副鼻腔炎(ふくびくうえん)を予防するには — 原因・症状・対策ガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
副鼻腔炎とは、鼻のまわりにある「副鼻腔(ふくびくう)」という骨の中の小さな空洞に炎症が起こる病気です。風邪やアレルギーがきっかけで鼻の粘膜がはれ、副鼻腔への通り道がふさがると、中に鼻水や膿(うみ)がたまります。昔は「ちくのう症」とも呼ばれていました。
重要な事実
- 副鼻腔炎は、風邪やインフルエンザの後に起こることが多く、多くの場合、数週間で治ります。
- 手洗い・うがい、部屋の加湿、禁煙などの毎日の工夫で、かかるリスクを大きく減らせます。
- 治療せずに放っておくと、症状が長く続く「慢性副鼻腔炎」になることがあります。早めに受診することが大切です。
副鼻腔炎はとても一般的な病気で、年に何度も風邪をひく人なら、そのうちの何回かで副鼻腔炎の症状を経験することがあります。日本では寒い季節や花粉の時期に特に多く見られます。
子どもから大人まで、どの年齢でもかかる可能性があります。特に、風邪をひきやすい人、アレルギー性鼻炎(花粉症など)のある人、喫煙者、ぜんそくのある人、免疫力が低下している人は、副鼻腔炎になりやすい傾向があります。
症状
- 顔や目のまわりが急に強くはれて、激しい痛みがある
- 物が二重に見える、視力が落ちたように感じる
- 高熱とともに激しい頭痛がある
- 首が硬くて曲げにくい
- 意識がもうろうとする
- 息が苦しい
- このような症状がある場合は、すぐに救急車を呼んでください(日本では119番)。
- ⚠発熱とともに強い顔の痛みがある
- ⚠症状が10日以上続く、または一度よくなったのに急に悪化した
- ⚠処方された薬を飲んでも改善しない
- ⚠糖尿病やぜんそくなど持病があり、症状が悪化している
- ⚠小さな子どもや高齢者で症状が長引く場合
一般的な症状
- 鼻づまりや鼻水(透明なものから黄色・緑色のものまで)
- 顔の痛みや重い感じ(額、目のまわり、頬のあたり)
- においがわからない(嗅覚の低下)
- せきやたんが長引く
- 疲れやすさやだるさ
子供の症状
- 鼻水や鼻づまりが10日以上続く
- 夜にせきが悪化する
- 機嫌が悪く、イライラする
- 耳が痛いと訴える
- 熱が続く
- 目や頬のまわりがはれる
高齢者の症状
- 鼻水や鼻づまりがあまり強くないのに長く続く
- 頭痛や顔の痛みがはっきりしない
- せきやたんが長引く
- 微熱が続く
- 食欲が落ちる、元気がない
- 意識がぼんやりする(重症のサイン)
原因
主な原因
- ウイルス感染(風邪やインフルエンザなど)
- 細菌感染(ウイルス感染のあとに、副鼻腔で細菌が増える)
- アレルギー性鼻炎(花粉症・ハウスダストなど)による粘膜のはれ
- 歯の病気(上あごの奥歯の虫歯や歯周病が原因になることがある)
- 鼻の中の構造的な問題(鼻中隔弯曲など)
- まれに、カビ(真菌)による感染
- たばこの煙や乾燥した空気などの刺激
リスク要因
- 頻繁に風邪をひく
- アレルギー性鼻炎またはぜんそくがある
- 喫煙する、または受動喫煙の環境にいる
- 免疫力が低下している(持病・治療の影響など)
- 湿度が低く乾燥した環境
- 飛行機での移動など、急な気圧の変化
- 頻繁にプールで泳ぐ(塩素の影響)
- 最近、風邪やインフルエンザにかかった
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱とともに顔や目のまわりの強い痛み・はれがある
- 頭痛がひどく、首が硬い
- 見え方に異常がある(二重に見えるなど)
- これらは重症のサインの可能性があります。すぐに医療機関へ相談するか、救急車(119番)を呼んでください。
定期受診を予約すべき場合:
- 風邪の症状(鼻水・鼻づまり)が10日以上続く
- 鼻水が黄色や緑色になり、量が多い
- 顔や頭に痛み・圧迫感がある
- においがわからない状態が続く
- 何度も副鼻腔炎をくり返す
- 1年に4回以上、副鼻腔炎のような症状がある
診断
副鼻腔炎の診断は、主に医師の問診と診察によって行われます。いつからどんな症状があるのか、これまでの病気やアレルギーの有無などを詳しく聞かれます。必要に応じて、鼻の奥を確認する検査や画像検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- 鼻の診察(耳鼻咽喉科の医師が鼻鏡や内視鏡で鼻の内部を確認)
- レントゲン検査(副鼻腔の状態を確認)
- CT検査(詳しい画像で副鼻腔の状態を評価)
- 鼻水の検査(細菌やウイルス、アレルギーの原因を調べる)
- アレルギー検査(アレルギー性鼻炎の有無を確認)
診察で予想されること
診察では、鼻の内側をライトで照らして見たり、細い内視鏡を鼻の奥に入れて確認したりすることがあります。内視鏡検査は少し違和感がありますが、数分で終わります。検査のあとはすぐに日常生活に戻れます。診断結果にもとづいて、症状に合った治療方針が説明されます。
治療
副鼻腔炎の治療は、原因と重症度によって異なります。ウイルスが原因の場合は、体の自然な回復を助けることを中心にします。細菌感染が疑われる場合は、医師が抗生物質を処方することがあります。アレルギーが関係している場合は、アレルギーへの対策も合わせて行います。治療は医療機関とご自宅でのセルフケアを組み合わせて進めていきます。
自宅でのセルフケア
- 十分な休養と睡眠をとる
- 水分をこまめにとる(特に乾燥する季節は意識的に)
- 部屋の湿度を50〜60%に保つ(加湿器や濡れタオルを活用)
- 温かい蒸しタオルを鼻や顔のまわりに当てる
- 鼻をやさしくかむ(片方ずつ、力を入れすぎない)
- 清潔な生理食塩水での鼻洗浄(鼻うがい)を医師の指導のもとで行う
- 頭を少し高くして休むと鼻の通りがよくなることがある
医療治療
治療に使われる薬は、原因や症状によって異なります。細菌感染が疑われる場合は抗生物質が処方されます。また、鼻の通りをよくする薬、炎症を抑える薬、アレルギーを抑える薬、鼻水をサラサラにする薬などが、症状に合わせて処方されます。処方された薬は、医師や薬剤師の指示に従い、勝手にやめずに決められた期間きちんと使いましょう。
手術が検討される場合
薬による治療で症状が改善しない場合や、慢性副鼻腔炎で鼻にポリープ(鼻茸)ができている場合には、手術が検討されることがあります。手術では、副鼻腔の通り道を広げて、膿や鼻水がたまらないようにします。近年では、内視鏡を使った体への負担の少ない手術が広く行われています。手術の必要性は、耳鼻咽喉科の医師が詳しく検査して判断します。
この病気と共に生きる
副鼻腔炎と付き合っていくためには、鼻と副鼻腔の状態を良い状態に保つことが何より大切です。鼻をやさしくかむこと、部屋の湿度と清潔さを保つこと、タバコの煙を避けることなどを毎日の習慣にしましょう。処方された薬は、医師の指示に従って最後まで使い切り、症状がぶり返さないように注意してください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を心がけ、タバコの煙のいる場所を避ける
- 手洗い・うがいを習慣化して、風邪をひかないようにする
- 花粉やハウスダストなどのアレルゲンを避ける(花粉の時期はマスクやめがねを活用)
- 室内を清潔にし、定期的に換気する
- 十分な睡眠と規則正しい生活を送る
- ストレスをためすぎない(ストレスは免疫力を低下させます)
食事と運動
バランスのよい食事で免疫力を保つことが大切です。野菜や果物、良質なタンパク質を意識してとりましょう。適度な運動は血行を良くし、鼻の通りを改善する助けになります。ただし、発熱や強い痛みがあるときは無理をせず、安静を優先してください。
精神的健康と心の健康
副鼻腔炎の症状が長く続くと、鼻づまりで眠れなかったり、においがわからなかったりして、気分が落ち込むことがあります。イライラや不安を感じるのは自然なことです。つらい気持ちは家族や友人に話すだけでも軽くなります。もし気分の落ち込みが強く続く場合は、一人で抱え込まず、医師や地域の相談窓口に相談してください。
予防
副鼻腔炎を完全に予防することはできませんが、リスクを大きく減らすことは可能です。まず、風邪をひかないように手洗い・うがいを徹底しましょう。アレルギーがある人は、医師と相談しながら適切に対処することが大切です。また、部屋の湿度を保つ、タバコを避ける、鼻をやさしくかむなどの工夫も効果的です。風邪をひいたあとは、無理をせずしっかり休んで、鼻の症状を長引かせないことが副鼻腔炎の予防につながります。
ワクチン
インフルエンザワクチンや、高齢者向けの肺炎球菌ワクチンなどの予防接種は、かぜや感染症にかかるリスクを減らし、副鼻腔炎の予防にも役立ちます。予防接種の対象や時期については、厚生労働省やお住まいの自治体の案内を確認し、医師に相談しましょう。
検診プログラム
副鼻腔炎に対する特別な検診(スクリーニング検査)はありません。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、医師の診察を受けることが最も大切です。
合併症
治療しない場合
- 慢性副鼻腔炎(症状が3か月以上続く)
- 嗅覚の低下・消失が長く続く
- 副鼻腔に膿の塊(膿瘍)ができる
- 目のまわりに炎症が広がる(まぶたや目の周囲がはれる)
- まれに、炎症が脳や髄膜に広がる(髄膜炎など、命に関わることもある)
- ぜんそくや気管支炎の悪化
長期的な見通し
副鼻腔炎は、原因にもよりますが、適切な治療と毎日のケアによって、多くの場合、数週間から数か月のうちに改善します。慢性化した場合でも、現在の治療法は進歩しており、多くの人が症状をうまくコントロールしながら生活しています。心配なことがあれば、そのつど医師に相談しながら、あせらずに治療を続けていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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