尿路感染症を予防するには(腎臓・尿の健康)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
尿路感染症とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった「尿の通り道」に細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。膀胱で炎症が起きると膀胱炎、腎臓まで広がると腎盂腎炎と呼ばれます。
重要な事実
- 尿路感染症は、尿の通り道に細菌が入って炎症を起こす病気です。
- 女性に多くみられますが、子どもや高齢者の男性もかかることがあります。
- 早めに医療機関で相談すれば、多くの場合、適切な治療で数日以内によくなります。
ごく一般的な感染症で、女性の多くが一生に一度は経験するともいわれています。日本でも、排尿時の痛みや頻尿などをきっかけに受診する方は少なくありません。
尿道が短く、細菌が入りやすいため、特に女性に多くみられます。ただし、子どもや高齢者、前立腺(男性の膀胱の下にある器官)の病気がある男性、尿道にカテーテルを使っている人もかかりやすくなります。
症状
- 高熱と激しいふるえがある
- わき腹や背中に激しい痛みがある
- 意識がもうろうとする
- 尿がまったく出ない
- 呼吸が苦しそうな様子がある
- ⚠排尿時の痛みや頻尿がつらい
- ⚠尿に血が混じる
- ⚠発熱がある
- ⚠吐き気や嘔吐がある
- ⚠妊娠中に尿路感染症の症状がある
一般的な症状
- 排尿するときの痛みや、焼けるような感じ
- トイレが近い、尿量が少ない
- 尿がにごる、強いにおいがする
- 下腹部の重い感じや不快感
- 尿に血が混じることがある
子供の症状
- 機嫌が悪い、ぐずる
- 食欲がない
- おしっこのにおいが強い、おしっこをしぶる
高齢者の症状
- 急にぼんやりする、意識がはっきりしない
- 今までなかった尿もれがみられる
- 元気がない、食欲がない
- ふらついたり、転んだりする
- 典型的な尿路の症状がみられないこともある
原因
主な原因
- 腸の周りにいる細菌が尿道から入り、膀胱で増えて炎症を起こすのが一般的です。
- 尿道が短い女性は、細菌が膀胱まで達しやすくなります。
- 尿の流れが滞ると、細菌が膀胱の中にとどまり、増えやすくなります。
リスク要因
- 女性であること
- 排尿を我慢する習慣
- 水分を十分にとらないこと
- 閉経後の体の変化
- 尿路結石や前立腺の病気など、尿の流れに問題があること
- 尿道にカテーテルを使用していること
- 糖尿病などで免疫力が低下していること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱がある
- 背中やわき腹に痛みがある
- 吐き気や嘔吐がある
- 妊娠中に症状がある
定期受診を予約すべき場合:
- 排尿時の痛み、頻尿、尿の濁りなどの症状がある
- 症状が数日続く
- 尿路感染症を繰り返す
診断
医師が症状を聞き、診察や尿検査を行います。尿路感染症かどうか、ほかの病気が原因でないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(試験紙で調べる検査)
- 顕微鏡で尿を見る検査
- 尿培養検査(どの細菌が原因かを調べる検査)
- 必要に応じて血液検査や腹部エコーなどの画像検査
診察で予想されること
受診するときは、排尿を少し我慢してから行くと尿検査がスムーズです。清潔な採尿のしかたは看護師が案内します。検査自体は痛みを伴わないことがほとんどです。
治療
細菌による感染症なので、医師が尿路感染症と判断した場合には、抗菌薬(細菌の増殖をおさえる薬)を使った治療が基本になります。症状をやわらげる方法についても、医師や薬剤師に相談できます。
自宅でのセルフケア
- 指示された薬は、症状がよくなっても医師に指示された期間は飲み続けてください。
- 水分をこまめにとり、尿の量を増やして細菌を流しやすくしましょう。
- 排尿は我慢せず、トイレに行きたくなったらすぐに行きましょう。
- 体をあたたかくして、十分に休みましょう。
- アルコールやカフェインの多い飲み物は膀胱を刺激することがあるため、治療中は控えめにしましょう。
医療治療
医師が症状や細菌の種類に合わせて、適切な抗菌薬を処方します。症状が重い場合は、点滴や入院での治療が必要になることもあります。市販の薬は自己判断で使わず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
多くの場合、手術は必要ありません。ただし、尿路結石や前立腺の病気など、尿の流れを妨げる原因がはっきりしている場合は、専門医が手術や処置を検討することがあります。
この病気と共に生きる
治療を始めると、多くの場合、2〜3日で症状が落ち着いてきます。抗菌薬は自己判断で止めず、医師の指示に従って続けることが大切です。治ったあとも、水分補給や排尿習慣に気をつけて生活しましょう。
生活習慣のアドバイス
- おしっこを我慢しない習慣をつけましょう。
- 水分はのどが渇く前に、こまめにとりましょう。
- 排便後は前から後ろへ拭くなど、清潔を保ちましょう。
- 性行為のあとは排尿すると、尿道に入った細菌を流しやすくなります。
- 下着は通気性のよいものを選び、湿ったままにしないようにしましょう。
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、バランスのよい食事と適度な運動で体力を保つことが、感染への抵抗力を助けます。水分は十分にとり、アルコールや刺激の強い飲み物はほどほどにしましょう。
精神的健康と心の健康
尿路感染症を繰り返すと、「またか」という不安や、トイレの心配から外出しづらくなることもあります。気持ちを一人で抱え込まず、医師や看護師、家族に話しましょう。必要に応じて、心の健康を支える専門家につなぐこともできます。
予防
すべての尿路感染症を防げるわけではありませんが、毎日の生活習慣を見直すことで、かかるリスクを大きく減らすことができます。
ワクチン
現在、日本で誰でも受けられる尿路感染症の予防ワクチンは一般的ではありません。予防には、水分補給や排尿習慣、清潔を保つことが大切です。
検診プログラム
健診の尿検査で異常を指摘されても、症状がない場合があります。医師の指示に従い、必要に応じて再検査や経過観察を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 感染が膀胱から腎臓へ広がることがあります(腎盂腎炎)。
- 血液中に細菌が入り、全身の感染症(敗血症)につながる危険があります。
- 何度も繰り返すと、腎臓の働きに影響が出る可能性があります。
長期的な見通し
尿路感染症は、適切な治療を早めに受ければ、多くの場合、1週間以内に症状がよくなります。再発しやすい方でも、医師と一緒に予防策を続けることで、生活の質を保ちながら管理できます。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。