腎臓病の人が安心して旅行するための健康管理
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腎臓病の人が安心して旅行ができるよう、事前の準備や旅行中の注意点をまとめた記事です。腎臓は、体の中の水分や塩分を調節し、老廃物を尿として出してくれる大切な臓器です。旅行中の食事や行動の変化は腎臓に負担をかけることがありますが、注意をすることでトラブルを防げます。
重要な事実
- 旅行の前には必ず主治医に相談してください。
- 薬は十分な量を、飛行機の機内預けではなく手荷物に入れて持って行きましょう。
- 水分のとり方には、医師が決めた目安量があります。自己判断で増やさず守りましょう。
- 海外旅行に行く場合は、旅行先の医療制度や医療機関の情報を調べておきましょう。
腎臓病があっても、しっかり準備すれば旅行を楽しむことは十分に可能です。多くの患者さんが安全に旅行しています。
腎臓病の診断を受けた人、人工透析を受けている人、腎臓移植を受けた人に加えて、糖尿病・高血圧・高齢により腎臓の働きが低下している人も、旅行に際しては注意が必要です。
症状
- 息苦しさや呼吸困難がある
- 意識がうつろ、または呼びかけに反応しない
- 尿がまったく出なくなった
- けいれんが起きた
- 胸の痛みや激しい頭痛がある
- これらの症状がある場合は、すぐに119番に連絡してください。
- ⚠38度以上の発熱、悪寒(ふるえ)がある
- ⚠強い吐き気やおう吐が続く
- ⚠急に体重が増え、むくみがひどくなった
- ⚠見てわかる血尿が出た
- ⚠排尿時の痛みがある
- ⚠透析治療の予定が合わせられず困っている
- ⚠旅行中に体調が急変すれば、当日中に現地の医療機関を受診しましょう。
一般的な症状
- 足や顔のむくみ
- 尿の量が減る、尿の色が濃い
- 疲れやすさ、だるさ
- 食欲がない
- 吐き気・おう吐
- 腰や背中に痛みを感じる
子供の症状
- おしっこの回数や量がいつもと違う
- まぶたが腫れぼったい
- 機嫌が悪い、ぐったりしている
- 風邪を引いた後に血尿が出る
高齢者の症状
- 口の渇きや立ちくらみ(脱水)
- むくみが急にひどくなる
- 意識がぼんやりする、答えが遅い
- 急に体調が悪くなる
原因
主な原因
- 腎臓病そのものの原因(糖尿病、高血圧、慢性糸球体腎炎など)
- 旅行中の脱水(水分不足)が腎臓に負担をかける
- 塩分の多い食事や食べ過ぎによる体調不良
- 睡眠不足や疲れ・ストレスによる免疫の低下
- 旅行先での感染症(特に下痢や風邪)
リスク要因
- 利尿剤・血圧の薬など、腎臓に作用する薬を服用している(医師の指示に従う)
- 慢性腎臓病が進行している、透析療法中である
- 高齢で脱水になりやすい
- 糖尿病や高血圧など基礎疾患がある
- 真夏や真冬の気温差が激しい場所への旅行
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 緊急症状(上記)に当てはまる場合
- 旅行中に腎臓の状態が悪化して治療が受けられない場合
- 旅行先の医療機関の受診が難しく、体調が悪い場合
定期受診を予約すべき場合:
- 旅行前に定期的な検査・相談の機会を利用する
- 旅行後、体調に変化があれば早めにかかりつけ医に相談する
診断
旅行前の診察では、腎臓の働きを確認するために血液検査、尿検査、血圧測定などを行います。透析を受けている人は、旅行先の透析施設を紹介してもらうための手続きもここで相談します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(腎機能の数値を見る)
- 尿検査(たんぱく尿や血尿がないか調べる)
- 血圧測定(高血圧が腎臓に負担をかけていないか確認する)
- 体重測定(むくみの程度を把握する)
診察で予想されること
検査結果をもとに、医師から「旅行は可能か」「どんな注意が必要か」「薬の調整が必要か」などの説明があります。必要に応じて、旅行先の医療情報や透析施設の紹介文書も用意してもらえます。
治療
旅行中も腎臓病の治療は続きます。旅行の計画を立てることは『治療計画』でもあります。医師と相談し、無理のないスケジュールを組みましょう。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示された水分量を守る(脱水は腎臓に悪影響)
- 塩分を控えた食事を心がけ、外食の汁物や漬物は控えめにする
- 薬はすべて持参し、時間を決めて確実に服用する
- 疲れをためない、十分な睡眠を取る、長時間同じ姿勢を避ける
- 感染を防ぐため、手洗い・うがいを徹底する
医療治療
透析治療が必要な人は、旅行先の透析施設を事前に予約・紹介してもらいます。持病の治療薬は、医師が旅行中の期間中も同じように飲めるように処方します。自己判断で薬をやめたり、追加したりしてはいけません。体調が悪くなったら、遠慮なく現地の医療機関を受診してください。
手術が検討される場合
旅行のために手術が必要になることは通常ありませんが、持病が重い方は旅行前に体調のリスクを医師とよく話し合ってください。
この病気と共に生きる
旅行中は、毎日決まった時間に血圧・体重を測って記録すると、体調の変化に気づきやすくなります。無理をして観光を詰め込みすぎないように、休息の時間を作りましょう。
生活習慣のアドバイス
- 飛行機や新幹線の中では、足の血流を保つため、定期的に立ち上がって歩く、足首を動かすなどの運動をする
- トイレの場所を早めに確認しておく
- 寒い場所の旅行では冷え、暑い場所では脱水に注意する
- 長旅の前日は十分な睡眠を取る
食事と運動
腎臓病の食事療法を指示されている場合は、旅行中も1食の塩分の目安を守れるよう、外食では調味料を別にしてもらう・汁物を残す・麺類のスープを飲まない、などの工夫をしましょう。軽いウォーキングなどの運動は血行を良くしますが、疲れすぎない範囲にしましょう。
精神的健康と心の健康
旅行中の不安やストレスを感じるのは自然なことです。心配なことがあれば、無理をせず予定を調整して休憩してください。不安が強く、眠れない・気分が落ち込むなどの場合は、かかりつけ医や地域の精神保健相談窓口に相談しましょう。こころの危機を感じたときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域のこころの健康相談窓口に連絡してください。緊急の場合は119番に電話してください。
予防
旅行中の腎臓のトラブルは、事前の計画と対策で多くは予防できます。旅行先で感染症にかからないこと、脱水にならないこと、食事に気をつけること、そして何より旅行前に医師に相談することが最も大切な予防法です。
ワクチン
旅行先の国や地域によって、予防接種が推奨されることがあります。特に感染症は腎臓に負担をかけるので、旅行の1〜2か月前までに主治医や旅行外来で相談し、必要な予防接種を受けてください。
検診プログラム
腎臓病の早期発見のためには、年に1回の健康診断で尿検査と血液検査を受けることが大切です。旅行前に気になる症状があれば、検診に行きましょう。
合併症
治療しない場合
- 脱水や感染症が悪化して、急性腎障害という腎臓の働きが急に落ちる状態になることがある
- 高血圧が続き、頭痛やめまいなどの症状が出る
- たんぱく尿や血尿が増え、腎臓病が進行する
- 進んだ腎臓病では、人工透析が必要になることがある
- 意識障害や呼吸困難など命に関わる状態になることもある
長期的な見通し
旅行の準備は、腎臓病と上手に付き合う練習でもあります。正しく準備して、医師と相談しながら管理すれば、多くの方が旅行を楽しんでいます。決して無理をせず、自分の体の声を聞くことで、旅行後も元気に過ごせる可能性はとても高いです。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。