Peripheral Artery Disease
参照した情報源
この記事は患者教育のための独自コンテンツです。
- WHO—Health topics A–Z(2024)
- NHS—Health A to Z(2024)
- CDC—Health topics(2024)
国際的な臨床ガイドラインに基づいています
概要
末梢動脈疾患(まっしょうどうみゃくしっかん、PAD)は、足(または腕)の太い血管(動脈)が狭くなったり詰まったりして、血液の流れが悪くなる病気です。これは血管の内側にコレステロールなどがたまった「プラーク」が原因で起こることがほとんどで、水道管がサビで細くなるようなイメージです。PADがあると、足に痛みが出たり、傷が治りにくくなることがあります。また、体中の動脈が同じように傷んでいるサインでもあるため、心臓病や脳卒中のリスクが高くなります。
重要な事実
- PADは、足の動脈が狭くなることで起こります。主な症状は歩くと足が痛くなり、休むと楽になる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。
- PADは全身の動脈硬化の一つの現れで、心筋梗塞や脳卒中の危険性を高めます。
- 禁煙、運動、健康的な食事などで進行を抑えられます。早期に発見して治療を始めることが大切です。
日本でも高齢化や生活習慣病の増加に伴い、PADは決して珍しい病気ではありません。無症状の人も含めると、50歳以上の約5人に1人が何らかの動脈の狭まりを持っているとも言われます。特に糖尿病や喫煙歴のある方に多く見られます。
主に50歳以上の人に多く、喫煙者、糖尿病、高血圧、高コレステロールの方がかかりやすいです。家族に心臓病や脳卒中の人がいる場合もリスクが上がります。まれに若い人でも、炎症や血管の奇形などが原因で発症することがあります。
症状
- 突然、片方の足が激しく痛み出し、冷たくなり、青白くなる(急性動脈閉塞の疑い)
- 足の痛みが安静時にも続き、感覚がなくなる、動かせない
- 足の潰瘍から膿が出て、熱がある、または黒くなって壊死の兆候がある
- 同時に胸の痛みや息切れ、ろれつが回らない、片側の手足が動かしにくいなどがある場合(心臓発作や脳卒中の危険)
- ⚠足の傷が2週間以上治らず、じくじくしている
- ⚠足の指やかかとが安静にしていても痛む(夜間痛)
- ⚠足が赤く腫れて熱を持っている(感染の疑い)
一般的な症状
- 歩行中にふくらはぎや太ももなどが痛くなり、休むと数分で消える(間欠性跛行)
- 足が冷たく感じる、またはしびれがある
- 足の皮膚がつやつやして薄くなる、毛が抜ける
- 足の爪が厚くなったり、成長が遅くなったりする
- 足の傷や潰瘍がなかなか治らない
- 足の脈が弱い、または触れない
子供の症状
- 小児では極めてまれですが、血管の炎症や先天的な問題で似た症状が出ることがあります。お子さんの足の痛みが続く場合は、小児科や整形外科に相談してください。
高齢者の症状
- 高齢者の場合、関節や筋肉の痛みと思い込みがちですが、歩行時の痛みが休むと消える特徴に注意してください。また、足の冷感や傷の治りが遅いことも見逃さないでください。年齢のせいと放置せず、医師に相談を。
原因
主な原因
- 最も多い原因は動脈硬化です。コレステロールや炎症物質が動脈の壁にたまり、プラークを形成して血管を狭くします。
- まれに、血栓(血の塊)が突然詰まることがあります。
- 血管の炎症(血管炎)や外傷、放射線治療の後遺症などが原因になることもあります。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 前述の緊急症状(突然の強い痛み、足の色の変化、動かせないなど)がある場合は、ためらわずに119番へ。
- 足の傷が治らない、安静時の痛みがある場合は、当日中に医療機関(血管外科や循環器内科)を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 歩くと足が痛むが、休めば治まり、生活に支障がある場合
- 定期的な健康診断で下肢動脈の異常を指摘されたとき
- PADと診断された後の定期フォローアップ
診断
医師はまず、症状や生活習慣について詳しくお聞きし、足の脈を触れたり、皮膚の状態を観察します。その後、簡単な検査で血流を評価します。痛みを伴わない検査が中心ですので、ご安心ください。
行われる可能性のある検査
- 足関節上腕血圧比(ABI):腕と足首の血圧を比べる検査です。両腕と両足首に血圧計のカフを巻き、数分で終わります。痛みはなく、外来で受けられます。
- 超音波(ドプラ)検査:足の動脈にゼリーを塗り、超音波のプローブを当てて血流の速さや狭くなっている場所を調べます。痛みはなく、放射線被ばくもありません。
- より詳しい評価が必要な場合:CT血管造影やMRI血管造影、カテーテル検査を行うことがあります。これらは造影剤を使ったり、血管に細い管を入れるため、入院が必要なこともあります。
診察で予想されること
ABI検査や超音波検査は通常、外来で10~30分ほどで終わり、すぐに結果が分かります。リラックスして受けられます。カテーテル検査の場合は、医師から十分な説明を受け、不安があれば何でも質問してください。
治療
PADの治療の目標は、症状を和らげ、病気の進行を止め、心筋梗塞や脳卒中を予防することです。基本は生活習慣の改善と、医師が処方する薬物治療です。症状が重い場合には、血管内治療(カテーテル)や手術が選択肢になります。治療は一人ひとりの状態に合わせて決められます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙:タバコを吸っている方は、今日からでも禁煙を始めてください。最も効果的な自己管理です。禁煙外来を利用するのも良い方法です。
- 運動療法:歩行を中心とした運動が、足の血流を改善し、痛みを軽減します。最初は痛みが出るまで歩き、少し休んでまた歩く、というインターバル歩行を医師の指導のもとで行います。
- フットケア:毎日足をチェックし、小さな傷や水虫も見逃さないでください。足を清潔に保ち、保湿し、靴ずれしない靴を選びましょう。
- 基礎疾患の管理:糖尿病・高血圧・脂質異常症がある場合は、食事や内服をきちんと守り、数値を良好に保つことが大切です。
医療治療
医師は、症状やリスクに応じて、血液をサラサラにする薬(抗血小板薬)やコレステロールを下げる薬、血圧の薬などを処方することがあります。これらは血管の詰まりを防ぎ、心臓や脳の事故を予防するために非常に重要です。薬の種類や量は患者さんごとに異なり、定期的な血液検査などで調整します。市販の痛み止めなどを自己判断で使うと、かえって悪化することがあるので、必ず医師に相談してください。
手術が検討される場合
次のような場合には、血管内治療(風船やステントで狭い部分を広げるカテーテル治療)や、詰まった部分を迂回するバイパス手術が検討されます。・日常生活に支障が出るほどの強い痛みがある・運動や薬でも改善しない・安静時にも痛む・足の傷が進行し、壊死の危険がある 手術の必要性や方法は、血管外科の専門医が丁寧に説明します。
この病気と共に生きる
PADと上手に付き合うには、毎日自分の足を観察し、処方された薬を忘れずに飲み、定期的な通院を続けることが大切です。ウォーキングを習慣にすると、少しずつ歩ける距離が伸び、自信にもつながります。がんばりすぎず、できることから続けてみてください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙:繰り返しますが、PADの進行を止める最も強力な方法です。
- バランスの良い食事:塩分や脂質を控えめに。
- ストレス管理:趣味やリラクゼーションを取り入れましょう。
- 十分な睡眠:血圧や血糖の安定に役立ちます。
食事と運動
食事は、和食の基本である「一汁三菜」を意識し、野菜・海藻・大豆製品・魚を多く、肉の脂身や揚げ物、甘いものを減らすように心がけましょう。減塩も大切です。運動は、歩行が基本。毎日10分から始め、徐々に時間を伸ばします。痛みを感じたら無理せず休憩し、また歩き出す「インターバル歩行」が効果的です。必ず主治医に相談し、安全に行ってください。
精神的健康と心の健康
慢性的な病気を抱えると、気持ちが落ち込んだり、不安になったりすることがあります。「もう歩けないかも」という心配も当然です。しかし、治療を続ければ多くの人が活動的な生活を維持できます。つらい気持ちが続くときは、家族や友人、医療スタッフに話してみてください。心のケアも治療の一部です。もし自分を傷つけたいなどの考えが浮かんだ場合は、すぐに相談できる窓口(下記ヘルプライン参照)に連絡してください。
予防
はい、多くの場合予防が可能です。最も重要なのは、喫煙しないこと。すでに吸っている方は、禁煙によりその後のリスクを大幅に下げられます。血圧・血糖・コレステロールを適切に管理し、適度な運動と健康的な食生活を続けることで、PADだけでなく心筋梗塞や脳卒中の予防にもつながります。
検診プログラム
厚生労働省の健康診査でも、高血圧や糖尿病などのリスク評価は行われますが、PADに特化したスクリーニングは一般的ではありません。しかし、50歳以上で糖尿病や喫煙歴がある方は、かかりつけ医にABI検査について相談することをお勧めします。簡単で痛みのない検査です。
合併症
治療しない場合
- 間欠性跛行の悪化:次第に歩ける距離が短くなり、最終的に安静時も痛むようになります。
- 重症下肢虚血:傷が治らず、感染を起こしやすくなり、足の組織が壊死(腐る)することもあります。
- 切断(足の一部を失うこと):進行すると、指や足の切断が必要になる場合があります。
- 心筋梗塞・脳卒中:PADがある人は、心臓や脳の血管にも動脈硬化が進んでいる可能性が高く、生命にかかわる発作のリスクが高まります。
長期的な見通し
しかし、早期に発見して治療を始めれば、多くの方は症状が改善し、歩行能力も維持できます。手術が必要になった場合でも、近年の技術進歩により、切断を避けられるケースが増えています。定期的な管理を続けることで、元気に日常生活を送っている方がたくさんいます。希望を持って治療に取り組みましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。