妊娠中のPCOS(多嚢胞性卵巣症候群):症状と安心して過ごすためのポイント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、卵巣で卵子が育ちにくくなるホルモンの病気です。女性ホルモンのバランスが乱れ、男性ホルモンが多くなるため、月経不順や体毛の増加、にきびなどが起こります。妊娠すると、PCOSを持つ女性はそうでない女性より、妊娠糖尿病や高血圧などの合併症のリスクが高くなりますが、適切なケアを受ければ多くの場合は健康な赤ちゃんを産むことができます。
重要な事実
- PCOSは妊娠可能年齢の女性の約5~10人に1人の割合でみられる、よくあるホルモンの病気です。
- PCOSがあると、妊娠中は妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、流産などのリスクが高くなります。
- 妊婦健診をきちんと受け、食事や運動に気をつけることで、多くの方は安全に妊娠・出産を乗り越えられます。
PCOSは妊娠可能年齢の女性の約5~10%にみられ、決して珍しい病気ではありません。妊娠した方の中でも、出産年齢では比較的多くの方がPCOSを持っています。
妊娠可能年齢の女性で、月経不順や体毛・にきびなどの症状がある方に多く見られます。妊娠を希望して検査や治療を受けた方にも関連しています。
症状
- 我慢できないほどの激しい腹痛がある
- 1時間でナプキンが濡れるほどの大量の出血がある
- 突然の激しい頭痛や目のかすみがある
- けいれんや意識を失うような症状がある
- これらの症状が1つでもある場合は、すぐに119番に電話してください。
- ⚠少量でも出血がある
- ⚠頭痛が続く
- ⚠手足や顔が急にむくむ
- ⚠めまいや立ちくらみがする
- ⚠水分を取っているのにのどが渇いたり、尿がやたら多い
- ⚠これらの症状がある場合は、当日中に産婦人科へ相談してください。
一般的な症状
- にきびや肌の脂っぽさが増すことがあります(ホルモンの影響で妊娠中も続くことがあります)。
- 顔や体の体毛が濃くなったり、生える範囲が広がったりすることがあります。
- 妊娠中は体重が増えやすく、PCOSがあると特に血糖値が上がりやすくなります。
- 妊娠糖尿病になると、のどが渇いたり、尿の量が増えたり、疲れやすくなったりします。
原因
主な原因
- PCOSの原因はまだ完全には解明されていません。遺伝的な体質に加え、男性ホルモンやインスリンという血糖を調整するホルモンの働きが関係していると考えられています。インスリンが効きにくくなると、血糖値が上がりやすくなり、卵巣から男性ホルモンが多く出ます。妊娠中はこの状態が続くため、合併症に注意が必要です。
リスク要因
- 家族(母や姉妹)にPCOSや糖尿病の人がいる
- 太りすぎや、体重が急に増えた
- 妊娠前に月経不順があった
- インスリン抵抗性(糖尿病予備群)と言われたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 軽いおなかの張りや出血がある
- むくみが急にひどくなった
- 頭痛が続く
- 目のかすみや物が二重に見える
- のどの渇きや尿の量が明らかに多い
- このような症状があれば、同じ日に産婦人科へ連絡して指示をあおいでください。
診断
PCOSの診断は通常、妊娠する前に、月経の状態、血液中のホルモン値、超音波検査で行われます。妊娠中はホルモンの変化で診断が難しいため、妊娠前にPCOSと診断されているか、その可能性が高いかどうかが手がかりになります。妊娠中はPCOS自体の診断ではなく、合併症(妊娠糖尿病や高血圧など)が起きていないか、定期的にチェックします。
行われる可能性のある検査
- 妊娠糖尿病の検査(経口ブドウ糖負荷試験:血糖の上がり方を見る検査)
- 血圧測定(毎回の妊婦健診で行われます)
- 血液検査(血糖値や肝機能、ホルモン値などを調べます)
- 超音波検査(おなかの赤ちゃんの育ち具合や羊水量を見ます)
診察で予想されること
妊婦健診では、血圧や体重の変化に注意しながら、赤ちゃんの成長を超音波で確認します。PCOSがある方は、妊娠24週ごろに妊娠糖尿病の検査を行います。さらに、高血圧の兆候があれば、自宅での血圧測定をすすめられることもあります。
治療
PCOSそのものを治す薬はありませんが、妊娠中の合併症は予防・管理できます。治療の中心は、妊娠中の生活習慣を整え、血糖値と血圧を正常に保つことです。体調の変化に早めに気づけるよう、定期的な妊婦健診がとても重要です。
自宅でのセルフケア
- 妊婦健診は必ず出席し、医師の指示を守る
- 1日3食を決まった時間にとり、砂糖や脂っこいものをとり過ぎない
- 医師と相談して、軽いウォーキングなどの運動を毎日20分程度行う
- 体重の増えすぎに注意し、目標体重を守る
医療治療
妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群と診断された場合は、医師が妊娠中でも比較的安全に使える薬を使って治療することがあります。例えば、血糖値を下げる薬や血圧を下げる薬です。ただし、自分で判断して服用を止めたり、量を変えたりせず、必ず医師の指示に従ってください。
この病気と共に生きる
毎日の生活では、自分の体の変化に敏感になることが大切です。疲れを感じたら無理をせず休み、こまめに水分をとります。血圧や血糖を測るよう言われたら、記録をつけて診察のときに見せましょう。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を十分にとり、ストレスをためない
- 禁煙し、お酒は妊娠中は飲まない
- 通院の予定を守り、薬は医師の指示どおりに服用する
- 自分の症状をメモして、困ったときに相談できるようにする
食事と運動
食事は、白米やパンなど糖質の多い食べ物を減らし、野菜、魚、豆腐などを多めにとるのがおすすめです。果物も取り過ぎに注意しましょう。運動は、妊娠中に体を動かしてもよいか医師に確認してから、ウォーキングやマタニティヨガなど、無理のない範囲で始めてください。
精神的健康と心の健康
PCOSを持つ方は妊娠中に「自分は子どもに影響をうつすのでは」「合併症が心配」など、不安やストレスを感じることがあります。そのような気持ちは自然なことです。一人で抱え込まず、医師や助産師、家族に話すことで気が楽になります。
予防
PCOSそのものを予防する方法はありません。しかし、妊娠中の合併症を予防するために、妊娠前からの体重管理や食事・運動習慣が役立ちます。妊娠がわかったら、できるだけ早く産婦人科で健診を始めましょう。
合併症
治療しない場合
- 妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群のリスクが高まる
- 流産や早産のリスクが高くなる
- 赤ちゃんが大きくなりすぎて、出産時に難産になることがある
- 妊娠中に命に関わる緊急事態(常位胎盤早期剥離など)を起こすことがまれにある
長期的な見通し
PCOSがあっても、きちんと健診を受け、血糖値や血圧を管理することで、多くの方が健康な赤ちゃんを出産しています。不安があれば遠慮なく医療者に相談してください。あなたと赤ちゃんの健康を最優先に考え、一緒にサポートしていきます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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