人工股関節置換術の日
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)は、痛みや動きの悪さの原因となっている股関節の部分を人工の部品に取り替える手術です。手術当日は、病院で手術の準備をし、麻酔をかけて手術を受け、その後回復室で過ごします。
重要な事実
- 手術は通常、全身麻酔または下半身の麻酔で行われます。
- 手術時間は約1~2時間です。
- 手術後は早ければ当日中にベッドの上で足を動かし始め、翌日から歩く練習を始めることが多いです。
日本では年間10万件以上行われている、よく行われている手術です。
主に変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)という加齢による関節のすり減りが原因で、60歳以上の方に多く行われます。ただし、若い方でも股関節のけがや病気で手術が必要になることがあります。
症状
- 手術後、急な胸の痛みや息苦しさがある
- 手術した足が突然腫れて熱を持つ、または激しい痛みがある
- 意識を失った、または反応が鈍い
- ⚠手術後の傷口から大量の出血や膿(うみ)が出る
- ⚠38度以上の熱が続く
- ⚠手術した足がしびれる、または動かせない
一般的な症状
- 股関節や太ももの痛み(歩くとき、階段の昇り降りで強くなる)
- 股関節のこわばり(朝方や座った後など)
- 足を引きずる、歩き方がぎこちない
- 股関節の可動域(動く範囲)が狭くなる(靴下を履く、足の爪を切るのが難しい)
子供の症状
- 小児ではまれですが、先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)やペルテス病などで股関節の問題が起こることがあります。その場合は痛みや跛行(びっこ)が見られます。
高齢者の症状
- 高齢者では安静時にも痛みを感じることがある
- 夜間の痛みで目が覚めることがある
- 転倒のリスクが高まる
原因
主な原因
- 変形性股関節症(加齢や使いすぎで関節軟骨がすり減る)
- 大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし:骨の一部に血が通わなくなる病気)
- 関節リウマチ(関節に炎症が起こる病気)
- 大腿骨頚部骨折(転倒などで太ももの付け根の骨を折る)
リスク要因
- 年齢(高齢になるほどリスクが高まる)
- 肥満(体重が関節に負担をかける)
- 遺伝(家族に関節症の人がいる)
- けがや骨折の既往
- 関節の使いすぎ(重い物を持ち上げる仕事やスポーツなど)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手術後、急な息苦しさ、胸の痛み、足の激しい腫れや痛みがある場合
- 手術した傷口から膿が出たり、38度以上の熱が続く場合
定期受診を予約すべき場合:
- 股関節の痛みが日常生活に支障をきたしている場合
- 市販の痛み止めが効かない、または安静にしても痛む場合
- 歩き方が変わったり、足を引きずるようになった場合
診断
手術の前に、医師が問診や体の動きのチェック、画像検査を行って股関節の状態を調べます。手術当日は、手術の最終確認としてレントゲンや血液検査をすることがあります。
行われる可能性のある検査
- レントゲン検査(骨の状態や関節のすり減りを確認)
- MRI検査(軟骨や骨の詳しい状態を見る)
- 血液検査(炎症の程度や全身の健康状態をチェック)
- 心電図(心臓の状態を確認)
診察で予想されること
手術当日は、病院に到着したら看護師が血圧や体温を測ります。その後、麻酔科医と手術の麻酔について話し、手術室へ移動します。手術中は眠っているか、腰から下の感覚がなくなった状態です。手術後は回復室で目が覚めるまで看護師が見守ります。
治療
人工股関節置換術では、すり減った骨や軟骨を取り除き、人工の関節(金属やポリエチレンなどでできている)を埋め込みます。手術後はリハビリ(運動療法)がとても大切で、股関節の動きや歩き方を練習します。
自宅でのセルフケア
- 手術前:禁煙する(たばこは血流を悪くし、回復を遅らせる)、体重を適正に保つ
- 手術前:医師や理学療法士から教えられた運動(筋力トレーニングなど)を行う
- 手術後:リハビリの指示に従い、無理のない範囲で少しずつ動かす
- 手術後:傷口を清潔に保ち、感染を防ぐ
医療治療
手術前には痛みや炎症を抑える薬(非ステロイド性抗炎症薬など)が使われることがあります。手術後は痛みを和らげる薬(鎮痛薬)や血栓(血の塊)を予防する薬が処方されることがあります。また、感染を防ぐために抗生物質が使われます。これらの薬は医師の指示に従って使用してください。
手術が検討される場合
股関節の痛みが強く、日常生活(歩く、階段の昇り降り、靴下を履くなど)が難しくなった場合に、手術が検討されます。保存療法(薬や運動、杖の使用など)で効果が不十分なときに行われます。
この病気と共に生きる
手術後はしばらく杖や歩行器を使いますが、数週間から数ヶ月で通常の歩行ができるようになります。階段の昇り降りや靴下を履くなどの動作も徐々にできるようになります。無理をせず、リハビリを続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 腰や膝に負担のかからない動作を心がける(例えば、床に座るときは高い椅子を使う)
- 転倒を防ぐため、家の中の段差をなくす、手すりをつけるなどの工夫をする
- 高衝撃のスポーツ(ジョギング、ジャンプ)は避け、ウォーキングや水泳などの低衝撃の運動をする
- 体重を適正に保つ(関節への負担を減らす)
食事と運動
たんぱく質やカルシウム、ビタミンDを多く含む食事(魚、豆腐、牛乳など)をとると回復を助けます。リハビリでは、股関節の周りの筋肉を鍛える運動(例えば、足を上げる運動や水中歩行)が勧められます。
精神的健康と心の健康
手術やリハビリには不安やストレスがつきものです。痛みが続いたり、思うように動けないことで気分が落ち込むこともあります。そうした気持ちは自然なことで、医師や看護師、家族に話すことが助けになります。必要ならカウンセリングも受けられます。
予防
人工股関節置換術が必要になる原因(変形性関節症など)を完全に予防することは難しいですが、以下のことでリスクを減らせます。適度な運動で股関節周りの筋肉を鍛える、健康的な体重を保つ、転倒を防ぐ(特に高齢者)。
ワクチン
手術前に、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種を勧められることがあります。手術後の感染症予防のためです。医師と相談して決めましょう。
検診プログラム
股関節の症状がなくても、股関節に違和感があるときは早めに医師に相談しましょう。特に家族に関節症の人がいる場合は、定期的な検査が役立つこともあります。
合併症
治療しない場合
- 股関節の痛みが慢性化して日常生活が困難になる
- 歩き方が悪くなり、腰や膝に負担がかかって別の痛みが出る
- 筋力が低下して転倒しやすくなる
長期的な見通し
多くの方は手術後、痛みが大幅に減り、歩くなどの日常生活の動きが改善します。リハビリをしっかり行えば、元気に活動できるようになる可能性が高いです。ただし、人工関節の寿命(通常15~20年程度)や、ごくまれに合併症が起こることもあります。定期的な通院と経過観察が大切です。
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最終更新: 2026年7月31日
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