妊娠中の腱の痛みとケア
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腱(けん)とは、筋肉と骨をつなぐ、弾力のある丈夫なひも状の組織です。妊娠すると、体の関節や腱を支える組織が緩みやすくなるため、腱に負担がかかりやすくなります。その結果、手首や足、かかとなどに痛みや腫れが起こることがあります。
重要な事実
- 妊娠中は、リラキシンというホルモンの働きで関節や腱が柔らかくなり、負担がかかりやすい状態になります。
- 体重の増加や姿勢の変化が、腱への負担をさらに増やします。
- 多くの場合、出産後には症状が落ち着きます。
はい、妊娠中の女性によく見られるトラブルのひとつです。特に手首の腱鞘炎(けんしょうえん)や足底腱膜炎(そくていけんまくえん)は、妊婦さんに多いとされています。
妊娠中の女性、特に妊娠後期(おなかが大きくなってくる時期)に起こりやすいです。もともと体重が多めの方や、手をよく使う仕事をしている方にも多く見られます。
症状
- 突然の強い痛みや腫れ、熱感がある(感染や血栓の可能性も)
- 体の一部が動かせない、しびれが続く
- 激しい痛みで立っていられない
- ⚠痛みが強く、日常動作ができない
- ⚠痛みとともに赤みや腫れがひどくなる
- ⚠1~2日安静にしても痛みが改善しない
一般的な症状
- 手首や親指の付け根の痛み、腫れ(特に物をつまむ、握るとき)
- 足の裏、特にかかとの痛み(朝起きたときや、立ち続けた後に強い)
- 膝や足首の腱の周りの痛みやこわばり
- 痛みがある部分を動かすと「ミシッ」と音がすることもある
子供の症状
- この症状は妊娠中の女性に起こるもので、子どもにはあてはまりません。
高齢者の症状
- 高齢の妊娠中の方にも、同じような腱の痛みが起こることがあります。さらに、加齢による腱の変化も重なるため、症状が長引くことがあります。
原因
主な原因
- 妊娠中に増えるリラキシンというホルモンが、関節や腱を支える組織を柔らかくするため
- 体重増加により、特に足や膝に負担がかかるため
- おなかが大きくなり姿勢が変わることで、バランスを取るために腱に余計な力がかかるため
- 手首などの腱に繰り返し負担がかかる動作(スマホ操作、赤ちゃんを抱く準備など)
リスク要因
- 妊娠前から体重が多い方
- 強度の運動を急に始めた方
- 手や指をよく使う仕事や家事をしている方
- 双子や多胎を妊娠中の方(体重増加が大きいため)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 痛みが強く、歩けない・動かせない
- 腫れと赤みが急に出た
- 発熱を伴う
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが続く、日常生活に支障がある
- 痛みの場所が移動する
- 不安があるため一度相談したい
診断
まずは医師が問診(どのような時に痛むか、妊娠週数など)を行い、痛みのある部分を触ったり、動かしたりして確認します。必要に応じて、エコー(超音波)検査で腱の炎症を確認することもあります。
行われる可能性のある検査
- 問診・触診
- エコー(超音波)検査
- 痛みの場所によっては、X線検査など(必要な場合のみ)
診察で予想されること
妊娠中でもできる検査が中心で、おなかの赤ちゃんへの影響はほとんど心配ありません。診察室で痛みの状態を伝え、日常生活での注意点を一緒に確認します。
治療
治療の基本は、腱への負担を減らすことです。妊娠中は薬の使用に制限があるため、まずは安静、冷やす、サポーターなどを使う保存的な治療を行います。医師や助産師、理学療法士の指導のもと、安全な方法を選びます。
自宅でのセルフケア
- 痛みのある場所を休ませ、無理に動かさない
- 炎症があるときは、タオルで包んだ保冷剤で冷やす
- 手首や足に負担のかからない動きを心がける
- サポーターやテーピングを医師・理学療法士の指導で使う
- かかとの痛みには、クッション性のある靴やインソールを試す
医療治療
医師が必要と判断した場合は、妊娠中に使える安全な治療法を検討します。例として、物理療法(温熱、超音波)、痛みを和らげるための注射が行われることがありますが、必ず医師と相談の上、慎重に判断されます。市販の痛み止めは自己判断では使わず、必ず医師・薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
妊娠中に腱の手術を行うことはほとんどありません。症状が重くても、多くの場合、出産後に治療を検討します。出産後の子育てに影響が出る場合は、医師とよく相談して時期を決めましょう。
この病気と共に生きる
痛みがあるときは、無理をせず一日の中でこまめに休憩をとりましょう。家事や仕事では、同じ姿勢・同じ動作が続かないように工夫します。手首の痛みには、支える動作を避け、両手で物を持つなどの工夫が役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 妊娠中は急な体重増加を防ぐ(医師の指導に従う)
- 足に合った安定した靴を履く
- 長時間同じ姿勢を避け、こまめに体を動かす
- 無理のない範囲で、妊婦体操などの軽い運動を医師と相談して行う
食事と運動
バランスの良い食事で、カルシウムやビタミンD、たんぱく質をしっかりとると、腱や骨の健康を保ちやすくなります。運動は、妊娠中の体に負担の少ないウォーキングや水中運動などがおすすめですが、必ず主治医に確認してから行ってください。
精神的健康と心の健康
痛みが続くと、眠れなかったり、気分が落ち込んだりすることがあります。妊娠中のメンタルヘルスはとても大切です。つらいときは、ひとりで抱え込まず、パートナーや家族、助産師に気持ちを伝えましょう。不安が強いときは、周囲のサポートを受けてください。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、体重の増えすぎに注意し、適度に体を動かすことで、腱への負担を減らすことができます。急な運動や長時間の同じ動作は避けましょう。
合併症
治療しない場合
- 痛みが長期間続き、慢性化することがある
- 痛みをかばって歩くことで、ほかの部位(腰や膝)に負担がかかる
- 腱が炎症を起こしたまま放置すると、日常生活の動作が制限される
長期的な見通し
ほとんどの場合、出産をきっかけに症状は改善していきます。妊娠中はホルモンの影響で腱が緩みやすい状態ですが、出産後は徐々に元の状態に戻ります。適切なケアと生活上の工夫で、多くの方は支障なく日常生活を送ることができます。心配なときは、遠慮なく医師に相談してください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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