PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の症状とセルフケアの基本
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
PCOS(ピーコス、多嚢胞性卵巣症候群)は、女性ホルモンのバランスが崩れ、卵巣の中に小さな卵胞がたくさんできることで、月経が不順になったり、男性ホルモンが多くなってしまう病気です。「多嚢胞性卵巣症候群」という名前ですが、卵巣の問題だけでなく、からだ全体の代謝(エネルギーを使う仕組み)にもかかわってきます。
重要な事実
- 生殖年齢(月経がある年代)の女性の約5〜10人に1人に見られます。
- 主な特徴は、月経不順・男性ホルモンの増加による症状・卵巣の多嚢胞(小さな卵胞がたくさんある状態)です。
- 原因は完全にはわかっていませんが、インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)や体質、生活習慣が関係しています。
はい、決して珍しい病気ではありません。生殖年齢の女性のおよそ5〜10%が経験すると言われています。
主に10代から閉経前で月経がある女性に見られます。思春期に気づくこともあれば、妊娠を希望してから見つかることもあります。
症状
- 突然の強い下腹部(おなかのした)の痛み
- ナプキンやタンポンを1〜2時間で交換しても間に合わないような大量の出血
- 立ちくらみ・めまい・意識が遠のくような症状をともなう異常出血
- ⚠7日以上続く不正出血
- ⚠我慢できない下腹部痛
- ⚠39度以上の熱や悪寒をともなう腹痛
一般的な症状
- 生理の周期が長い・不規則(35日以上あく、何か月もこない)
- 月経時に経血量が多い・出血が長く続く
- にきびや肌の脂っぽさ
- 顔や体の毛が濃くなる(毛深い)
- 頭髪が薄くなる
- 体重が増えやすい・痩せにくい
- 卵巣の超音波検査で小さな卵胞がたくさん見える
原因
主な原因
- はっきりとした原因はまだわかっていませんが、大きく次のことが関わっていると考えられています。
- インスリン抵抗性(血糖を下げるインスリンの効き目が悪くなり、からだがインスリンをたくさん出す状態)
- 卵巣での男性ホルモン(アンドロゲン)の産生が増えること
- 遺伝的な体質
リスク要因
- 家族(母や姉)にPCOSを持つ人がいる
- 過体重・肥満
- 糖尿病や妊娠糖尿病の既往
- 運動不足や偏った食生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 大量出血や強い腹痛がある
- めまいをともなう出血がある
- 妊娠の可能性があるのに不正出血が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 月経周期が35日以上、または数か月間月経がない
- 生理が不順で、にきびや毛深さなどの症状をともなう
- 妊娠を考えている
- 急に体重が増えた、痩せにくい、血糖値が気になる
診断
診断は、症状の聞き取り(問診)、血液検査、超音波(エコー)検査の結果を組み合わせて行います。これだけで診断できる単一の検査はありません。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:女性ホルモン・男性ホルモン・血糖値・インスリン値など
- 超音波検査:卵巣の大きさや卵胞の数を確認
- 全身の診察:体毛の量、ニキビ、血圧、体重など
診察で予想されること
複数の検査を組み合わせて、数週間かけて診断することがあります。初回受診では、生理の記録(最終月経日、周期、期間)があると、医師の判断に役立ちます。
治療
PCOSを完全に治す薬はありませんが、症状をやわらげ、将来の健康リスクを減らすための治療が基本になります。生活習慣の見直しと医学的なケアを組み合わせて、一人ひとりの症状や希望に合わせて進めます。
自宅でのセルフケア
- 体重管理(適正体重を保つ)
- 毎日のウォーキングなどの有酸素運動
- 野菜・たんぱく質(魚・肉・大豆)を中心としたバランスのいい食事
- 睡眠を十分にとり、ストレスをためない工夫
- 喫煙・過度の飲酒を控える
医療治療
月経不順やニキビ・体毛が多い症状には、ホルモンのバランスを整える薬や、インスリンの働きを改善する薬などの内服治療が行われることがあります。妊娠を希望する場合は、排卵を促す治療をおこなうこともあります。どの治療を行うかは、症状や今後の妊娠希望をふまえて医師と相談して決めます。具体的な薬の種類や使い方は、処方する医師に必ず確認してください。
手術が検討される場合
卵巣に対する手術が選ばれることはまれです。ふつうは、まず薬や生活習慣の見直しを十分に行います。それでも効果が得られず、妊娠を希望する場合などに、医師と相談したうえで手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
PCOSは、糖尿病や高血圧のような生活習慣病と同じように、長くつきあっていく病気です。症状をコントロールしながら、自分の体のリズムを知り、無理なく続けられる生活のしかたを見つけることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じくらいの時間に食事をとる
- 週に2〜3回、息がはずむ程度の運動(早歩きなど)を30分程度続ける
- 体重は急に落とすのではなく、1か月に1〜2%減らすことを目標にする
- ストレスを感じたら、呼吸法や趣味の時間でリセットする
食事と運動
食事は、白いごはんやパンなどの炭水化物だけに偏らず、野菜やきのこ・海藻・たんぱく質を組み合わせると、食後の血糖値の上昇がゆるやかになります。運動は、ウォーキングや水泳、ヨガなど、続けやすいものを選びましょう。減量がインスリン抵抗性の改善につながるというデータがあります。
精神的健康と心の健康
月経不順や体毛・にきびなど見た目の変化は、自信や気分に大きく影響することがあります。PCOSの女性はうつや不安を経験しやすいという報告もあります。気分が落ち込む、眠れない、毎日がつらい、と感じたら、ひとりで抱え込まずに医療機関や相談機関に話を聞いてもらいましょう。つらい気持ちがあるときは、今すぐ安全を確保するために、日本では厚生労働省や自治体の相談窓口を活用できます。緊急の場合は119番に電話してください。
予防
PCOSそのものを予防する方法はまだわかっていません。しかし、定期的な月経がなくなるリスクや生活習慣病のリスクを減らすために、早期に診断して生活習慣を見直すことは有効です。
検診プログラム
月経不順が続く人や体重増加が気になる人は、年に一度は健康診断で血糖値や血圧を確認することをおすすめします。妊娠を希望する場合は、婦人科で相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 月経がほとんどない状態が続くと、子宮内膜が厚くなり、子宮体がん(子宮内膜がん)のリスクが上がることがあります。
- インスリン抵抗性が続くと、2型糖尿病のリスクが高まります。
- 脂質異常症や高血圧など、動脈硬化に関わる病気のリスクも高くなります。
- 排卵が起こりにくいため、不妊の原因になることがあります。
長期的な見通し
PCOSがあっても、適切なセルフケアと治療で、症状は十分にコントロールできます。多くの女性が妊娠・出産を経験しています。この先の健康を守るために、長い目で生活習慣を整えていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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