糖尿病を予防する:知っておきたい基礎知識
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
糖尿病は、血液中の糖(血糖)が高くなりすぎてしまう病気です。食べ物に含まれる糖は、膵臓から出るインスリンというホルモンによって細胞に取り込まれ、エネルギーになります。インスリンの出が悪くなったり働きが弱くなったりすると、血糖値が高いままになり、これが続くと糖尿病と診断されます。
重要な事実
- 糖尿病には主に1型と2型があり、予防・改善を見込めるのは主に2型です。
- 糖尿病になりかけた状態を「予備群」といい、ここで生活習慣を見直すと進行を防げます。
- 治療で大切なのは「食べる量」「動く量」「睡眠」の3つ。まずは少しずつ変えましょう。
とてもよくある病気です。厚生労働省の調査では、糖尿病が強く疑われる人(1,000万人前後)と、可能性を否定できない人(予備群)を合わせると、約2,000万人いると推計されています。
中高年に多いですが、最近は若い世代でも、肥満や運動不足、乱れた食生活が原因で2型糖尿病になる人が増えています。家族に糖尿病の人がいると、かかりやすくなると言われています。
症状
- 呼びかけに反応しない、意識がもうろうとする
- 吐き気やおう吐が続く
- いつもより呼吸が速くて深い
- 意識はあっても、極度の脱力感がある
- ⚠喉の渇きがひどく、水を大量に飲んでしまう
- ⚠1時間ごとにトイレに行きたくなるほどの頻尿
- ⚠急な体重減少
- ⚠目のかすみ(数日で出る場合)
一般的な症状
- 喉が渇きやすくなる
- 尿の量や回数が増える
- 疲れやすくなる
- 体重が急に減る(2型の場合、ゆっくり減ることもあります)
- 傷が治りにくい
- 手足のしびれ
子供の症状
- のどが異常に渇く
- 尿が多くなる(おねしょを急にするようになる)
- 体重が減る
- 甘い飲み物をすごく欲しがる(子どもでは太っていることが多い)
高齢者の症状
- 症状がほとんど出ず、進行して初めて見つかることが多い
- 口の乾き、尿が近い
- だるさ、皮膚のかゆみ
- 認知機能の低下に似た症状(ぼんやりする)が出ることも
原因
主な原因
- インスリンの分泌量が減る(膵臓の働きが弱る)
- インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)
- 食べすぎ・飲みすぎで血糖値を上げる習慣が続く
- 運動不足で筋肉などに糖が取り込まれにくくなる
リスク要因
- 両親や兄弟姉妹に糖尿病の人がいる
- 太っている(特にウエストまわりに脂肪が多い)
- 甘い飲み物や脂肪の多い食事をよくとる
- 運動習慣がほとんどない
- 高血圧・脂質異常症(中性脂肪が高い、HDLコレステロールが低い)
- 妊娠中に糖尿病になったことがある(妊娠糖尿病)
- 加齢(40歳以上でリスクが上がります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 喉の渇きと尿の回数が急に増えた
- 体重が1か月で数kg減った
- 目のかすみやしびれがある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断の結果で「血糖値が高め」または「予備群」と言われた
- 家族に糖尿病の人がいる
- 40歳になったら、年に1回は血液検査(空腹時血糖またはHbA1c)をしましょう
診断
血液検査で「血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という数値を調べます。HbA1cは、過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を表す値です。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖(少なくとも8〜10時間、食事をとらない状態で測る血糖値)
- HbA1c(採血1回で測れる、過去の血糖の平均)
- 経口ブドウ糖負荷試験(ブドウ糖の入った飲み物を飲んで、決まった時間に採血する)
- 尿検査(糖が出ていないか)
診察で予想されること
診察室での手順は、問診と採血が中心です。痛みは採血のときの少しの痛みだけです。結果が出るまで数日〜1週間かかることがあります。必要なら再検査や、かかりつけ医から糖尿病専門医(糖尿病内科)への紹介があります。
治療
糖尿病を予防・改善する基本は「食事・運動・睡眠」の3本柱です。薬は、生活習慣を改善しても血糖値が下がらない場合や、糖尿病と診断された場合に、医師と相談して使います。
自宅でのセルフケア
- 1日3食、野菜から食べる(ベジファースト)
- 甘い飲み物を控え、水やお茶にする
- 毎日歩く、階段を使うなど、体を動かす時間を増やす
- 睡眠を6時間以上とる(睡眠不足は血糖値を上げる原因)
- 体重を5%減らす(例:60kgの人なら3kg)と効果が出やすいと言われます
医療治療
糖尿病または予備群と診断された場合、医師はあなたの状態に合わせて治療方針を決めます。まずは生活習慣の改善を指導し、必要に応じて糖尿病の薬(血糖を下げる薬)を検討します。薬にはさまざまな種類があり、注射薬や併用療法もありますが、どの薬が合うかは人それぞれです。必ず医師・薬剤師の説明を受け、自己判断で量を変えたり、やめたりしないでください。
手術が検討される場合
糖尿病そのものに対する手術は一般的ではありません。ただし、高度な肥満が原因の糖尿病では、減量を目的とした治療(減量手術など)が医師から提案される場合があります。これは専門的な治療なので、実施するかどうかは専門医と慎重に相談して決めます。
この病気と共に生きる
糖尿病の予防や管理はマラソンのようなものです。完璧を目指すより、「今日は野菜を先に食べた」「階段を使った」という小さな積み重ねを大切にしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 生活リズムを一定にする(食事時間・睡眠時間)
- 毎日体重計に乗る
- たばこは控える(喫煙は血管を傷つけ、糖尿病の合併症を増やします)
- お酒は飲みすぎない(日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本程度までが目安)
- こまめに水分をとる(ただし甘い飲み物は避ける)
食事と運動
食事は「食物繊維の多い野菜や海藻、キノコ類を先に食べ、ごはん・パンなどの炭水化物は後から、適量を」。運動は「週に150分(1日30分×週5日)程度の速歩きなどの有酸素運動」と「週2回のスクワット・かかと上げなどの筋トレ」がおすすめです。一度にやらず、10分ずつでも大丈夫です。
精神的健康と心の健康
「予備群」と言われると、将来が不安になるかもしれません。しかし、糖尿病は「予防できる」病気でもあります。自分を責めず、できていることを認めながら進めましょう。もし強い不安や抑うつ感が続くなら、ひとりで抱え込まず医師や心理士に相談してください。
予防
2型糖尿病は、生活習慣の見直しで発症を予防したり、発症を数年〜数十年遅らせたりできることが、国内・海外の研究で示されています。特に「体重を5%減らす」「週150分の運動」「甘い飲み物をやめる」という3つは効果が高いと言われています。
ワクチン
糖尿病そのものを防ぐワクチンはありません。ただし、感染症にかかると血糖が上がりやすくなり、糖尿病の進行リスクが高まります。インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは、感染症予防に役立つので、医師と相談してください。
検診プログラム
日本では40歳以上の方を対象に「特定健康診査(メタボ健診)」が、会社や市区町村の健康保険で行われています。この健診には血糖値の検査(空腹時血糖またはHbA1c)が含まれており、気づかないうちに高血糖になっていても見つけることができます。健康診断の結果で「血糖値がやや高い」「予備群」と指摘されたら、受診をすすめましょう。
合併症
治療しない場合
- 目の網膜の血管が傷つく「糖尿病網膜症」(失明の原因になることがあります)
- 腎臓のろ過機能が低下する「糖尿病腎症」(透析が必要になることがあります)
- 手足のしびれや痛みの「糖尿病神経障害」
- 血管が硬くなり、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすくなる
- 壊疽(えそ)や足の潰瘍(傷が治らず、切断に至ることがある)
長期的な見通し
糖尿病は「予防できる」病気です。たとえ糖尿病と診断されても、血糖値を良い状態に保てば、合併症によって寿命が大きく縮むことはありません。むしろ早期に見つけることが一番の治療になります。希望を持って、一歩ずつ生活改善を始めましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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