難聴の予防
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
難聴とは、音が聞こえにくくなったり、言葉が聞き取りにくくなったりする状態のことです。耳の中のトラブルや神経の問題、加齢、大きな音への曝露など、様々な原因で起こります。
重要な事実
- 大きな音に長くさらされると、音を感じる細胞が傷つき、難聴になることがあります。
- 加齢による難聴は誰にでも起こり得ますが、健康的な生活習慣で進行をゆっくりにすることができます。
- 耳掃除のしすぎは、かえって耳を傷つけたり、耳垢を奥に押し込んだりする原因になります。
難聴はとても身近な健康問題です。特に高齢になるほど多く、世界保健機関(WHO)の報告では、世界中で約15億人が何らかの難聴を抱えているとされています。日本でも、加齢や騒音が原因の難聴が増えています。
難聴はどの年齢でも起こり得ますが、高齢者に多く見られます。また、大きな音の中で働く人、イヤホンで大音量の音楽をよく聞く人、耳の感染症を繰り返す人、家族に難聴の人がいる場合などは、より注意が必要です。
症状
- 突然の激しいめまいで立てない場合——すぐに119番に電話してください
- 顔の片側が動かない、手足のしびれなど脳卒中の可能性がある場合——すぐに119番に電話してください
- 高熱と耳の激しい痛み、耳の周りの腫れがある場合——すぐに119番に電話してください
- 頭を強く打った後に耳から血や透明な液体が出る場合——すぐに119番に電話してください
- ⚠突然、聞こえが悪くなった(特に片耳)——突発性難聴の可能性があるため、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください
- ⚠耳の痛み、発熱、耳だれがある——感染症の可能性があります
- ⚠耳鳴りが突然強くなった
- ⚠耳に物が入ったような違和感が続く
一般的な症状
- 話し声が聞き取りにくい、特に騒がしい場所で
- テレビやラジオの音量を上げないと聞こえない
- 耳鳴り(キーン、ザーといった音)がする
- 音がこもって聞こえる
- 複数人が同時に話すと会話についていけない
子供の症状
- 呼びかけに気づかないことが多い
- 言葉の発達が遅れているように感じる
- テレビに近づいて見たり、音を大きくしたりする
- 学校で集中できない、聞き返しが多い
高齢者の症状
- 会話を聞き返すことが増える
- 放っておくと人と話すのがおっくうになる
- 補聴器の使用を考えるきっかけになる
- うつ傾向や認知症のリスクが高まることもある
原因
主な原因
- 大きな音への曝露(騒音性難聴)
- 加齢(老人性難聴)
- 中耳炎などの耳の感染症
- 耳垢のつまり
- 遺伝的な要因
- 頭部の外傷
- 特定の薬の影響(耳毒性薬)
リスク要因
- 工場や工事現場、ライブ会場など大きな音の環境で働く
- イヤホンやヘッドホンを大音量で使う
- 高血圧、糖尿病などの生活習慣病
- 家族に難聴の人がいる
- 高齢であること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の難聴(特に片耳)は、突発性難聴の可能性があります。早く治療を始めるほど改善しやすいため、すぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
- 耳の激しい痛み、腫れ、発熱、耳だれなどの感染症の兆候
- めまいを伴う難聴
定期受診を予約すべき場合:
- 聞こえにくいと感じるが、急ではない場合
- 耳鳴りが続いている
- 子どもの言葉の発達や聞こえについて心配がある
- 年を取って会話が聞き取りにくくなった
診断
難聴の診断は、主に耳鼻咽喉科で行います。医師が耳の中を観察し、聴力検査で音の聞こえ方を詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡による外耳道と鼓膜の観察
- 純音聴力検査(さまざまな音が聞こえるか調べる)
- 語音聴力検査(言葉がどれだけ聞き取れるか調べる)
- ティンパノメトリー(中耳の状態を調べる)
- 必要に応じてCTやMRIなどの画像検査
診察で予想されること
検査は痛みを伴わず、30分から1時間程度で終わります。ヘッドホンを着けて聞こえた音に反応するボタンを押すなど、リラックスして受けられます。検査結果をもとに、医師が原因や治療方針を説明します。
治療
難聴の治療は原因と種類によって異なります。耳垢が原因なら除去することで改善します。中耳炎など炎症が原因なら薬や処置で治ることもあります。一方、加齢や騒音による難聴は、完全に元の聴力に戻すのは難しいですが、補聴器や人工内耳などの機器を使い、生活の質を高めることができます。
自宅でのセルフケア
- 大きな音の場所では耳栓をする
- イヤホンの音量は最大の60%程度に抑え、1時間ごとに休憩する
- 耳掃除は綿棒で奥までせず、入り口をやさしく拭く程度にする
- 泳ぐときは耳栓を使い、濡れたら清潔なタオルで水分を取る
- 風邪をひいたら早めに休み、中耳炎を予防する
医療治療
医療機関では、炎症やめまいを抑えるお薬の処方、補聴器の適合、人工内耳の検討など、難聴の原因や程度に合わせた治療が行われます。具体的な治療法は医師が説明します。自己判断で市販の補聴器を選ばず、専門家のアドバイスを受けることが大切です。
手術が検討される場合
中耳の慢性炎症(慢性中耳炎)や耳小骨の異常、内耳の障害などで、補聴器では十分な効果が得られない場合、手術が検討されることがあります。代表的な手術には、耳小骨の再建術や人工内耳の埋め込み術などがあります。
この病気と共に生きる
難聴と上手に付き合うには、周囲に自分の聞こえ方を伝え、コミュニケーションの工夫をすることが助けになります。例えば、相手に正面で話してもらう、静かな場所を選ぶ、補聴器を使用するなどの方法があります。
生活習慣のアドバイス
- 補聴器は医師や認定補聴器技能者に定期的に調整してもらう
- 手話や筆談など、自分に合ったコミュニケーション方法を持つ
- 難聴者の支援団体やサークルに参加して情報交換をする
- 家族や友人に理解を求め、聞こえづらさを隠さない
食事と運動
耳の健康を保つには、血行を良くすることが役立ちます。バランスの良い食事、特にビタミンB群や抗酸化物質を多く含む緑黄色野菜や果物を積極的に摂り、適度な運動を習慣にしましょう。また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の管理も難聴の進行予防につながります。
精神的健康と心の健康
難聴が進むと、会話が楽しめなくなり、人と交流する機会が減って、孤立感や不安を感じることがあります。このような感情は自然なものです。つらい気持ちが続くときは、医療機関や相談機関に話を聞いてもらうことも選択肢の一つです。決して一人で抱え込まないでください。
予防
すべての難聴を予防することはできませんが、騒音性難聴は大きな音を避けることで大部分を予防できます。加齢による難聴も、健康的な生活習慣(禁煙、適度な運動、バランスの良い食事、生活習慣病の管理)によって進行を遅らせられる可能性があります。
ワクチン
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)や髄膜炎などの感染症は、難聴の原因になることがあります。これらに対しては定期接種のワクチンがあるため、接種をすることで難聴の予防につながります。
検診プログラム
日本では、新生児の聴覚検査が行われており、乳幼児期の難聴を早期に見つける取り組みがあります。また、学校健診や職場の健診でも聴力検査を受けることができます。聴力の低下を指摘されたら、早めに医療機関で詳しく調べてもらいましょう。
合併症
治療しない場合
- 人とのコミュニケーションが難しくなり、社会から孤立しやすくなる
- 認知症のリスクが高まる可能性がある
- うつ病などの気分の障害が起こりやすくなる
- 車のクラクションや火災警報などの危険な音が聞こえず、事故のリスクが高まる
長期的な見通し
難聴になっても、補聴器や人工内耳などの支援機器を上手に使い、周囲の理解を得られれば、多くの人はこれまで通りの生活を続けることができます。突然の難聴は早期の治療で良くなることがあります。諦めずに専門家の助けを求めましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。