子どもの低血糖
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
低血糖は、血液の中の糖(ブドウ糖)が少なすぎる状態です。ブドウ糖は体と脳の大切なエネルギー源です。とくに子どもは、食事の間隔が長くなったり、激しく遊んだり、病気になったりすると、血糖値が下がりやすいことがあります。
重要な事実
- 低血糖は、早めに見つけて適切に対処すれば、安心して元に戻ることがほとんどです。
- 子どもの低血糖の原因には、インスリン治療中の糖尿病のほか、食事不足や長時間の空腹、激しい運動などがあります。
- 重症の低血糖は、意識を失うなど危険な状態になるため、すぐに対処する必要があります。
低血糖は、糖尿病の子どもではよくあることですが、糖尿病ではない子どもでも、特に小さな子どもで、長時間食べなかったり激しく遊んだりした後に起こることがあります。
低血糖は、インスリン治療を受けている糖尿病の子どもに多く見られます。また、糖尿病がない子どもでも、空腹が長く続いた場合や、胃腸炎などで食事がとれない場合に起こることがあります。特に1歳から6歳くらいの小さな子どもは、症状を言葉で伝えにくいため注意が必要です。
症状
- 意識がない、呼びかけに反応しない
- けいれん(ひきつけ)を起こしている
- 自分で飲み込めない、のどの詰まりがある
- 呼吸が浅い、または止まっている
- ⚠血糖値を上げる対応をしても、10〜15分たっても症状が改善しない
- ⚠何度も低血糖を繰り返す
- ⚠激しいおう吐や下痢で水分や食事がとれない
- ⚠ぐったりしていて、とても元気がない
一般的な症状
- 手足のふるえ
- 強い空腹感
- 動悸(心臓がどきどきする)
- 疲れやすい
子供の症状
- 機嫌が悪くなる、泣き止まない
- 元気がない、ぼんやりする
- 顔色が悪い(青白い)
- 頭痛やめまいを訴える(言葉にできる場合)
- いつもと違う行動をする(ぐずる、混乱する)
高齢者の症状
- 大人や高齢者では、判断力の低下や意識がもうろうとするなどの症状が現れますが、子どもではこのような症状を言葉で伝えられないことがあります。
原因
主な原因
- 糖尿病の治療:インスリンや血糖を下げる薬の量が多すぎる場合
- 食事量の不足:食事を抜いたり、量が少なすぎたりする
- 激しい運動・長時間の遊びで糖をたくさん使う
- 病気(感染症など)で食欲が落ち、エネルギーが不足する
- 長時間の空腹(特に乳幼児)
リスク要因
- 糖尿病の治療をしている
- 食事が不規則(朝食を抜くなど)
- 胃腸炎などで食事・飲み物がとれない
- 激しい運動をした後に休まずに過ごす
- 低血糖を起こしたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 自宅で糖分をとっても症状が改善しない場合
- 意識がもうろうとしたり、けいれんを起こしたりした場合
- 低血糖を起こしたのが初めての場合
- 体重が減っている、成長が気になる場合
定期受診を予約すべき場合:
- 低血糖を何度も繰り返す
- 食後の血糖値の変化が気になる
- 糖尿病がある・または糖尿病が疑われる場合
- 原因不明の機嫌の悪さや疲れが続く
診断
お子さんの症状と経過を聞き、血液で血糖値を測ることで診断されます。糖尿病のある子が高血糖と血糖の変動で診断しますが、低血糖自体は血糖値を測定して確認します。
行われる可能性のある検査
- 血糖値の測定(指先からの採血など)
- 血液検査(ホルモンや電解質の確認)
- 尿検査(ケトン体など)
- 食事や運動と血糖値の関係を見る記録
診察で予想されること
医師は症状の詳しい状況(いつ、どんなときに起こるか)を尋ねます。必要に応じて数時間の血糖の変化を見る検査や、追加の血液検査を行うこともあります。子どもが小さくても、検査は痛みを伴うものではないかまわない工夫をしてくれるので、安心して相談しましょう。
治療
低血糖の治療の第一歩は、すぐに血糖値を上げるために糖分をとることです。意識がない場合や飲み込めない場合には、口からではなく医療機関での対応が必要です。原因となる病気や薬の使い方の調整をすることで、再発を防ぎます。
自宅でのセルフケア
- 気分が悪いときは、砂糖入りの飲み物やあめ、ブドウ糖など、すぐに吸収される糖分を少量とる(意識がある場合のみ)
- その後、バランスのよい食事やおやつをとる
- 症状がよくなったあとも、しばらくは安静にする
- 低血糖の症状と対処法を、家族や学校の先生に伝えておく
医療治療
医師の指示のもと、血糖を調整する治療が行われます。糖尿病の場合は、インスリンの量や種類を調整したり、食事や運動の計画を立てたりします。低血糖を起こしやすい体質が原因の場合は、原因に合わせて食事回数や内容を調整したり、必要に応じて薬を使うこともあります。薬は必ず医師の処方に従い、自己判断で使わないでください。
手術が検討される場合
この病気に関して、通常は手術は行われません。
この病気と共に生きる
日常の生活では、食事の時間を決まりよくすること、運動の前後で血糖値の変化を確認することが大切です。家族や学校の先生に低血糖の症状と対処法を伝えて、協力してもらいましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎食を規則正しく、1日3回しっかり食べる
- 運動前には適切な量の食事や糖分をとる(必要に応じて医師に相談)
- 水分をこまめにとる(特に運動中や暑い日)
- 外出先では、すぐに食べられる糖分の入ったものを常に携帯する
- 症状が出やすい場面を日ごろからメモしておく
食事と運動
食事は、炭水化物(ごはん、パン、めん類など)を中心に、バランスよくとることが基本です。糖分だけでとるのは短時間の対策であり、日常的にはたんぱく質や野菜も含めてゆっくり吸収される食事を心がけます。運動は体に良いことですが、激しい運動の前後には必ず食事をとり、長い運動は途中で少量の補食をとるようにしましょう。
精神的健康と心の健康
低血糖を怖がりすぎると、お子さん自身が不安になったり、生活が制限されたりすることがあります。特に小学生以上では、自分で症状に気づく力を育て、適切に対処できるようにサポートすることが大切です。家族の不安も、専門家に相談することで軽くなります。
予防
多くの低血糖は、食事・運動・薬の調整を正しく行うことで予防できます。子どもが小さいときは、家族が記録したり、周囲に情報を共有したりして、危険を早く見つけることが大切です。ただし、糖尿病の治療中の子どもでは、時折低血糖が起こることもあり、それが大きな問題にならないよう日頃から備えます。
ワクチン
低血糖を直接予防するワクチンはありません。
検診プログラム
特定の症状がない場合、健康な子どもに低血糖のスクリーニング検査が行われることは一般的ではありません。ただし、糖尿病の治療開始時や治療中は、血糖値のモニタリングが重要です。
合併症
治療しない場合
- 意識障害やけいれん
- 昏睡(こんすい)状態
- 脳に障害が残ることがある(長期・重度の場合)
長期的な見通し
低血糖は、早めに気づいて適切な対応をすれば、ほとんどの場合後遺症なく回復します。原因をきちんと調べて治療すれば、健康的な日常生活を送ることができます。子どもも成長して自分で管理できるようになりますので、あせらずに医療者と一緒に進めていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。