低糖質生活のはじめ方:無理なく続ける血糖値ケア
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
低糖質の生活習慣とは、食事のなかで血糖値を上げすぎないように、糖質(炭水化物のうち糖として体に吸収される部分)をとりすぎないように整える生活のことです。甘いものや清涼飲料水を控えるだけでなく、野菜・たんぱく質・脂質を上手に組み合わせることで、血糖値の急な上がり下がりをゆるやかにする効果が期待できます。無理な制限ではなく、続けやすい「減らす」工夫が大切です。
重要な事実
- 糖質はごはん・パン・めん類・いも類・果物・お菓子などに多く含まれます。
- 食後の血糖値の急激な上昇を防ぐには、食べる順番や組み合わせも効果的です。
- 低糖質といっても糖質を完全にゼロにする必要はありません。
- 運動や睡眠、ストレスケアも血糖値の安定に役立ちます。
はい。日本人の多くはごはんやめん類など糖質を中心とした食事になりがちで、健康診断で血糖値が高めといわれる人も少なくありません。厚生労働省の調査でも、糖尿病が強く疑われる人とその可能性を否定できない人をあわせると、成人の約5人に1人にのぼるとされています。
特定の年代だけの話ではなく、子どもから高齢者まで誰にでも関係があります。とくに、糖尿病や予備群といわれた人、肥満気味の人、運動不足の人、妊娠中に血糖値が高くなった経験のある人は、意識する価値があります。
症状
- 冷や汗、強いふるえ、動悸、意識がもうろうとするなど、低血糖が疑われる症状があらわれたときは、すぐに対処し、改善しない場合は救急車(119番)を呼んでください。
- 強いのどのかわき、吐き気、腹痛、意識の混濁など、高血糖による重い症状があるときも、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。
- ⚠血糖値の自己測定をしていて、たいへん高い値または低い値が続くとき
- ⚠食事がとれず、飲み物も飲めないほど体調が悪いとき
- ⚠発熱や下痢・嘔吐があり、脱水が心配なとき
一般的な症状
- 食後に強い眠気やだるさを感じる
- 間食や甘いものが無性にほしくなる
- 喉が乾きやすい、トイレが近い
- 体重が急に増えた、または減った
子供の症状
- 甘い飲み物やお菓子をほしがる
- 朝食を抜いて、夕方にどか食いをする
- 体を動かすのがおっくうで、疲れやすい様子がある
高齢者の症状
- 食後の血糖値が上がりやすく、食後高血糖に気づきにくい
- 口のかわきや尿の回数変化を、年のせいと感じてしまいがち
- 低血糖のリスクがあるため、無理な糖質制限は注意が必要
原因
主な原因
- 糖質の多い食事(ごはんやめん類のとりすぎ、甘い飲み物など)
- 食事の時間が不規則で、まとめ食いや夜食が多い
- 運動不足で筋肉が減り、血糖値を取り込む力が弱くなる
- 睡眠不足やストレスで血糖を上げるホルモンが増える
リスク要因
- 糖尿病の家族がいる
- 肥満(とくにおなかまわりの脂肪が多い)
- 高血圧や脂質異常症といわれている
- 妊娠中に妊娠糖尿病と指摘されたことがある
- 加齢によって代謝の力が変化する
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- のどが異常に乾き、水をたくさん飲むようになった
- 体重が減っているのに食事量が増えている
- 視界がぼやける、手足のしびれがある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血糖値またはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が高めといわれた
- 糖尿病と診断されているが、薬がなくても生活だけで大丈夫か気になる
- 家族に糖尿病の人がいて、自分も心配になってきた
診断
糖尿病や前糖尿病(予備群)の診断は、血液検査で調べます。健康診断の採血結果でもわかりますが、より正確には医療機関で空腹時血糖という空腹時の血糖値やHbA1cという過去1〜2か月の血糖の平均のような値を確認します。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖値(8時間以上食事をとらない状態での血糖値)
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー:過去1〜2か月の血糖コントロールの目安)
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(ブドウ糖を飲んで血糖値の変化をみる検査)
診察で予想されること
診察では、食事内容や運動習慣、家族歴、服薬中の薬についても聞かれます。必要に応じて血液検査や尿検査を行い、結果をふまえて医師から生活習慣のアドバイスがあります。検査のために数時間の絶食が必要な場合もありますので、予約時に確認しましょう。
治療
血糖値が高めの人の治療の基本は、食事療法と運動療法です。低糖質の生活習慣はその中心となる取り組みです。それでも改善が難しい場合は、医療機関で薬物療法が検討されます。治療はあせらず、生活のペースに合わせて少しずつ取り組むことが続けるコツです。
自宅でのセルフケア
- 主食だけ増やしすぎない:ごはん・パン・めん類の量は、手のひらにのるくらいを目安に
- 野菜やきのこ、海藻・こんにゃくなどの食物繊維を最初に食べる
- たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品)を毎食とる
- 清涼飲料水や甘いジュースを、お茶や水に変える
- お菓子やデザートは週に1回など、タイミングを決めて楽しむ
- ゆっくりよく噛んで食べ、食事時間を20分以上確保する
- 食後30分〜1時間の軽いウォーキングを習慣にする
医療治療
医療機関では、食事や運動を調整しても血糖値の目標に届かない場合、医師が血糖値を改善するための薬を処方することがあります。薬の種類や量は、患者さんの状態やライフスタイルに合わせて医師が決めます。必ず医師の指示にしたがい、自己判断で量を変えたりやめたりしないでください。
手術が検討される場合
高度な肥満をともなう糖尿病などでは、減量手術(代謝外科手術)が選択肢となることがあります。ただし、これはすべての人が対象ではなく、専門的な検査とチームによる診療が必要です。
この病気と共に生きる
低糖質の生活は「禁止」ではなく「工夫」です。毎日完璧にする必要はありません。つきあいの食事や旅行のときは楽しみ、次の食事で調整する、という柔軟な考え方で続けましょう。血糖値は一日のうちでも変動するため、気にしすぎず、長い目でみることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に食事をする
- 朝食を食べて、一日の血糖値の波を整える
- 睡眠時間を6〜8時間確保する
- ストレスをためないための趣味やリラックス法をみつける
- 飲酒は休肝日を設ける、など適量にする
- 禁煙を検討する(たばこは血糖コントロールに悪影響があります)
食事と運動
厚生労働省は、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事をすすめています。低糖質の食事でも、野菜やたんぱく質を十分にとることが大切です。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動と、筋力トレーニングを組み合わせると効果的です。食後に10分歩くだけでも、食後血糖値の上昇をゆるやかにする助けになります。
精神的健康と心の健康
血糖値が高めと指摘されると、食事のたびに不安になったり、ほかの人と食事をするのがおっくうになったりすることがあります。「がんばらなくてはいけない」と思うほど、つらくなることもあります。そうした気持ちは決して特別なことではありません。つらいときは、ひとりで抱え込まず、かかりつけ医や栄養士に相談しましょう。
予防
糖尿病の多くは、生活習慣の見直しによって予防や進行の抑制が期待できます。とくに、体重を減らすこと、運動を増やすこと、睡眠を整えることが、血糖値を正常に近づける大きな助けになります。
ワクチン
糖尿病の人は感染症にかかると重症化しやすいため、かかりつけ医と相談のうえ、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種を検討すると安心です。
検診プログラム
日本では特定保健指導(メタボリックシンドロームの該当者・予備群への支援)が行われています。年に1回の健康診断で血糖値とHbA1cをチェックし、高めであれば放置せずに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 神経障害(手足のしびれや感覚の低下)
- 網膜症(目の血管が傷み、視力に影響が出る)
- 腎症(腎臓の働きが低下する)
- 心筋梗塞や脳卒中などの血管の病気
- 感染症にかかりやすくなる、治りにくくなる
長期的な見通し
血糖値が高めの状態でも、早く気づいて生活習慣を整えることで、合併症のリスクを大きく減らすことができます。低糖質の生活は、特別に苦しいものではありません。少しずつ続けていけば、体の変化を実感できる人も多くいます。あなたのペースで、一歩ずつ取り組んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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