腎炎と家族の暮らし:一緒に向き合うために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腎炎(じんえん)は、腎臓の中で血液をろ過する「糸球体」という部分に炎症が起こる病気です。炎症が続くと、腎臓の働きが弱まり、体の中の老廃物や余分な水分をうまく外に出せなくなります。早めに見つけて治療を始めることで、腎臓を守ることができます。
重要な事実
- 腎炎は、かぜや扁桃炎などの感染症のあとに起こることがあります。
- むくみや血尿、高血圧が主なサインです。
- 治療は長く続くことがありますが、多くの人が家庭や仕事を続けながら治療できます。
腎炎は、とてもまれな病気というわけではなく、腎臓内科を受診する人のなかでは比較的多く見られます。学校や職場の健診の尿検査で見つかることもあり、年齢を問わず発症する可能性があります。
特に、子どもや若い世代に多いタイプ(急性糸球体腎炎など)と、大人になってから起こるタイプがあります。家族歴がある場合や、ほかの病気をきっかけに発症する場合もあります。
症状
- つぎのような症状がある場合は、すぐに119番(救急)に電話してください。
- 尿がまったく出ない
- 呼吸が苦しい
- けいれんを起こす
- 意識がもうろうとする
- ⚠急にむくみが強くなった
- ⚠血尿が肉眼ではっきり見える
- ⚠血圧がとても高い
- ⚠38℃以上の発熱が続く
一般的な症状
- 尿に血が混じる(血尿)
- 尿が泡立つ(蛋白尿の可能性)
- まぶたや足のむくみ
- 疲れやすさ、全身のだるさ
- 血圧が高くなる
子供の症状
- かぜや扁桃炎のあとに尿の色が赤茶色になる
- 朝、まぶたがはれる
- 頭痛や吐き気がある
- 食欲がない、元気がない
高齢者の症状
- 両足のむくみが目立つ
- ちょっと動いただけでも息切れする
- 高血圧が続く
- 夜間の排尿回数が増える
原因
主な原因
- 感染症(かぜ、扁桃炎、のどの炎症など)がきっかけになる
- 自己免疫の異常が原因で、免疫システムが腎臓を攻撃する
- 血管の炎症(血管炎)など、ほかの病気に伴って起こる
- 原因がはっきりしないこともある
リスク要因
- 糖尿病や高血圧などの生活習慣病がある
- 腎炎を家族に持つ人がいる(一部のタイプ)
- 感染症を繰り返す
- 自己免疫疾患を抱えている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に血尿が出た
- むくみが数日で悪化した
- 息苦しさを感じる
- 尿の量が減った
定期受診を予約すべき場合:
- 健診の尿検査で血尿や蛋白尿を指摘された
- 疲れやすさやむくみが続く
- 尿の泡立ちが強くなった
診断
腎炎かどうかを調べるには、まず尿検査と血液検査を行います。必要に応じて超音波検査や腎生検(腎臓の組織を調べる検査)が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(血尿、蛋白尿、尿中の赤血球や白血球を調べます)
- 血液検査(腎機能・炎症の程度・免疫の状態を調べます)
- 超音波検査(腎臓の大きさや形、血流を見ます)
- 腎生検(細い針で腎臓の組織を少し取り、顕微鏡で詳しく調べます)
診察で予想されること
外来で受けられる検査がほとんどです。腎生検は入院が必要なこともありますが、医師が目的や危険性を説明したうえで行われます。検査に対する不安は、遠慮なくスタッフに伝えてください。
治療
治療は、腎臓の炎症を落ち着かせ、働きを守ることが目的です。原因や重症度によって、食事療法・薬物療法・生活の調整を組み合わせて行います。自覚症状がなくても、治療を続けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 処方された薬を、医師の指示どおりに飲む
- 定期的に血圧や体重を記録する
- かぜや感染症を予防する(手洗い・うがい・人混みを避ける)
- たばこや過度のアルコールは控える
- 自分の体調の変化を医師や家族に伝える
医療治療
炎症や免疫の働きを抑える薬、血圧を下げる薬、尿からたんぱくが漏れるのを防ぐ薬などが使われます。腎臓の働きが大きく低下した場合には、透析(人工的に血液をきれいにする治療)や腎臓移植が選択肢になることもあります。具体的な治療は、医師が患者さんの状態に合わせて説明してくれます。
手術が検討される場合
腎炎そのものに対する手術は、基本的にはありません。腎不全まで進行した段階で、腎臓移植という手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
腎炎は、症状が出たり落ち着いたりを繰り返すこともあります。治療を続けながら、仕事や育児、家事を両立している人も多くいます。家族が病気について正しく理解し、できる範囲で支え合うことが、長い治療を続ける力になります。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠をとり、疲れをためない
- ストレスを上手に発散する(趣味、音楽、散歩など)
- 感染症が流行る時期はマスクや手洗いを心がける
- 定期的に通院し、医師の指示を守る
食事と運動
食生活は、塩分のとりすぎに注意しましょう。むくみや高血圧がある場合は特に、塩分を控えることがすすめられます。たんぱく質や水分の制限が必要な場合もあります。管理栄養士の指導を受けると安心です。運動は、体調に合わせて軽いウォーキングなどから始め、激しい運動は医師に相談してからにしましょう。
精神的健康と心の健康
慢性の病気と診断されると、不安や落ち込みを感じることがあります。特に、家族に心配をかけたくないと一人で抱え込みがちですが、ストレスは腎臓にも影響します。家族や友人に気持ちを話したり、心療内科やカウンセリングを利用したりすることも選択肢です。無理をしないで、自分を大切にしてください。
予防
腎炎のすべてを予防することはできませんが、感染症をまめに治療し、生活習慣病を予防・管理することで、リスクを下げられることがあります。また、健診の尿検査を活用して、早期に異常を見つけることが大切です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種は、感染症をきっかけとする腎炎の予防に役立つ可能性があります。自分の状態に合っているか、医師に相談のうえで受けるようにしましょう。
検診プログラム
日本では、学校や職場の健康診断で尿検査が行われており、厚生労働省も定期的な健診の受診をすすめています。腎炎の早期発見・早期治療につながるため、必ず受けるようにしましょう。
合併症
治療しない場合
- 腎臓の働きが徐々に低下し、腎不全に進むことがある
- 高血圧が続き、心臓病や脳卒中のリスクが高くなる
- 貧血を起こしやすくなる
- 骨が弱くなる(骨粗しょう症)など、全身に影響が出る
長期的な見通し
腎炎は、生涯にわたって付き合う可能性のある病気ですが、適切な治療と生活管理によって、腎臓の働きを長く保てることが多くあります。仮に腎機能が低下しても、透析や移植など、治療の選択肢は広がっています。希望を持って、医師とともに治療を続けていきましょう。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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