妊娠中の腎炎(にんぷちゅうのじんえん)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腎炎とは、腎臓に炎症が起こる病気です。腎臓は体の老廃物をろ過し、尿として出す働きをしています。妊娠中は体の変化で腎臓に負担がかかりやすく、腎炎になると高血圧やむくみなどの症状が現れることがあります。妊娠中の腎炎は、お母さんと赤ちゃんの両方に影響を与える可能性があるため、早めの発見と治療が大切です。
重要な事実
- 妊娠中の腎炎は、高血圧やむくみなどを引き起こすことがあります。
- 早期発見・早期治療で、多くの場合、出産まで安全に管理できます。
- 妊婦健診で尿検査と血圧測定を毎回受けることがとても大切です。
- 厚生労働省も、妊婦健診を定期的に受けることをすすめています。
妊娠中の腎炎は珍しい病気です。ただし、妊娠中は腎臓に負担がかかるため、どの妊婦さんでも注意が必要です。
もともと腎臓の病気や高血圧、糖尿病がある方、また自己免疫疾患(免疫が自分を攻撃してしまう病気)のある方は、なりやすいとされています。
症状
- (注意)次の症状がある場合は、ためらわずにすぐ119番に電話してください。
- 突然の強い頭痛
- 視界がぼやける・ものが見えにくい
- 息苦しさ・呼吸が苦しい
- けいれん(痙攣)
- おしっこが24時間以上出ない
- 激しい腹痛
- ⚠(注意)次の症状がある場合は、当日中に産婦人科または腎臓内科を受診してください。
- ⚠急にむくみがひどくなった
- ⚠自宅で測った血圧が高めだった
- ⚠尿の量が減った
- ⚠頭痛が続く
- ⚠吐き気や嘔吐がある
一般的な症状
- 足や顔のむくみ(特に急にひどくなる場合)
- 血圧が高い(健診で指摘される)
- 尿にタンパクが混じる(健診の尿検査でわかる)
- 疲れやすい、体がだるい
- おしっこの量が減る
- 頭痛や目のかすみ
子供の症状
- 妊娠中の腎炎は子どもには該当しません。ただし、お腹の中の赤ちゃんは、お母さんの腎炎の影響で発育に遅れが出ることがあります。
高齢者の症状
- 妊娠中の腎炎は高齢者には該当しません。ただし、高齢で妊娠された方は腎臓に負担がかかりやすいため、注意が必要です。
原因
主な原因
- 妊娠による腎臓への負担の増加
- 免疫の異常(免疫が腎臓を攻撃してしまう)
- 妊娠高血圧症候群(妊娠中に血圧が高くなる病気)
- もともと腎臓の病気がある
リスク要因
- 妊娠前からの腎臓病
- 自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス(SLE)など)
- 多胎妊娠(双子など)
- 腎臓病の家族歴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の強い頭痛や見え方の異常がある
- 激しい腹痛がある
- 呼吸が苦しい
- けいれんが起きた
- おしっこがほとんど出ない
定期受診を予約すべき場合:
- 定期の妊婦健診を必ず受ける(血圧と尿検査は毎回行われます)
- むくみや疲れが続くときは、我慢せずに医師に相談する
診断
医師の診察、血圧測定、尿検査、血液検査の結果を合わせて診断します。場合によっては、腎臓の超音波検査(エコー)を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(タンパク尿や血尿の有無を調べます)
- 血圧測定
- 血液検査(腎機能や電解質を調べます)
- 腹部や腎臓の超音波検査
- 場合によっては腎生検(腎臓の組織を少しだけ取って調べる検査)
診察で予想されること
検査は安全に行えるよう医師が配慮してくれます。あなたの状態に合わせて、産婦人科と腎臓内科の医師が連携して治療を進めます。妊婦健診と同じくらいの頻度で、追加の検査や診察が必要になることもあります。
治療
治療の目的は、お母さんの腎臓の働きを保ち、赤ちゃんが安全に成長できるようにすることです。重症度に応じて、入院して安静にしながら治療する場合と、通院で管理する場合があります。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示された塩分制限を守る
- 十分な休養と睡眠をとる
- むくみがあれば足を高くして休む
- たばこやお酒は控える(妊娠中は禁煙・禁酒が原則です)
- 血圧や体重の変化を記録する
医療治療
高血圧がある場合は、妊娠中でも安全に使える血圧を下げる薬が処方されることがあります。免疫の異常が原因の場合は、免疫の働きを調整する薬が使われることがあります。いずれも、医師が必要性を判断し、胎児への影響を考慮して慎重に薬を選びます。薬の名前や量は、必ず医師の指示に従ってください。
この病気と共に生きる
妊娠中の腎炎は、しっかり管理すれば出産まで安心して過ごせる病気です。自宅では血圧を測り、決められた薬を忘れずに飲み、少しでも異常を感じたらすぐに医師に連絡しましょう。安静の指示があれば、それに従って無理をしないことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 無理をせず、疲れたら休む
- 規則正しい生活を心がける
- ストレスをためないようにする
- 定期的に血圧を測り記録する
- 医師に相談せずに市販薬を飲まない
食事と運動
医師や管理栄養士の指導に従って、塩分を控えたバランスのよい食事を心がけましょう。運動は、血圧が安定していれば軽い散歩程度は可能なこともありますが、必ず医師に確認してください。安静が必要な場合は、運動は控えてください。
精神的健康と心の健康
病気を指摘されて不安になる気持ちはよくあります。腎炎は治療しながら妊娠を継続できる病気です。ただし、自分を責めたり、誰にも話さず抱え込んだりしないでください。医師や助産師、家族に気持ちを伝えることが大切です。不安が強い場合は、心の健康の専門家(精神科医やカウンセラー)に相談することもできます。
予防
妊娠前から腎臓の病気や高血圧を管理しておくことで、妊娠中の腎炎を防いだり、悪化を防いだりできることがあります。しかし、妊娠によって起こる腎炎もあり、完全に防ぐことはできません。早期発見が重要です。
ワクチン
妊娠中の予防接種は、できるものとできないものがあります。インフルエンザなどの一部のワクチンは接種可能な場合もありますが、必ず医師に相談してください。厚生労働省の定期接種や任意接種の対象についても、医師の指示に従ってください。
検診プログラム
妊娠中の定期的な妊婦健診で、血圧測定と尿検査が必ず行われます。この検査で腎炎のサインを見逃さないことが、早期発見と早期治療につながります。
合併症
治療しない場合
- 腎臓の働きが低下して、腎不全(腎臓が働かなくなること)になるリスク
- 妊娠高血圧症候群の悪化
- 赤ちゃんの発育が遅れる(胎児発育不全)
- 早産(赤ちゃんが早く生まれること)
- 常位胎盤早期剥離(胎盤が子宮からはがれること)
- お母さんの命に関わる重い症状(子癇など)
長期的な見通し
妊娠中の腎炎は、しっかりと治療し、医師の指導に従えば、多くの場合、お母さんも赤ちゃんも無事に出産までたどり着くことができます。腎臓の病気をかかえていても、適切な管理で妊娠継続できることが増えています。あなたの状態に合わせて、医師と一緒に最善の方法を見つけていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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