冠動脈バイパス術(CABG)の概要
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
CABG(Coronary Artery Bypass Grafting)は、心臓に血液を送る冠動脈という血管が狭くなったり詰まったりしたときに行う手術です。詰まった部分を迂回(バイパス)するために、足や胸などから健康な血管を取り出してつなぎ、血液の流れを良くします。
重要な事実
- CABGは狭心症や心筋梗塞の治療として行われることが多いです。
- 手術は全身麻酔で行われ、通常は数時間かかります。
- 多くの場合、術後数日で退院し、数週間で日常生活に戻れます。
日本では年間約1万件以上のCABGが行われており、心臓手術の中でもよく行われる治療法のひとつです。
主に冠動脈の動脈硬化が進んだ中高年の方に多く、特に男性や糖尿病・高血圧・脂質異常症がある方に多く見られます。
症状
- 突然の激しい胸の痛みが10分以上続く
- 冷や汗、吐き気、呼吸困難を伴う胸の痛み
- 意識がもうろうとする
- 顔色が真っ青になる
- ⚠胸の痛みが初めて起こった、または以前よりひどくなった
- ⚠安静にしても胸痛が治まらない
- ⚠息切れが急に悪化した
一般的な症状
- 胸の痛みや圧迫感(狭心症)
- 息切れや疲れやすさ
- めまいや失神
子供の症状
- (CABGは主に成人の病気に対する手術であり、子どもにはほとんど行われません。)
高齢者の症状
- 胸痛がはっきりしないこともあり、代わりに「胃が痛い」「背中が痛い」と感じることがある
- 階段を上るときや歩くときに息切れが強くなる
- 疲れやすさが特に目立つ
原因
主な原因
- 冠動脈が動脈硬化(血管の内側にコレステロールなどがたまって狭くなること)により狭くなったり詰まったりすること
- 血の塊(血栓)が詰まること
リスク要因
- 加齢(特に65歳以上)
- 脂質異常症(悪玉コレステロールが高いなど)
- 運動不足
- 不健康な食事(高脂肪・高塩分)
- 家族に心臓病の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の強い胸痛がある
- 胸痛が10分以上続く、またはニトログリセリン(医師から処方された薬)を飲んでも治まらない
- 息ができなくなる感じがある
定期受診を予約すべき場合:
- 胸の痛みや圧迫感が繰り返し起こる
- 理由もなく疲れやすい、動悸がある
- 血圧やコレステロールの値が気になる
診断
まず医師が症状や病歴を聞き、心電図や血液検査などの基本検査を行います。さらに、冠動脈の状態を詳しく調べるために画像検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- 心電図(安静時・運動負荷)
- 心臓超音波検査(エコー)
- 冠動脈CT検査
- 心臓カテーテル検査(造影剤を使って血管の詰まり具合を直接調べる)
診察で予想されること
検査は通常外来または入院で行われます。カテーテル検査は局部麻酔で行い、数十分から1時間程度かかります。検査後の説明をよく聞き、必要に応じて治療方針を決めます。
治療
CABGは冠動脈が高度に狭くなった場合に行う手術です。薬物療法やカテーテル治療(ステント留置)で改善が難しい場合に検討されます。手術は心臓外科医が行います。
自宅でのセルフケア
- 手術前は禁煙を徹底する
- 血圧や血糖値をコントロールするため、医師の指示に従う
- 手術後は傷口を清潔に保ち、感染に注意する
- リハビリテーションを指示通りに行う
- 急な重い物を持ち上げたり、激しい運動は避ける(医師の許可が出るまで)
医療治療
狭心症や心筋梗塞の治療には、まず薬物療法(血液をサラサラにする薬、血管を広げる薬、コレステロールを下げる薬など)が行われます。また、カテーテルを使って狭い部分を広げる治療(経皮的冠動脈形成術)もあります。CABGはこれらの治療が効果不十分な場合や、複数の血管が狭くなっている重症例に適応となります。
手術が検討される場合
冠動脈の3本すべてに高度な狭窄がある、左冠動脈主幹部という重要な部分が狭い、あるいはステント治療が難しい場合などにCABGが推奨されます。
この病気と共に生きる
CABG後は心臓の血液の流れが改善され、多くの方が症状の改善を実感します。術後は心臓リハビリを継続し、定期的に医師の診察を受けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を必ず行う
- 医師から指示された運動(ウォーキングなど)を毎日続ける
- 体重を適正に保つ
- ストレスをため込まない工夫をする
- 十分な睡眠をとる
食事と運動
塩分・脂肪・糖分を控えたバランスの良い食事(野菜、果物、魚、全粒穀物を多く)を心がけましょう。運動は医師の許可を得て、無理のない範囲で始めます。週に150分程度の有酸素運動(歩行など)が推奨されます。
精神的健康と心の健康
大きな手術を受けることは気持ちの負担になります。術後は不安や抑うつを感じることもありますが、それは自然な反応です。家族や医療者に相談したり、必要ならカウンセリングを受けることで気持ちが楽になります。
予防
冠動脈の病気は生活習慣の改善である程度予防できます。CABGそのものを予防するというより、もともとの動脈硬化の進行を抑えることが大切です。
検診プログラム
年に1回の健康診断で血圧、血糖、コレステロール値をチェックしましょう。40歳を超えたら、心電図検査も追加で受けると安心です。
合併症
治療しない場合
- 狭心症の症状が悪化して日常生活が制限される
- 心筋梗塞(心臓の筋肉が壊死する)を起こすリスクが高まる
- 不整脈や心不全につながる
- 突然死の危険性がある
長期的な見通し
CABGは長年にわたって効果が実証されている安全な手術です。多くの方が手術後、胸痛や息切れから解放され、生活の質が大きく向上します。適切な生活習慣と定期的なフォローアップにより、長期にわたって良い状態を保つことができます。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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