前立腺の基礎知識 – 患者さんのためのガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
前立腺は、男性の膀胱のすぐ下にある、くるみの大きさほどの臓器です。尿道を取り囲むようにあり、精液の一部となる液を作る働きがあります。この前立腺の状態によって、排尿や男性の健康全般に影響することがあります。
重要な事実
- 前立腺は男性だけにある臓器で、加齢とともに内部の細胞が変化・増殖することがあります。
- 前立腺が大きくなると尿の通り道が圧迫され、排尿の症状が現れることがあります。
- 前立腺の病気には、炎症(前立腺炎)、良性の肥大(前立腺肥大症)、がんなどがあります。多くは良性で、治療も可能です。
はい、前立腺のトラブルは男性にとって非常に身近なものです。前立腺が大きくなる「前立腺肥大症」は加齢とともに増え、60歳以上の男性の半数以上に排尿の症状がみられるともいわれています。
前立腺は男性(出生時に男性の性別を持つ人)にあります。症状の現れ方には個人差があり、若い男性でも前立腺炎で受診することがありますが、前立腺の肥大やがんは高齢男性に多いです。
症状
- 完全に尿が出ず、下腹部が激しく張って痛む(急性尿閉の可能性)
- 重度の血尿(鮮やかな赤い血が大量に出る、血の塊が出る)
- 排尿を伴わない激しい下腹部・腰の痛み
- ⚠尿に血が混じる(少量でも、一度血尿を認めたら早めに受診してください)
- ⚠排尿時の強い痛み、発熱をともなう腰や下腹部の痛み(感染症の可能性)
- ⚠4時間以上排尿できない、または最近になって急に排尿困難が現れた
一般的な症状
- 排尿の回数が多い(特に夜間)
- 尿が出始めるまでに時間がかかる
- 尿の勢いが弱い、途切れる
- 排尿後に残っている感じ(残尿感)がある
- 急に尿がしたくなる(尿意切迫感)
- 排尿時に痛みや違和感がある
- 尿に血が混じる
子供の症状
- 小児の前立腺は非常に小さく、前立腺の病気はほとんどありません。子どもで排尿の問題があっても、多くは前立腺ではなく尿路や神経などの別の問題によるものです。気になる症状があれば小児科か泌尿器科(小児泌尿器科)に相談します。
高齢者の症状
- 夜間の排尿回数が増える
- 尿の勢いが弱くなる
- 尿が最後まで出ない、残っている感じがある
- 尿を我慢できずに漏れることがある
- 血尿または排尿時の痛み
原因
主な原因
- 加齢による前立腺の自然な変化(男性ホルモンの影響で大きくなることがあります)
- 細菌やウイルス感染(前立腺炎の原因になることがあります)
- 遺伝的な要因(家族に前立腺がんの人がいるとリスクが上がることがあります)
- 炎症や血流の変化
リスク要因
- 年齢が60歳以上
- 家族(父親や兄弟)に前立腺がんの人がいる
- 肥満や運動不足
- 喫煙や過度のアルコールを続けること
- 前立腺炎を繰り返すこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿に血が混じる、排尿時の強い痛みがある、発熱をともなう腰や下腹部の痛みがある場合は、すぐに泌尿器科または救急外来に相談してください。休診日の場合は、病院の当直や救急外来に連絡しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 排尿の回数が増えた、勢いが弱くなった、残尿感があるなど、生活に支障のある症状がある場合
- 夜間の排尿で睡眠が妨げられる場合
- 年に一度の健康診断で前立腺の検査を希望する場合
診断
前立腺の病気の診断は、まず問診から始まります。排尿の状態や気になる症状を医師に詳しく伝えましょう。そのうえで、必要に応じて画像検査や血液検査などを組み合わせます。
行われる可能性のある検査
- 尿検査:尿に血や細菌が混じっていないか確認します。
- 血液検査(PSA検査):前立腺から分泌されるPSA(前立腺特異抗原)の値を調べます。この値が高い場合には、前立腺がんの可能性も含め、さらに詳しく調べます。
- 直腸診:医師の指を肛門から入れ、前立腺の大きさや硬さを直接触って確認します。
- 超音波(エコー)検査:残尿の量や前立腺の大きさを確認します。
- MRI・CT:必要に応じて、前立腺全体の状態を画像で詳しく評価します。
- 前立腺生検(必要な場合):細い針で前立腺の組織を採取し、顕微鏡で調べます。がんの有無を診断するための検査です。
診察で予想されること
検査は外来で行うものが多く、痛みをともなうものでも短時間で終わります。直腸診や生検は緊張するかもしれませんが、医師や看護師が安心して受けられるようサポートしてくれます。検査の目的や進め方は、必ず事前に説明があります。
治療
前立腺の病気の治療法は、症状の強さ、年齢、全身の状態、病気の種類によって異なります。良性の問題であれば経過観察でよいこともありますし、生活の質に大きく影響する場合は薬や手術による治療が検討されます。どの治療を選ぶかは、医師が十分に説明してくれます。
自宅でのセルフケア
- 水分は1日ほどよく飲みますが、夜寝る前2~3時間前からは控えると夜間の排尿が減ります。
- カフェイン(コーヒー、緑茶、紅茶)やアルコールは膀胱を刺激することがあるので、適度にしましょう。
- 尿意を感じたら、我慢せずにトイレに行きます。
- ゆっくりと最後まで排尿し、膀胱を空にすることを意識します。
- 便秘を防ぐことも排尿に良いので、食物繊維を十分にとります。
医療治療
薬物療法では、前立腺のまわりの筋肉を緩めて尿の出を良くする薬や、前立腺の成長を抑えてしぼます薬などが使われることがあります。どの薬がよいかは、患者さんの状態に合わせて医師が選びます。作用や副作用について必ず説明を受けてから使用してください。具体的な薬の名前や服用量は、この記事ではお伝えしていません。医師や薬剤師に確認しましょう。
手術が検討される場合
薬の効果が十分でない場合、排尿ができなくなった場合、合併症が心配される場合などには、手術が検討されることがあります。前立腺の一部を切除する方法や、大きさを縮小させる手術などがありますが、その人の状態に最適な方法を医師が説明します。
この病気と共に生きる
前立腺の症状は生活の質に影響しますが、工夫で快適に過ごせます。外出時には、近くのトイレの場所を確認しておく、必要に応じて携帯用の排尿パッドを使うことも安心につながります。夜間の排尿が多い場合は、寝室をトイレに近くする、足元を明るくして転倒を防ぐなどして工夫しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 1日30分程度の早歩きなどの運動を習慣にすると、血流が良くなり前立腺の健康によいとされています。
- 喫煙は前立腺の病気のリスクを高める可能性があるため、禁煙を検討しましょう。
- お酒はほどほどにし、排尿の症状が強いときは特にコントロールしましょう。
- ストレスをためずに、趣味やリラックスできる時間を持ちましょう。
- かかりつけ医や泌尿器科医との定期相談を続けましょう。
食事と運動
野菜や果物、魚、大豆製品など、バランスの良い和食中心の食事がすすめられます。特にトマトや緑黄色野菜に含まれるリコピンという成分が前立腺に良いという報告があります。ただし、特定の食品で治せるわけではなく、偏らずに多種類の食品を食べることが大切です。適度な運動は肥満を予防し、前立腺の負担を減らします。
精神的健康と心の健康
尿の問題はとても個人的な悩みで、恥ずかしさから人に相談しにくいものです。しかし、我慢したり隠したりすることで不安が増し、生活全体に影響することもあります。気分の落ち込みや強い不安が続く場合には、医師や看護師、カウンセラーに話すことも支えになります。もし自分を傷つけたいという強い気持ちが続くときは、ためらわずに119番または地域の医療機関に連絡してください。
予防
前立腺の病気のすべてを予防する方法はまだ確立されていません。しかし、健康的な体重を保ち、バランスの良い食事と運動を続けることは、前立腺だけでなく全身の健康に良い影響があります。症状が出る前に健診を受けることも早期発見に役立ちます。
ワクチン
現時点では、前立腺の病気を予防するワクチンはありません。感染が原因の前立腺炎についても、一般的な予防ワクチンはありません。
検診プログラム
日本では、ご自身の希望に応じて前立腺がん検診(PSA検査)を受けることができます。厚生労働省は、50歳以上の男性に対して医師と相談して検査を検討することをすすめています。ご家族に前立腺がんの方がいる場合は、より早い時期から相談してもよいでしょう。市区町村や職場の健診を確認してみてください。
合併症
治療しない場合
- 前立腺肥大症が進行すると、尿がまったく出なくなる急性尿閉になることがあります。
- 膀胱に尿が長くとどまることで、尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)を繰り返すことがあります。
- 膀胱や腎臓に負担がかかり、腎機能の低下につながることがあります。
- 前立腺がんが進行すると、骨などに転移して痛みが生じることがあります。
長期的な見通し
前立腺の病気は現在、さまざまな治療法があります。良性の病気は適切に付き合えば生活の質を保てることがほとんどです。がんについても、早期発見できれば治療の選択肢が多く、治る可能性が高い病気です。まずは正確な診断を受けて、医師と相談しながら最善の道を選んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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