高齢者の低血糖(低すぎる血糖値)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
低血糖(ていけっとう)とは、血液中のブドウ糖(エネルギー源)が少なくなりすぎて、体と脳がエネルギー不足になる状態です。血糖値が正常範囲より下がると、冷や汗・ふるえ・動悸などの症状が現れます。高齢者では症状がわかりにくく、気づかないうちに進むこともあるため、周囲の理解と早めの対応が大切です。
重要な事実
- 高齢者は若い人に比べて低血糖を起こしやすく、症状に気づきにくいことがあります。
- 低血糖の多くは糖尿病の治療中に起こりますが、食事を抜いたり、運動が急に増えたりしたときにも起こります。
- 低血糖は早期に適切な糖分を摂れば改善しますが、重度になると意識を失うこともあり、救急対応が必要になります。
高齢者の糖尿病治療では、低血糖は比較的よくある出来事です。高齢になるほど腎臓や肝臓の働きが低下し、薬の効き方が長く続きやすくなるため、注意が必要です。
糖尿病の薬(特に血糖を下げる薬)を使っている高齢者に多くみられます。また、糖尿病ではない人でも、食事を抜いたとき、度をこした飲酒、激しい運動の後などに起こることがあります。
症状
- 意識がない・呼びかけに反応しない(すぐに119番)
- けいれんを起こしている(すぐに119番)
- 呼吸が浅い、または止まっている(すぐに119番)
- 自分で飲み込めない(誤嚥のおそれがあるため、直ちに119番)
- ⚠低血糖の症状が強く、糖分を摂っても改善しない
- ⚠何度も低血糖を繰り返す
- ⚠糖尿病の治療中で、食事がまったくとれない、または嘔吐が続く
一般的な症状
- 手のふるえ
- 動悸(心臓がドキドキする)
- 強い空腹感
- めまい・ふらつき
子供の症状
- 機嫌が悪くなる、ぐずる
- 眠そうにする、ぼんやりする
- けいれんを起こすこともある
高齢者の症状
- 症状がはっきりしないことがあり、だるさ・ぼんやり・元気がない・言葉がゆっくりになる・歩き方のふらつきなどとして現れる
- 夜間に起こると、寝汗・悪夢・朝の頭痛・熟睡感のなさを感じる
- 体温が低くなる、意識がもうろうとする、転びやすくなる
原因
主な原因
- 糖尿病の治療薬(血糖を下げる薬)の作用が強すぎる、または量が多すぎる
- 食事の時間が遅れたり、食事量が少なかったりする
- 運動をいつもより多く行った
- アルコールを空腹時に飲んだ
- 腎臓や肝臓の働きが低下している
リスク要因
- 高齢(75歳以上)
- 糖尿病治療中(特に血糖を下げる薬を使っている)
- 認知症やうつなどで食事を適切にとれない
- 腎機能の低下
- 他の病気の治療薬を複数使っている
- 低血糖を起こしても症状に気づきにくい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 低血糖の症状が強く、市販の糖分を摂っても改善しない
- 意識がもうろうとする、または周囲の人が普段と違うと感じる
- 低血糖を週に何度も起こす
定期受診を予約すべき場合:
- 糖尿病治療中で、低血糖が心配になったとき
- 血糖値が低い日が続く、または低血糖後の血糖コントロールが不安定
- 薬の量や種類、食事内容について相談したいとき
診断
低血糖の診断は、症状と血糖値の測定結果から行われます。血糖値が70mg/dL(目安)未満で、典型的な症状がある場合に低血糖と判断されます。高齢者は自覚症状がなくても血糖値が低い場合もあるため、家庭での血糖測定が役立ちます。
行われる可能性のある検査
- 指先の血をしぼって測る血糖測定器(自己血糖測定)
- 医師による問診と診察
- 必要に応じて血液検査(インスリン、Cペプチド、肝機能、腎機能など)
- 長時間の空腹時や発作時の血糖値を調べる負荷試験
診察で予想されること
診察では、症状の出た時間帯、直前に食べたもの、使っている薬、持病などについて詳しく聞かれます。血糖値の記録や食事記録があると診断の助けになります。
治療
低血糖を起こしたときは、まずすばやく糖分を補給することが治療の基本です。ただし、高齢者では飲み込む力が弱っていることもあるため、意識がはっきりして、安全に飲み込めることを確認してから行ってください。意識がない場合は、無理に口から何かを与えず、直ちに119番へ連絡します。
自宅でのセルフケア
- 低血糖時の対応を医師から指示されている場合は、その指示に従ってください。
- 指示がない場合は、意識がはっきりしていて飲み込めることを確認し、糖分を含む飲み物(オレンジジュースなど)やブドウ糖の飴を少し摂る。
- 摂ってから15分ほど休み、血糖値が上がっているかを確認する。改善しない場合は、もう一度糖分を摂る。
- 症状が治まったら、ゆっくり吸収される炭水化物(パンやクラッカーなど)を少し食べる。
医療治療
低血糖を繰り返す場合は、糖尿病治療薬の種類や量の調整が行われます。高齢者では低血糖を起こしにくい薬や、服薬のしやすさも考慮されます。必ず医師が処方・指示した方法に従い、自分で薬を変えたり、やめたりしないでください。
この病気と共に生きる
低血糖は、日ごろの準備とセルフチェックで防ぐことができる状態です。血糖測定器や糖分補給のためのもの(ブドウ糖の飴やジュース)を常に携帯し、周囲の人にも低血糖の症状と対応を伝えておくと安心です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい食事を心がけ、食事を抜かない
- 運動をするときは、前後の血糖値を測り、糖分を用意しておく
- アルコールを飲むときは、食事と一緒に、適量にする
- 医師の指示に従って血糖測定を行い、記録をつける
- 運転や危険を伴う作業の前には、血糖値を確認する
食事と運動
バランスのよい食事を決まった時間にとることが大切です。特に糖尿病治療中の人は、薬の効果と食事のタイミングが合うよう、栄養士や医師と相談しましょう。運動は血糖値を下げるので、運動前に食事を調整する、または糖分を補給するなどの工夫が効果的です。
精神的健康と心の健康
低血糖への不安は、生活の質に影響することがあります。特に高齢者は、低血糖を起こすことへの恐怖から食事量を抑えすぎたり、外出を控えたりすることもあります。そのような時は、一人で抱え込まず、医師や看護師、家族に相談してください。
予防
低血糖は、予防できることが多いです。糖尿病治療中の人は、薬の種類と量、食事、運動のバランスを整え、定期的に血糖値を測ることで、低血糖のリスクを大きく下げられます。また、家族や周囲の人が低血糖の知識を持つことも予防につながります。
合併症
治療しない場合
- 重い低血糖が続くと、意識障害やけいれん、転倒による骨折を引き起こすことがあります
- 脳のエネルギーが不足し、一時的でも脳の働きに影響を与えることがあります
- 心血管イベント(不整脈など)のリスクが上がる可能性があります
- 高齢者では、低血糖が原因で認知機能の低下が進むように見えることもあります
長期的な見通し
低血糖は、多くが適切な対応で改善し、繰り返さないようにすることが可能です。高齢者でも、医師と相談しながら治療や生活習慣を調整すれば、低血糖のリスクを減らし、安全に生活を続けられます。心配なことがあれば、遠慮なく医療者に相談してください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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