扁桃の検診:のどの健康を守るために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
扁桃(へんとう)は、のどの奥の左右にあるアーモンドのような形をしたリンパ組織で、細菌やウイルスが体に入るのを防ぐ「のどの門番」のような役割をしています。扁桃の検診とは、耳鼻咽喉科(じびいんこうか:耳・鼻・のどの病気を診る診療科)の医師が、この扁桃に炎症(赤く腫れること)や腫瘍(できもの・がん)などの異常がないかを、目で見て、触れて、必要に応じてカメラなどを使って確認する診察のことです。
重要な事実
- 扁桃はのどを守る免疫(めんえき:体を病気から守る仕組み)の一部ですが、感染すると自分自身が炎症を起こすことがあります。
- 扁桃の異常は、のどの痛み・違和感・発熱・口臭などのサインで気づくことが多いですが、無症状のこともあります。
- 扁桃の左右の大きさが明らかに違う場合や、長く続く片側ののどの違和感は、念のため精密検査が必要なことがあります。
- 扁桃の検診は、痛みをほとんど伴わず、数分で終わることがほとんどです。
耳鼻咽喉科では、のどの診察の一環として扁桃をチェックすることは日常的に行われており、特別めずらしい検査ではありません。ただし、症状のないすべての人が定期的に受ける、がん検診のような全国的な制度はまだ整っていません。
扁桃の病気は年齢を問わず起こります。かぜや扁桃炎(へんとうえん:扁桃に炎症が起きて赤く腫れ、痛みや熱が出る病気)は子どもから大人まで、特に小学生までの子どもに多く見られます。扁桃がんは40歳以上、特に50〜60代以降の男性に多いとされ、喫煙や飲酒の習慣がある方に多く見られます。
症状
- のどがふさがって息ができない、呼吸がゼーゼーとする
- 意識がもうろうとしている
- 大量の血を吐く
- 顔や唇の色が青白い・紫っぽい
- ⚠のどが痛くて水分も飲めない
- ⚠40度近い高熱が続く
- ⚠のどが腫れて息苦しい
- ⚠口を大きく開けられないほどの痛みや腫れがある
- ⚠片側だけののどが激しく腫れて痛む
一般的な症状
- のどの痛み(特に飲み込むときの痛み)
- のどに何かが引っかかったような違和感・異物感
- 扁桃が赤く腫れる
- 扁桃に白や黄色の膿(うみ)が付く
- 38度以上の発熱
- 首のリンパ節が腫れる
- 口臭が気になる
子供の症状
- のどを痛がる、食事や水分をとりたがらない
- 高い熱が突然出る
- いびきをかく、口で呼吸することが多い
- 首のしこりに触れる
- 機嫌が悪く、ぐずる
高齢者の症状
- のどの痛みだけでなく、片側だけの違和感がある
- 痰(たん)に血が混じる
- 飲み込みにくさがゆっくり進む
- 声のかすれが長引く
- のどの痛みを感じにくいため、発見が遅れやすい
原因
主な原因
- ウイルス感染(かぜのウイルス、EBウイルスなど)
- 細菌感染(溶連菌(ようれんきん)など)
- 喫煙や大量の飲酒(扁桃がんのリスクを高める)
- ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染(扁桃を含むのどのがんの一部に関係する)
- のどの乾燥や疲労による免疫力の低下
リスク要因
- くり返すかぜや扁桃炎
- 喫煙(本人だけでなく受動喫煙も含む)
- 多量の飲酒
- 疲労・睡眠不足による免疫力低下
- ヒトパピローマウイルス(HPV)感染
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- のどの痛みで食事や水分がとれない
- 高熱が続く
- のどが腫れて息苦しい
- 口を開けにくい
- 血の混じった痰が出る
定期受診を予約すべき場合:
- のどの違和感が2週間以上続く
- のどの痛みをよくくり返す(年に4回以上)
- 扁桃の左右の大きさが違うように感じる
- いびきがひどく、眠っているときに呼吸が止まることを指摘された
- 健康診断で扁桃の肥大や所見を指摘された
診断
診察は耳鼻咽喉科で行います。医師がまず症状や生活習慣を聞き(問診)、次に舌を押さえるへら(舌圧子)を使って扁桃を直接見ます。のどの奥まで詳しく見る必要がある場合は、鼻から細い内視鏡(カメラ)を入れて観察します。左右の大きさや表面の様子、のどの周りの腫れなどをチェックします。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の経過、喫煙・飲酒の習慣などを聞くこと)
- 視診・触診(扁桃を目で見て、首やあごの下を手で触れて調べること)
- 内視鏡検査(鼻から細いカメラを入れてのどを詳しく見る検査)
- 血液検査(炎症の程度や感染の有無を調べる検査)
- 画像検査(CT・MRIなどで、のどの周りの広がりを調べる検査)
- 生検(病変が疑われる部分の組織を少し取って顕微鏡で調べる検査)
診察で予想されること
検査の多くは、診察台の椅子に座ったまま数分で終わります。内視鏡を鼻から入れるときは、むずむずする・涙が出るといった感覚がありますが、表面麻酔のスプレーを使うため激しい痛みはほとんどありません。生検を行った場合は、結果が出るまでに数日から1週間ほどかかります。結果や今後の方針は、医師がわかりやすく説明してくれます。
治療
治療は原因によって違います。かぜなどウイルスによる扁桃炎では、水分補給や休養、うがいなどの対症療法(症状をやわらげる治療)が中心です。細菌による扁桃炎では、抗菌薬(細菌をやっつける薬)が処方されます。扁桃炎をくり返す場合や扁桃が大きくて日常生活に支障がある場合は手術が検討されます。扁桃がんが疑われる場合は、専門の医療機関で精密検査と治療を行います。
自宅でのセルフケア
- こまめにうがいをしてのどを清潔に保つ
- 水分をこまめにとる(のどの乾燥を防ぐ)
- 加湿器などを使って部屋の湿度を50〜60%に保つ
- 刺激の少ない食事をとる(熱すぎるもの・辛いもの・硬いものを避ける)
- 十分な睡眠と休養で免疫力を高める
- 喫煙・飲酒はのどに負担をかけるため控える
医療治療
医療機関では、痛みや腫れをやわらげる消炎鎮痛薬(しょうえんちんつうやく)や、細菌感染が疑われる場合には抗菌薬(こうきんやく)が処方されることがあります。のどの痛みを直接やわらげるスプレーやトローチなどの薬も使われることがあります。薬の種類や量、飲む期間は、必ず処方した医師の指示に従ってください。自己判断で中断したり、ほかの人の薬を飲んだりすることは絶対に避けましょう。
手術が検討される場合
手術(扁桃摘出術:へんとうてきしゅつじゅつ)は、1年間に4回以上扁桃炎をくり返す、扁桃が大きくて睡眠時無呼吸(睡眠中に呼吸が止まる状態)や飲み込みにくさがある、のどにうみのかたまり(扁桃周囲膿瘍)ができた、扁桃がんが疑われる、などの場合に検討されます。最近は日帰りや短期入院での手術も増えています。手術の必要性は、年齢や症状、体の状態をふまえて医師とよく相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
扁桃の病気の多くは、適切な治療で改善します。日頃から、うがい・手洗い・十分な睡眠・バランスのよい食事を心がけ、のどを労わることが大切です。扁桃の違和感が続くときは無理をせず、早めに受診しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 外出後は必ずうがい・手洗いをする
- マスクで乾燥や冷気から守る
- 疲れをためない
- のどに負担をかける大きな声や長話を避ける
- 禁煙し、お酒はほどほどにする
食事と運動
炎症があるときは、温かいスープやおかゆなど、のどごしのよい食事をとりましょう。柑橘類や炭酸飲料など刺激の強いものは避けます。普段は、野菜や果物を十分にとり、無理のない範囲でウォーキングなどの軽い運動を続けると、免疫力が高まり再発予防につながります。
精神的健康と心の健康
のどの症状が長く続くと、食事がつらくなったり、話しづらくなったりして、気分が落ち込んだり不安になったりすることがあります。特にがんの検査を受けている間は、心配で眠れないこともあるかもしれません。そうした気持ちは自然なことです。ひとりで抱え込まず、家族や友人、医療スタッフに話すだけでも気持ちが楽になります。
予防
扁桃炎のすべてを予防することはできませんが、うがい・手洗いなどの感染対策、十分な睡眠、バランスのよい食事で免疫力を保つことは再発予防に役立ちます。扁桃がんについては、禁煙・節酒・HPV感染の予防がリスクを減らす重要な対策です。
ワクチン
扁桃炎を直接予防するワクチンはありませんが、日本ではヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが定期接種の対象となっており、扁桃を含むのどのがん(中咽頭がん)の一部を予防する効果が期待されています。予防接種についての詳細は、かかりつけ医やお住まいの自治体の窓口に相談してください。
検診プログラム
のどに症状がなくても、40歳以上で喫煙や飲酒の習慣のある方は、年に一度は耳鼻咽喉科で扁桃を含むのどの検診を受けることをおすすめします。日本では、厚生労働省ががん検診の受診を呼びかけており、のどのがんを早期に見つけるには、気になる症状があるときに早めに受診することが大切です。特に、のどの違和感や声のかすれが2週間以上続く場合は、放置せずに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう:扁桃の周りにうみがたまり、のどを圧迫して呼吸や飲み込みが悪くなること)
- 睡眠時無呼吸の悪化(扁桃肥大が原因の場合)
- 慢性扁桃炎による持続するのどの違和感・口臭
- 扁桃がんの進行(周囲の組織やリンパ節への広がり)
- まれにリウマチ熱や腎臓の炎症(溶連菌感染が長引いた場合)
長期的な見通し
扁桃の病気のほとんどは、適切な治療で改善します。たびたび扁桃炎を起こす方でも、手術などの治療によって生活の質が大きくよくなることが期待できます。扁桃がんも、早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、治る可能性は十分にあります。のどの異変を感じたら、ためらわずに受診してください。早めの受診がいちばんの安心につながります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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