするものなど、症状に応じて医師が選択します。また、骨盤の筋肉に電気刺激やバイオフィードバック(体の反応を見ながら訓練する方法)を行うこともあります。こうした治療は医師や専門スタッフの指導のもとで行います。
手術が検討される場合
薬や自己トレーニングで効果がみられない場合や、重症の場合は手術が検討されます。尿道の支えを補強する手術や、尿道の周りに人工の括約筋(かつやくきん)を入れる手術などがあります。手術の内容やリスクについては、担当医と十分に話し合って決めましょう。
この病気と共に生きる
尿失禁があっても、事前の工夫で安心して過ごせます。外出時はトイレの場所を確認しておく、吸収パッドや着替えを携帯する、長時間の外出を避けるなどの対応が助けになります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつける
- 寝る前1〜2時間は水分をとりすぎない
- 骨盤底筋体操を日課にする
- 禁煙する(せきが尿漏れを悪化させることがある)
食事と運動
適正体重を保つことは、腹圧性尿失禁の予防と改善に役立ちます。便秘は排尿にも影響するため、野菜や果物などの食物繊維を十分にとり、水分も適切に飲みましょう。激しい運動は膀胱に負担をかけることがありますが、ウォーキングなどの軽い運動は続けましょう。
精神的健康と心の健康
尿漏れの不安から、外出や人との交流を避けてしまうと、気分が落ち込んだり、孤独を感じたりすることがあります。つらい気持ちは自然なことですが、ひとりで抱え込まずに、誰かに話すと楽になることがあります。
予防
すべての尿失禁を防ぐことはできませんが、リスクを減らすことはできます。骨盤底筋体操を続ける、体重を管理する、便秘を防ぐ、おしっこを我慢しすぎないことが大切です。
ワクチン
尿失禁を直接予防するワクチンはありません。ただし、尿路感染症を予防するためには、水分をこまめにとること、排尿をがまんしないこと、清潔を保つことが役立ちます。
検診プログラム
特定の検診はありませんが、健康診断の尿検査で異常が見つかることがあります。気になる症状がある場合は、検診の結果を持って早めに医療機関で相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 尿が漏れて肌がかぶれたり、ただれたりする
- 尿路感染症を繰り返す
- 夜中にトイレに行こうとして転倒する
- 外出や人との交流を避けることで、うつ状態や孤立が進む
長期的な見通し
尿失禁は、適切なケアと治療で多くの人が改善しています。あきらめずに、自分に合った方法を探すことが大切です。専門の医師に相談すれば、あなたの生活に寄り添ったアドバイスがもらえます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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