尿路感染症(UTI)を予防するには
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
尿路感染症(にょうろかんせんしょう)は、腎臓(じんぞう)、尿管(にょうかん)、膀胱(ぼうこう)、尿道(にょうどう)など、尿の通り道に細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。特に、膀胱に炎症が起きる「膀胱炎」がよく知られています。この記事では、尿路感染症を予防するための方法を紹介します。
重要な事実
- 尿路感染症は、多くの場合、腸の中にいる細菌が尿道から入って起こります。
- 水分を十分にとると、尿の流れで細菌を体の外に出しやすくなります。
- 排尿を我慢しないことも、感染を防ぐ大切な習慣です。
とても一般的な感染症で、女性の約2人に1人が一生のうちに一度は経験すると言われています。日本でも多くの人が医療機関を受診しています。
女性に多く、特に性行為の経験がある方、妊娠中の方、閉経後の方に起こりやすいです。男性では、前立腺(ぜんりつせん)が大きくなる50歳以降や、尿道の長さが関係して、高齢になるほどリスクが高まります。乳幼児や高齢者では、症状がわかりにくいこともあります。
症状
- 次の症状がある場合は、ためらわずに119番(救急車)を呼んでください。
- 意識がもうろうとする
- 呼吸が苦しい
- 高熱とともに悪寒やふるえがひどい
- 腰や背中に強い痛みがあり、動けない
- ⚠次の症状がある場合は、当日中に医療機関(泌尿器科・かかりつけ医)を受診してください。
- ⚠尿に血が混じっている
- ⚠尿が出にくい、または尿量がとても少ない
- ⚠妊娠中に尿路感染症の症状がある
- ⚠乳幼児や高齢者に、発熱や元気がないなどの症状がある
一般的な症状
- 排尿するときの痛みや焼けるような感覚
- トイレが近い(頻尿)
- 尿がにごる、血が混じる
- 尿の強いにおい
- 下腹部の不快感・圧迫感
子供の症状
- 機嫌が悪い、ぐずる
- 吐く、食欲がない
- 普段と違う尿のにおい
- おねしょの回数が増える
高齢者の症状
- 発熱(高齢者では低い熱のこともある)
- 意識がぼんやりする
- 元気がない、食欲がない
- 転ぶことが増える
- 尿失禁(もれる)が新たに現れる
原因
主な原因
- 大腸菌など腸にいる細菌が、尿道から入って膀胱に到達する
- 性行為によって細菌が尿道に押し込まれる
- 排尿を我慢して、尿の中の細菌が増えやすい状態になる
- 尿の流れが滞る原因がある(前立腺肥大、尿路結石、尿路の形の異常など)
リスク要因
- 女性(尿道が短く、肛門と尿道の距離が近いため)
- 妊娠中(ホルモンの影響で尿の流れが変わる)
- 閉経後の女性(女性ホルモンが減り、腟の自浄作用が弱まる)
- 糖尿病や免疫力が低下する病気
- 尿路にカテーテル(管)を入れたままにしている
- 過度な洗浄やスプレーなどで腟や尿道口周辺の環境を乱す
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱や腰背部の強い痛みがある
- 吐き気や嘔吐がある
- 妊娠中の方で症状がある
- 小さな子どもや高齢者で症状が出ている
定期受診を予約すべき場合:
- 排尿時の痛みや違和感が続く
- 血尿が見られる(見た目でわかる)
- 尿のにごりや強いにおいを感じる
- トイレが近い、排尿時にすっきりしない
診断
医療機関では、まず症状について問診があり、その後、尿を採取して調べる「尿検査」を行います。尿の中の細菌や白血球(炎症のしるし)を調べます。場合によっては、尿を培養して原因の細菌を特定する検査も行われます。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(試験紙・尿沈渣)
- 尿培養検査(細菌の種類を特定するため)
- 必要に応じて、血液検査や超音波(ちょうおんぱ)検査
診察で予想されること
尿検査はとても簡単で、清潔な容器に少量の尿をとるだけです。結果はその場でわかることもありますが、培養検査は数日かかることがあります。検査結果に基づいて、治療方針が決まります。
治療
治療は、原因となる細菌をやっつけることが中心です。医師の指示に従い、抗菌薬(こうきんやく)を決められた期間、服用します。症状が軽くなったからといって、途中でやめないことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 水分を多めにとる
- 排尿を我慢しない
- 十分に休養をとる
- 体を冷やさない
- 症状がある間は性行為を控える
- お風呂はシャワーにし、陰部を清潔に保つ
医療治療
細菌の種類や症状に合わせて、抗菌薬による治療が行われます。薬の種類や服用期間は医師が決めます。妊娠中や高齢者、子どもでは、特に医師の指示を守ることが重要です。服用後に気になる症状があれば、すぐに医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
尿路感染症そのものに手術が必要になることはほとんどありません。ただし、結石や尿路の形の異常が原因で繰り返す場合は、その原因を治療するために手術が検討されることがあります。詳しくは担当医に相談してください。
この病気と共に生きる
尿路感染症を繰り返す方は、生活習慣を見直しましょう。排尿後は前から後ろに拭く、下着は通気性の良いものを選ぶ、締め付けの強いズボンを避けるなどの工夫が役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 日中は4〜5時間おきにトイレに行く
- 水分は1日1.5〜2リットルを目安に飲む
- 排便後は尿道口に細菌をつけないように拭く
- 入浴はシャワー中心にし、長時間の浴槽浸かりや過度な洗浄をしない
- クランベリージュースなどはすべての人に効果があるわけではありません。糖分の取りすぎに注意してください。
食事と運動
特別な食事は必要ありませんが、バランスの良い食事と適度な運動で免疫力を保ちましょう。水分補給は、食事中の汁物やお茶なども含めて十分に行ってください。
精神的健康と心の健康
繰り返す場合や長引く場合は、不安やストレスを感じることもあるでしょう。そんなときは、一人で悩まず、医師や看護師に相談してください。予防を続けることで、症状をコントロールできる実感が生まれ、安心につながります。
予防
尿路感染症は、毎日の習慣で予防できることが多いです。すべての感染を防げるわけではありませんが、リスクを大きく下げることができます。特に「水分をとる・排尿を我慢しない・清潔を保つ」の3つが基本です。
ワクチン
日本では現在、尿路感染症の一般的なワクチンはありません。特定の条件で研究されている段階です。ワクチンに頼らず、日常生活での予防を続けましょう。
検診プログラム
尿路感染症を予防するための定期検診はありません。気になる症状がある場合や、繰り返す場合は、早めに医療機関を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 「腎盂腎炎(じんうじんえん)」という腎臓へ感染が広がる病気
- 重症化すると「敗血症(はいけつしょう)」になり、命に関わることがある
- 妊娠中は早産や低出生体重児の原因となることがある
長期的な見通し
尿路感染症は、適切な治療と日々の予防で、多くは問題なく治ります。たとえ繰り返しても、医師と相談しながら予防策を続ければ、発症を減らすことができます。この記事が、あなたの健康管理の一部になれば幸いです。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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