膝下切断の概要
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
下腿切断(かたいせつだん)とは、膝(ひざ)から下の脚(あし)の一部を手術で取り除くことです。この手術は、脚の病気やけがで脚を温存できない場合に行われます。切断後は義足(ぎそく)という人工の脚を使うことで、歩いたり日常生活を送ることが可能です。
重要な事実
- 下腿切断は膝関節を残すため、大腿切断よりも歩行機能の回復が期待できます。
- 手術後はリハビリテーション(機能回復訓練)が重要で、多くの人が義足での歩行を習得します。
- 糖尿病や末梢動脈疾患(血管が細くなる病気)が原因となることが多く、予防には生活習慣の管理が大切です。
日本では年間約1万人が下肢切断を受けています。その多くは糖尿病や血管の病気によるもので、高齢者に多く見られます。
主に60歳以上の高齢者に多く、特に糖尿病や動脈硬化(血管がかたくなる病気)のある方に発生しやすいです。若い人では交通事故や重いけがが原因となることもあります。
症状
- 突然の激しい痛みで動けなくなった
- 脚から異常な出血がある(止血できない)
- 脚が急に冷たくなり、感覚が完全に失われた
- 意識がもうろうとしている
- ⚠傷口から膿(うみ)が出ている、または異臭がある
- ⚠赤みや腫れが広がっている
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠痛みが強く、安静にしていても治まらない
一般的な症状
- 脚の激しい痛み(特に安静時や夜間に悪化)
- 皮膚の色が青白い、または黒ずむ
- 脚の冷えやしびれ
- 傷や潰瘍(皮膚のただれ)が治らない
- 感染による発熱や赤み、腫れ
子供の症状
- 先天性(生まれつき)の脚の形成異常
- けがや腫瘍による切断が必要な場合
高齢者の症状
- 糖尿病や血管の病気による創傷治癒遅延
- 痛みのために歩けなくなる
- 感染症が広がり全身状態が悪化
原因
主な原因
- 末梢動脈疾患(血管が細くなり血流が悪くなる病気)
- 糖尿病(血糖値が高い状態が続き、血管や神経を傷める)
- 外傷(交通事故や機械によるけが)
- 感染症(重い感染で組織が壊死する)
- 腫瘍(がんなど)が脚の骨や筋肉にできる場合
リスク要因
- 喫煙(たばこを吸う)
- 糖尿病のコントロール不良
- 高血圧や高コレステロール
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脚の痛みが突然強くなった
- 傷口から出血している
- 脚の色が変わった(黒い、青い)
- 発熱とともに脚が赤く腫れている
定期受診を予約すべき場合:
- 脚のしびれや冷えが続く
- 小さな傷がなかなか治らない
- 歩くときに痛みがある
- 血糖値や血圧の管理が必要な方
診断
医師が脚の状態を診察し、血流や神経の働きを調べる検査を行います。症状や原因に応じて、必要な検査を組み合わせて判断します。
行われる可能性のある検査
- 身体診察(皮膚の色、温度、脈拍、感覚の確認)
- 血管エコー(超音波で血流を見る)
- 血管造影(造影剤を使って血管の詰まりを調べる)
- MRI(磁気を使って組織の状態を詳しく見る)
- 血液検査(感染症や糖尿病の有無を確認)
診察で予想されること
診断には1~2時間程度かかることがあります。検査は痛みを伴わないものがほとんどですが、造影剤の検査では注射時に少し違和感があります。結果は当日~数日でわかります。医師から治療の選択肢について詳しく説明があります。
治療
治療の目的は、脚の機能をできるだけ維持し、痛みや感染をコントロールすることです。切断が必要な場合でも、手術後のリハビリや義足の装着で多くの人が普通に歩けるようになります。治療はチームで行われ、医師、看護師、理学療法士(リハビリの専門家)、義肢装具士(ぎしそうぐし)が連携します。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(血流を悪くする喫煙は絶対に避ける)
- 足の清潔を保ち、傷がないか毎日確認する
- 適切な靴を履き、足に合わない靴は避ける
- 血糖値や血圧の管理をしっかり行う
- 医師の指示に従い、定期的に通院する
医療治療
保存的治療(手術をしない治療)としては、血管を広げる薬や血流を改善する薬、感染症に対する抗生物質の投与、創傷処置(傷の手当て)などがあります。これらの治療で改善しない場合、手術が検討されます。手術の方法は、切断する高さや状態によって異なり、術後はリハビリと義足作製が必須です。
手術が検討される場合
保存的治療で効果が得られない場合や、組織が壊死(くさってしまう)している場合、感染が広がっている場合は手術が必要です。緊急性の高い場合を除き、患者さんの全身状態や希望を考慮して手術の時期を決めます。
この病気と共に生きる
切断後の生活は、リハビリと義足の習得が中心になります。義足を使う練習を重ねることで、家の中での移動や外出が可能になります。日常生活では、残った脚(断端)のケアが重要で、清潔に保ち、傷がないか確認します。また、転倒を予防するために家の中の段差をなくしたり、手すりを設置したりすると安心です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日、断端(切断した部分)の清潔と保湿を行う
- 義足を装着する際は、専門家の指導に従う
- 転倒予防のため、バランスの良い運動を続ける
- 定期的に義足の調整を受ける
- 水分をしっかり取り、便秘を予防する(痛み止めの副作用対策)
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特にタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)を十分に摂りましょう。ビタミンやミネラルも傷の治りに大切です。運動としては、医師や理学療法士の指導のもと、筋力トレーニングやストレッチを行います。水泳や自転車など、関節に負担の少ない運動もおすすめです。
精神的健康と心の健康
切断後は、自分の体の変化に戸惑いや悲しみを感じることがあります。これは自然な感情です。無理に明るく振る舞う必要はありません。カウンセリングや同じ経験をした人との交流が役立つことがあります。気持ちが落ち込んだり、眠れない日が続く場合は、早めに医師や家族に相談しましょう。
予防
下腿切断の多くは、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)の予防や管理で防ぐことができます。禁煙、適切な食事、適度な運動、定期的な健康診断が大切です。特に糖尿病患者さんは、毎日の足の観察とフットケア(足の手入れ)が重要です。
合併症
治療しない場合
- 感染症が全身に広がる(敗血症)
- 壊死が広がり、より高い位置での切断が必要になる
- 慢性的な痛みや幻肢痛(ないはずの脚が痛む感覚)
- 歩行が困難になり、寝たきりのリスクが高まる
長期的な見通し
下腿切断後も、適切なリハビリと義足の使用で、多くの方が自立した生活を送っています。最初は難しいこともありますが、時間をかけて一歩ずつ進むことで、自信を取り戻せます。医療の進歩により、義足の性能も向上し、スポーツや仕事に復帰する方も少なくありません。希望を持って治療に臨んでください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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