妊娠中の肥満
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠中の肥満とは、妊娠する前から体格指数(BMI)が高く、体重が過剰な状態を指します。日本ではBMI25以上を「肥満」としています。妊娠中に体重が増えるのは自然なことですが、妊娠前から体重が多かったり、妊娠中に急激に体重が増えたりすると、お母さんと赤ちゃんにさまざまなリスクが生じることがあります。
重要な事実
- 妊娠前に体重が多いと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病が起こりやすくなります。
- 赤ちゃんが大きくなりすぎるため、出産時に処置が必要になることがあります。
- 体重管理は、無理のない食事と運動、医師や助産師の指導が基本です。
日本では、妊婦の肥満は増加傾向にあります。ある調査では、約3〜5人に1人の妊婦さんが妊娠前から過体重または肥満に当てはまるという報告もあります。
妊娠する前からBMIが高い女性と、おなかの赤ちゃんに影響します。また、妊娠中に体重が増えすぎた妊婦さんにも、同じようなリスクがあることが知られています。
症状
- 急な強いおなかの痛みがある
- 大量の出血がある
- ひどい頭痛や目のかすみがある
- 胸の痛みや息苦しさが続く
- けいれんが起きた
- 上記のいずれかがある場合は、すぐに119番に電話してください。
- ⚠赤ちゃんの動きがいつもより少ない
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠おなかの張りが痛みを伴って続く
- ⚠むくみが急に強くなり、体重が短期間で急に増えた
- ⚠これらがある場合は、当日中に担当の医師または産科を受診してください。
一般的な症状
- 息切れや疲れやすさを感じることがあります。
- 足のむくみが現れやすくなります(妊娠中はもともと多めですが、急に強くなった場合は注意が必要です)。
- 妊娠高血圧症候群になると、頭痛やめまいが起こることがあります。
- 妊娠糖尿病では、のどが渇きやすい、尿の量が多いなどの症状が現れることがあります。
子供の症状
- おなかの赤ちゃんに直接の自覚症状はありませんが、超音波検査で「大きすぎる」と指摘されることがあります。
高齢者の症状
- 妊娠中の肥満は妊婦さんに特有の状態で、高齢者には直接当てはまりません。
原因
主な原因
- 妊娠前からの体重過剰(食べるエネルギーの量が消費エネルギーを上回る状態)
- 遺伝的な影響
- 運動不足
- 睡眠不足やストレスによるホルモンバランスの変化
リスク要因
- 妊娠前にすでにBMIが25以上ある
- 家族に肥満や糖尿病の人がいる
- 過去の妊娠で妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になったことがある
- 妊娠中の体重増加が急である
- 多胎妊娠(双子や三つ子)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- ひどい頭痛、目のかすみ、胸の痛みなど妊娠高血圧症候群の症状がある
- 胎動が弱い、または感じられない
- おりものに血が混じるなどの出血がある
定期受診を予約すべき場合:
- 妊婦健診のたびに、体重、血圧、尿の検査を受けてください。
- 食事や運動のことで不安があれば、医師や助産師に相談しましょう。
- 妊娠を考えていて妊娠前から体重が多い方は、かかりつけ医に相談して、妊娠前から体重管理に取り組みましょう。
診断
妊娠前の体格(BMI)と妊娠中の体重増加量を目安に、医師が「肥満」または「体重が増えすぎている」と判断します。BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算し、25以上が「肥満」とされています。
行われる可能性のある検査
- 妊娠初期の血液検査(血糖値や肝機能の確認)
- 妊娠24〜28週ごろの妊娠糖尿病の検査(ブドウ糖負荷試験)
- 血圧測定と尿検査(妊娠高血圧症候群のチェック)
- 超音波検査での赤ちゃんの大きさや羊水量の確認
診察で予想されること
妊婦健診のたびに体重と血圧を測定し、必要に応じて追加検査があります。医師や助産師から栄養指導や生活習慣のアドバイスを受け、合併症が見つかった場合は、産科医と内科医が連携して管理を続けます。
治療
妊娠中の肥満の治療は、まず食事と運動を中心とした体重管理を行います。お母さんの健康と赤ちゃんの成長を守るために、医師や助産師と一緒に安全なケア計画を立てていきます。
自宅でのセルフケア
- 医師や助産師に相談して、無理のない範囲で軽い運動(ウォーキングなど)を習慣にしましょう。
- 1日3食バランスよく食べ、野菜を多めに、甘い飲み物やお菓子を控えましょう。
- 毎日同じ時間に体重を測り、急な増加に気づいたら健診で報告しましょう。
- 十分な睡眠と休息をとり、むくみが気になるときは足を高くして休みましょう。
医療治療
妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの合併症が起きた場合は、医師が必要と判断した場合に、血糖値を下げる薬や血圧を下げる薬などの治療が行われます。妊娠中も安全に使えるように医師が慎重に選びますが、具体的な薬の名前や服用方法は主治医の指示に従ってください。絶対に自己判断で服薬をやめたり、調整したりしないでください。
手術が検討される場合
妊娠中の肥満に対する減量手術は、原則として妊娠中には行いません。妊娠を考えている方で、減量手術を検討している場合は、妊娠前から医師とよく相談することが大切です。
この病気と共に生きる
毎日の生活では、「続けやすい工夫」が大切です。毎日同じ時間に体重を測る、食後に少し歩く、休む時間を決めるなど、無理のない習慣をつくりましょう。赤ちゃんのためだけではなく、お母さん自身の体調管理を優先してください。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間に食事をする
- 糖分の多い飲み物を避け、水や麦茶を飲む
- 医師の許可が出たら、昼食後10分間ウォーキングをする
- 睡眠時間をしっかり確保し、横になるときは足を高くする
食事と運動
食事は「主食・主菜・副菜」をそろえたバランスの良いものを、1日3食規則正しく食べましょう。揚げ物や脂っこい料理は週に数回までにし、野菜やたんぱく質を最初に食べると満腹感が得られます。運動はウォーキングやマタニティヨガなどを、かならず医師に確認してから行ってください。
精神的健康と心の健康
妊娠中の体重についての悩みやプレッシャーは、心の負担になることがあります。周囲と比較したり、自分を責めたりしないでください。気持ちが落ち込む・眠れないなどの症状が続く場合は、助産師や医師に話しましょう。もし「生きるのがつらい」という気持ちが浮かんだ場合は、一人で抱え込まず、すぐに相談してください。
予防
妊娠前から生活習慣を見直して体重を標準の範囲に近づけることで、妊娠中の肥満にかかわるリスクを減らせることがあります。妊娠してからは、急な体重増加を防ぐために、妊婦健診で体重管理を続けることが大切です。
ワクチン
肥満そのものを予防するワクチンはありませんが、妊娠中に受けることがすすめられるワクチンがあります。接種時期や種類については、医師と相談してください。
検診プログラム
妊娠を考えている方は、妊娠前に健康診断や婦人科検診を受けて、血圧、血糖、体重を確認しておきましょう。妊娠中は妊婦健診で、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群のスクリーニング(早期発見のための検査)が行われます。
合併症
治療しない場合
- 妊娠高血圧症候群になると、お母さんの腎臓や肝臓に負担がかかり、早産のリスクが高まります。
- 妊娠糖尿病は大きな赤ちゃん(巨大児)の原因となり、出産時に赤ちゃんの肩がつまる「肩甲難産」を起こすことがあります。
- 帝王切開や吸引分娩などの処置が必要になる割合が高くなります。
- 子どもが将来、肥満や糖尿病になりやすい可能性が高まります。
長期的な見通し
妊娠中に肥満があっても、適切な体重管理と専門的なケアを受けることで、多くのお母さんと赤ちゃんは安全に出産を迎えています。周囲のサポートを受けながら、一歩ずつ体調を整えていきましょう。出産後も、体重や血圧、血糖値のフォローアップを続けることがお母さんの健康を守るために大切です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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