妊娠中の低血糖(ていけっとう)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠中の低血糖は、血液の中の糖(血糖)が低くなりすぎた状態を指します。血糖は体や赤ちゃんのエネルギー源です。妊娠中はホルモンの変化などで血糖が下がりやすくなることがあります。
重要な事実
- 血糖は、食べ物から得られる大切なエネルギー源です。
- 妊娠中は、おなかの赤ちゃんにエネルギーを送るため、血糖のバランスが変わることがあります。
- 低血糖は、規則正しい食事や生活習慣で予防・対応できることが多いです。
- 症状がひどい場合は、すぐに医療機関に連絡することが大切です。
妊娠中の低血糖は、特に妊娠初期や、食事の間隔があきすぎたときに起こりやすいとされています。妊娠糖尿病の治療をしている方では、血糖を下げる治療薬の影響で起こることもあります。
食事の量が少なくなるつわり(悪阻)のある方、妊娠糖尿病の治療をしている方、一度に食べる量が少なく食べる回数が少ない方などが影響を受けやすいです。
症状
- 意識を失った場合 — すぐに119番に電話してください。
- けいれん発作がおきた場合 — すぐに119番に電話してください。
- 呼びかけに反応しない場合 — すぐに119番に電話してください。
- ⚠低血糖の症状がつづく
- ⚠甘い物やジュースを食べても改善しない
- ⚠自分で食べたり飲んだりできない
- ⚠強い嘔吐がつづく
- ⚠激しい動悸や強いふるえがある
一般的な症状
- 手のふるえ
- 強い空腹感
- めまい・立ちくらみ
- 動悸(心臓がばくばくする)
- 疲れやすさ・脱力感
- イライラする
- 集中できない・頭がぼんやりする
子供の症状
- ぐずる・機嫌が悪い
- 眠そうになる
- 顔色が青白い
- ウトウトして反応がにぶい
高齢者の症状
- めまい・ふらつき
- 転びやすくなる
- 意識がもうろうとする
- 脈がはやくなる・冷汗
原因
主な原因
- 食事の量が少なかったり、食事を抜いたりした
- 食事の間隔があきすぎた
- つわりのために食べられない
- 妊娠糖尿病などの治療で血糖を下げる薬を使っている
- 運動のしすぎでエネルギーを使いすぎた
リスク要因
- 妊娠前から糖尿病がある
- 妊娠糖尿病と診断された
- 低血糖を起こしたことがある
- 朝のつわりが強く、食事量が減っている
- 双子などをおなかに授かっている(多胎妊娠)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 低血糖の症状で自分で対応できないとき
- けいれんや意識を失いかけたことがあるとき
- 重度の低血糖がくり返し起こるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 少し動くと冷や汗や動悸があるとき
- 食事を調整しても症状が改善しないとき
- 妊娠中に血糖の心配があるとき
診断
低血糖は、症状がおきたときの血糖値を測定することで診断します。血糖値が一定の値より低い場合、低血糖とされます。妊娠中は血糖値が変わりやすいため、複数回の測定や、医師による問診が大切です。
行われる可能性のある検査
- 血糖値の血液検査(指先からの採取など)
- 75gブドウ糖負荷試験(妊娠糖尿病の検査)
- ログ(記録)をつけて症状と食事の関係を確認すること
診察で予想されること
まずは症状と食事の内容を聞かれます。必要に応じて、血糖測定器を貸し出して、自宅で朝晩などの血糖を測るようにすすめられることもあります。検査は痛みをともなうものもありますが、不安なときは看護師や医師に伝えましょう。
治療
治療の基本は、低血糖を起こさない生活習慣と、起こったときにすぐに血糖を上げる対応です。妊娠糖尿病などで治療薬を使っている場合は、医師が薬の種類や量を調整してくれます。
自宅でのセルフケア
- 朝・昼・晩の食事に加えて、午前と午後に間食をとる
- ごはん・パンなどの炭水化物に、おかずや乳製品などのたんぱく質を合わせて食べる
- カバンの中に、個包装の飴や果汁飲料などブドウ糖が早く吸収されやすいものを常備しておく
- おなかがすいたら無理をせず、すぐに間食で補う
- 急に激しい運動をしすぎない
医療治療
低血糖がくり返す場合、原因になっている薬の種類や量を、医師が妊娠の状態に合わせて調整します。自己判断で薬の量を変えてはいけません。まれに、重度の低血糖には医療機関で処置が必要になることがありますが、ごく一部の緊急時です。
手術が検討される場合
低血糖そのものに対する手術はありません。
この病気と共に生きる
妊娠中の低血糖は、正しい知識と対策で管理できることがほとんどです。あらかじめ食事の時間や内容を計画して、低血糖になりにくい生活を整えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 朝食を必ず食べる
- 外出時は間食や飲み物を持参する
- 低血糖のサインを家族や同僚に伝えておく
- 気分がすぐれないときは無理をせず休む
- 妊娠中の健康管理のため、定期的に健診を受ける
食事と運動
食事は、ごはんやパン、麺などの炭水化物だけにするのではなく、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質、野菜、乳製品を組み合わせて食べると、血糖がゆるやかに上昇しやすくなります。運動は、医師に相談したうえで、無理のない範囲(たとえば軽いウォーキングなど)を食後に行うことがすすめられることがあります。
精神的健康と心の健康
低血糖への不安は、妊娠中のストレスや睡眠の乱れにつながることがあります。心配ごとは一人で抱えず、助産師や医師に話しましょう。強い不安や落ち込みがあるときは、心の専門家に相談するのもひとつの方法です。つらい気持ちを話せる人を見つけておくと安心です。
予防
低血糖は、規則正しい食事、間食の工夫、運動など生活習慣を整えることで、ほとんどは予防・改善できます。ただし、妊娠糖尿病などで薬を使っている方は、完全に予防できるとはかぎらないため、医師と一緒に対策を立てることが大切です。
検診プログラム
妊娠初期の健診で血糖値をチェックしたり、妊娠24~28週ごろの妊娠糖尿病の検査を受けることで、糖代謝の問題を早めに見つけられます。リスクがある方は、医師がより早い時期に検査をおこなうこともあります。
合併症
治療しない場合
- 意識消失や転倒などによるけがのリスクが高まります
- 重度の低血糖ではけいれん発作がおきることがあります
- くり返す低血糖は妊娠中の体調を大きく崩し、生活の質を下げる可能性があります
長期的な見通し
低血糖は、妊娠中のホルモン変化によって起こることもありますが、多くの場合、食事の工夫や生活の見直しでうまく管理できます。医療スタッフのサポートを受けながら、赤ちゃんとご自身の健康を守るための対策を続けていきましょう。たとえ低血糖の症状があっても、適切な対応を学び実践すれば、妊娠生活をおおむね安心して送ることができます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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