妊娠中の尿の変化
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠すると、ホルモンの変化や子宮の成長によって、尿に関するさまざまな変化が起こります。多くは心配いりませんが、尿の色やにおい、排尿の回数の変化は、体のサインであることもあります。この記事では、妊娠中の尿について、どのような変化が正常で、どのような場合に医師に相談すべきかを、わかりやすく説明します。
重要な事実
- 妊娠すると尿の回数が増えることがありますが、これは正常な変化です。
- 尿路感染症(にょうろかんせんしょう)は妊娠中に起こりやすく、早めの治療が大切です。
- 妊娠中の健診では毎回尿検査が行われ、異常を早期に見つけることができます。
はい、非常によくあることです。妊娠中の方のうち、何人かに1人は何らかの尿の変化や不快感を経験します。
妊娠中のすべての方が対象になります。特に妊娠中は尿路感染症(尿の通り道に細菌が入って起こる感染症)を起こしやすい時期です。
症状
- 高熱(38.5度以上)があり、寒気や震えが続く
- 激しい腰やわき腹の痛みがある
- 息苦しさや意識がぼんやりする感じがある
- けいれんが起こる
- おなかの張りが強く、出血がある
- ⚠排尿するときに強い痛みがある
- ⚠尿に血が混じっている(目で見てわかる血尿)
- ⚠尿の量が急に減った
- ⚠尿がにごっている、または強い悪臭がある
- ⚠発熱(37.5度以上)に加えて尿の違和感がある
一般的な症状
- 排尿の回数が増える、または減る
- 排尿のときに痛みやしみる感じがある
- 尿の色が濃くなる、濁る、血が混じる
- 尿のにおいがいつもより強くなる
- 膀胱(ぼうこう)のあたりに圧迫感や不快感がある
- 腰やわき腹が痛む
原因
主な原因
- 妊娠中のホルモンの変化で、尿路(にょうろ)の筋肉がゆるみ、細菌が入りやすくなる
- 大きくなった子宮が膀胱(ぼうこう)を圧迫し、尿を完全に出すのが難しくなる
- 排尿を我慢したり、水分が足りないと、細菌が増えやすくなる
- 妊娠高血圧症候群が原因で、尿の中にタンパク質が混ざることがある
リスク要因
- 以前に尿路感染症を繰り返したことがある
- 糖尿病や妊娠糖尿病がある
- 腎臓の病気を抱えている
- 双子など多胎の妊娠
- 水分を十分にとらない習慣がある
- 便秘ぎみである(便秘は尿路感染症のリスクを高めるという報告があります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 排尿がまったくできない
- 尿に明らかな血が混じる
- 排尿時の痛みに加えて発熱がある
- 頭痛、目がちかちかする、ひどいむくみがある(妊娠高血圧症候群の可能性)
定期受診を予約すべき場合:
- 妊娠中の定期健診(妊婦健診)で尿検査を受ける
- 尿の色やにおいの変化に気づいたが、痛みはない場合
- 尿の回数が気になるけど不安がある場合
診断
医師は、問診(しつもん)と尿検査によって診断します。必要に応じて血液検査や超音波(ちょうおんぱ)検査(エコー検査)を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(紙の試験紙を尿につける方法や、顕微鏡で調べる方法)
- 尿培養検査(尿の中の細菌を特定するための検査)
- 血液検査(腎臓の働きや感染の程度を調べる)
- 超音波(ちょうおんぱ)検査(腎臓や膀胱の状態を確認する)
診察で予想されること
妊婦健診では毎回、清潔なカップに尿をとるよう依頼されます。検査自体に痛みはなく、特別な準備も必要ありません。尿は中ほど(中間尿)をとると正確な結果が得られやすいと言われています。
治療
治療は原因によって異なります。尿路感染症の場合は、妊娠中に安全に使える抗生物質を医師が処方します。タンパク尿や高血圧がある場合は、妊娠高血圧症候群に備えた管理が必要です。自己判断で薬を飲んだり、市販薬を使ったりするのは避けてください。
自宅でのセルフケア
- 十分な水分をとる(1日1.5~2リットルを目安に)
- 尿意を感じたら我慢せず、こまめにトイレに行く
- 排尿後は前から後ろへ拭く
- 締め付けのない綿の下着を選ぶ
- 刺激の強い石けんや入浴剤、香りの強いケア商品は避ける
医療治療
尿路感染症と診断された場合は、妊娠中でも安全に使える抗生物質を、処方された日数分きちんと飲みきることが大切です。症状がなくなっても自己判断でやめないでください。妊娠高血圧症候群の場合は、安静・塩分制限・血圧の管理を行います。重症化した場合は、入院や早めのお産を検討することもあります。
手術が検討される場合
妊娠中に腎臓や尿管の結石が原因で強い痛みがあるなど、非常にまれなケースでは手術が必要になることもあります。ただし、まずは水分摂取や薬の調整などで症状をやわらげることを試みます。心配なことは担当医に相談してください。
この病気と共に生きる
妊娠中は、いつもの尿の量や色、においをなんとなくでも意識してみましょう。トイレの回数や違和感をメモしておくと、受診したときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 軽い散歩など、妊娠中に安全な範囲で適度に体を動かす
- ストレスをためすぎず、十分な睡眠をとる
- 喫煙や飲酒は妊娠中は避ける
- 入浴はシャワーだけにせず、ゆっくり湯船につかる場合も刺激の少ない洗浄料を使う
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、塩分をとりすぎないことが大切です。むくみや高血圧を指摘されたら、医師や助産師のアドバイスに従いましょう。運動は妊娠中に安全な範囲で行い、おなかの張りを感じたら休みます。
精神的健康と心の健康
尿のトラブルが続くと、不安になったり、気分が落ち込んだりすることがあります。これは決して珍しいことではありません。つらい気持ちを一人で抱え込まず、パートナーや家族、医療者に話してください。
予防
すべての尿の問題を防ぐことはできませんが、水分をしっかりとること、トイレを我慢しないこと、衛生的な習慣を保つことで、尿路感染症のリスクは大きく下げられます。
ワクチン
妊娠中に尿路感染症を予防する特別なワクチンはありません。ただし、インフルエンザや百日咳など、ほかの感染症を予防するワクチンは、妊娠中に推奨されるものがあります。予防接種については医師に相談しましょう。
検診プログラム
厚生労働省が推奨する妊婦健診では、毎回尿検査が行われます。異常がなくても、必ず受けるようにしましょう。妊娠高血圧症候群を早期に見つけるためには、この定期的な尿検査がとても重要です。
合併症
治療しない場合
- 尿路感染症が腎盂腎炎(じんうじんえん、腎臓にまで感染が広がる状態)に進行する
- 妊娠高血圧症候群が重症化し、赤ちゃんの成長や胎盤の働きに影響が出る
- 早産や低出生体重児の原因になることがある
- まれに赤ちゃんに尿路感染症がうつることがある
長期的な見通し
妊娠中の尿のトラブルは、早めに気づき、医師の指示どおりに治療すれば、ほとんどは問題なく改善します。定期健診をしっかり受けることが、あなたと赤ちゃんを守るいちばんの近道です。不安なときは、遠慮なく医療者に相談してください。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。