耳の手術・処置を受ける前に知っておくこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
耳の手術や処置の準備とは、耳の病気やケガを治療するために、安全に医院や病院での手術・処置を受けられるように、事前に体調や生活を整えることをいいます。
重要な事実
- 耳の手術・処置には、鼓膜の穴をふさぐ手術や、中耳の液体を抜くチューブの留置、耳の骨や組織をきれいにする手術などがあります。
- 多くの耳の手術は全身麻酔または局所麻酔で行われます。どんな麻酔になるかは手術内容と体の状態で決まります。
- 手術当日までの指示(食事や水分をひかえる、飲んでいる薬の調整など)を守ることが、安全な手術につながります。
耳の手術・処置は、小児の滲出性中耳炎(中耳に液体がたまる病気)や、鼓膜穿孔、慢性中耳炎などで行われることがあり、日本人にとって身近な手術のひとつです。
子どもから高齢者まで、幅広い年齢の人が対象になります。特に子どもは耳管が未熟なため中耳炎になりやすく、高齢者は聴力低下やめまいをきっかけに診察を受けることが多くなります。
症状
- 突然、耳が全く聞こえなくなった
- 急激な激しい耳の痛みや耳だれがある
- 顔の片側が動かしにくい、麻痺がある
- 強いめまいで立っていられない
- 耳から出血が続いている
- ⚠耳の痛みがひどく、夜も眠れない
- ⚠耳だれが増えてきた、妊娠・発熱を伴う
- ⚠数日で聞こえが悪くなった
- ⚠耳の手術後や処置後に痛みや腫れが強くなった
一般的な症状
- 耳の痛み(耳がズキズキする、押すと痛い)
- 耳だれ(耳から透明な液や膿のようなものが出る)
- 聞こえにくい・耳がつまった感じ(難聴)
- めまいやふらつき
- 耳鳴り(耳の中で音が鳴る)
子供の症状
- 耳をよく触る、引っ張る
- 機嫌が悪く、泣くことが多い
- 熱がある
- 呼びかけに反応しにくい、聞こえが悪い
- 耳から液体が出ている
高齢者の症状
- 難聴が進み、会話が聞き取りにくくなる
- めまいやよろけることが増える
- 耳の痛みや違和感が続く
- 耳だれがしみる、悪臭がある
原因
主な原因
- 中耳炎(細菌やウイルスによる感染症)が長く続く
- 中耳に液体がたまる「滲出性中耳炎」
- 鼓膜に穴があく「鼓膜穿孔」
- 「真珠腫」という耳の中の皮膚が異常に増える病気
- 耳の外傷や異物によるけが
リスク要因
- 子どもの耳管が細く短いこと
- たばこの煙を吸う環境(受動喫煙)
- 頻繁に耳に水が入る(プールなど)
- アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎がある
- 免疫力が低下している
- 大きな音を長期間聞く仕事や生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に聞こえが悪くなった
- 強い耳の痛みや出血がある
- 顔の動きに違和感がある
- めまいがひどく、外出できない
定期受診を予約すべき場合:
- 耳の痛みや違和感が1週間以上続く
- 聞こえにくさを感じる
- 耳だれがあるけれど、致命傷ではない
- 子どもが耳をよく触ったり、反応が鈍い気がする
- 手術や処置について相談したい、からだの不安を確認したい
診断
耳の診察では、まず耳の形をよく見て、外耳から鼓膜までの状態を専用の機器(耳鏡や顕微鏡)で確認します。あわせて、聞こえの検査や鼓膜の動きを調べる検査を行うことが多いです。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡による耳の観察(光を当てて外耳道や鼓膜を見る)
- 聴力検査(聞こえの程度を調べる)
- ティンパノメトリー(鼓膜と中耳の動きを調べる検査)
- 耳のCT検査(骨や奥の構造を詳しく見る)
診察で予想されること
診察では、症状がいつからあるか、過去に耳の病気や手術をしたことがあるか、飲んでいる薬や持病なども聞かれます。検査は痛みが少ないものが多く、いやな検査があれば医師に伝えましょう。
治療
耳の治療は、症状や原因によって変わります。軽い場合や原因が感染のときは、治るまで経過を見ることもあります。症状が続く場合や聴力に影響がある場合は、薬による治療や、手術・処置が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示された日、時間に処置や入院の予約を入れる
- 手術前は指示に従って食事や水分をひかえる(通常は前日の夜から)
- 飲んでいる薬を医師にすべて伝える(市販薬や漢方も含む)
- 手術当日は、着替えやすい服装で、身分証や保険証を持参する
- かかりつけ医がいる場合は、診療情報を提供してもらう
- タバコを吸う場合は、できるだけやめる(創傷治癒を促すため)
医療治療
感染が疑われる場合は、医師が適切な抗菌薬などの薬を処方することがあります。また、滲出性中耳炎では、耳管を広げる薬を処方したり、通気治療(耳管に空気を送る治療)を行うこともあります。つらい痛みには鎮痛薬が使われることがありますが、必ず医師の指示に従って使用してください。
手術が検討される場合
鼓膜の穴や真珠腫、繰り返す中耳炎などの場合、手術が勧められることがあります。代表的な手術には、鼓膜を修復する鼓膜形成術、中耳の病変を摘出する真珠腫手術、耳にチューブを入れる鼓膜換気チューブ留置術などがあります。手術が必要かどうかは、医師が症状や検査結果をもとに判断します。
この病気と共に生きる
手術後は、医師の指示に従って患部を清潔にし、耳に水が入らないようにしましょう。シャワーや洗顔のときは、耳を濡らさない工夫が大切です。ふき取る時は、やさしく行い、力を入れすぎないようにしてください。
生活習慣のアドバイス
- 耳を強く引っかいたり、触ったりしない
- 鼻を強くかみすぎない(中耳に圧力がかかるため)
- 手術後のしばらくは、激しい運動や重いものを持つことを控える
- 飛行機への搭乗や急な気圧変化は医師に相談する
- めまいが続く場合は、無理に動かず休む
食事と運動
手術後は、栄養バランスのよい食事をとり、十分な休息を心がけましょう。激しい運動は控えますが、散歩のような軽い活動は、体調が良ければ徐々に行うと良いです。水分をしっかりとることも大切ですが、過度なアルコールは回復を遅らせることがあるため控えてください。
精神的健康と心の健康
手術や処置は、誰でも不安になるものです。「聞こえが悪くなったらどうしよう」「麻酔が怖い」と感じるのは自然なことです。不安や悩みは、家族や医療者に話してみましょう。つらい気持ちが続くようであれば、自治体の精神保健相談や、専門のカウンセラーを利用することもできます。
予防
すべての耳の病気を予防することはできませんが、かぜや鼻の病気を早めに治療すること、たばこの煙を避けること、プールの後は耳の水を切るなどの対策で、中耳炎のリスクを減らせる可能性があります。
ワクチン
小児の肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンは、中耳炎の原因となる感染症を減らす効果があります。予防接種について、詳しくは医師や地域の保健センターに相談してください。
検診プログラム
新生児の聴覚検査や乳幼児の健康診断での耳の検査は、難聴や耳の病気を早く見つけるのに役立ちます。大人も、たとえ自覚がなくても、聴力検査を定期的に受けることを検討しましょう。
合併症
治療しない場合
- 難聴が続き、言葉の発達や会話に影響が出る
- 中耳炎が慢性化して、鼓膜の穴や真珠腫が進行する
- 感染が内耳や脳の近くまで広がる危険がある
- めまいにより転倒してけがをする
- 顔面神経の麻痺が起こる可能性がある
長期的な見通し
多くの耳の手術・処置は安全性が高く、主治医の指示を守って経過を見れば、症状は改善し、聴力が保たれたり、耳だれや痛みがなくなったりすることが期待できます。聞こえが完全に元に戻らない場合でも、補聴器などの支援により生活の質を保つことができます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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