会陰切開修復
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
会陰切開(えいんせっかい)の修復とは、お産のときに赤ちゃんが通りやすくなるよう、膣と肛門の間の部分(会陰)を切った傷を縫い合わせる処置です。この傷は通常、出産後すぐに縫合され、数週間で自然に治っていきます。
重要な事実
- 会陰切開は、お産の際に会陰が伸びきれずに裂けるのを防ぐために行われることがあります。
- 修復は局所麻酔または硬膜外麻酔の効いた状態で行われます。
- 傷の大きさや深さによって、縫合に使う糸の種類や縫い方が異なります。
- 通常、抜糸の必要はなく、溶ける糸が使われます。
日本では、経腟分娩の約3割程度で会陰切開が行われているとされ、決して珍しい処置ではありません。ただし、近年は自然な裂傷に任せる傾向も増えています。
主に経腟分娩を行う女性に生じる処置です。初めてのお産や、赤ちゃんが大きい場合、分娩時間が短い場合などに行われることが多いです。
症状
- 大量の出血(ナプキンが1時間に1枚以上真っ赤に染まる)
- 傷口から膿のような悪臭のある液体が出る
- 高熱(38度以上)が続く
- 傷口が大きく開いて腸や組織が見える
- ⚠強い痛みが続き、市販の痛み止めが効かない
- ⚠排尿や排便ができない
- ⚠傷の周りがどんどん赤く広がる
- ⚠発熱や悪寒がある
一般的な症状
- 傷の痛みや違和感(特に座るときや歩くとき)
- 軽い腫れや赤み
- 数日間の少量の出血(悪露に混じることも)
- 排便時の痛み
子供の症状
- 該当しません。会陰切開は成人女性のみの処置です。
高齢者の症状
- 該当しません。会陰切開は出産に伴う処置です。
原因
主な原因
- お産の際に、会陰が十分に伸びず、裂けるのを防ぐために医師または助産師が意図的に切開をする(会陰切開)。
- 赤ちゃんの頭が大きい、または分娩が急速に進むときに、より広い出口が必要となる。
- 吸引分娩や鉗子分娩など、器械を使ったお産で行われることがある。
リスク要因
- 初めての出産
- 赤ちゃんの体重が大きい(4kg以上など)
- 分娩第2期(いきみ期)が短い
- 肩甲難産(赤ちゃんの肩が引っかかる)のリスクがある
- 会陰の柔軟性が低い(年齢や体質による)
- 器械分娩(吸引・鉗子)を使用する
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記「緊急症状」に該当する症状がある場合(すぐに119番または産科病院へ)
- 傷口から出血が止まらない、または大量出血がある場合
定期受診を予約すべき場合:
- 産後1週間以内に産科または助産師による診察を受け、傷の状態を確認する。
- 抜糸が必要な場合は、医師の指示に従う(多くの場合は不要)。
診断
会陰切開の修復は、通常は出産直後に医師または助産師が直接傷を確認し、縫合の状態を評価します。その後の経過観察では、問診と視診で治癒具合を診断します。
行われる可能性のある検査
- 基本的には特別な検査は必要ありません。
- 感染が疑われる場合は、傷口の分泌物を培養検査することがあります。
- 必要に応じて血液検査(炎症反応の確認)を行うこともあります。
診察で予想されること
診察では、あなたの症状(痛みの程度、発熱の有無など)を聞かれます。その後、診察台に仰向けになり、足を開いて傷口を医師が見ます。痛みがあれば伝えてください。通常は数分で終わります。
治療
会陰切開の修復後は、傷の治りを助け、感染を防ぐためのケアが中心です。基本的には自然に治癒しますが、痛みや感染のリスクを減らすための対処法があります。
自宅でのセルフケア
- 1日に数回、清潔な温水で会陰を洗い、やさしく拭く(トイレの後ごとに)。
- 冷えピタや保冷剤をタオルに包んで当てると腫れや痛みが和らぎます(1回15分程度)。
- 座浴(しよく浴)を行う:清潔な浴槽に浅めの温水を張り、会陰を浸すと痛みが軽減します。
- 通気性の良い綿の下着を着用し、きついショーツは避ける。
- 排便時にいきみすぎないようにし、食物繊維を多く摂って便を柔らかく保つ(水分も十分に)。
- 市販の痛み止め(アセトアミノフェンなど)を使用する場合は、医師または薬剤師に相談してから。
- 激しい運動や長時間の座位は避け、休息をとる。
医療治療
必要に応じて、医師が感染を防ぐための抗生物質を処方することがあります。また、痛みが強い場合には、麻酔薬を含む軟膏や座薬が処方されることがあります。これらの薬は医師の指示に従って使用してください。自分で判断して市販薬を併用しないようにしましょう。
手術が検討される場合
再縫合が必要になることはまれですが、もし傷が完全に裂けてしまった場合や感染で組織が壊死した場合には、再度の外科的修復が必要になることがあります。これは産科医の判断で行われます。
この病気と共に生きる
会陰切開の修復後は、最初の1~2週間が最も不快感があります。座るときはドーナツクッションを使うと楽です。長く立ったり座ったりするのは避け、横になる時間も取りましょう。排尿時や排便時には痛みを感じることがありますが、無理に我慢せずに行うことが大切です。通常、2~4週間で日常生活がほぼ普通に戻りますが、完全に痛みがなくなるまでには数週間かかることもあります。
生活習慣のアドバイス
- 最初の数週間は性交渉を避ける(医師の許可が出るまで)。
- 重いものを持ち上げるなど、腹圧がかかる動作は控える。
- 激しい運動(ランニングなど)は産後6週間程度は避ける。
- 骨盤底筋体操(ケーゲル体操)を医師の指導の下で始めると、回復が促進されることがあります。
- 十分な睡眠と栄養をとり、ストレスをためない。
食事と運動
便を柔らかくするため、食物繊維(野菜、果物、全粒穀物)をたっぷり摂り、水分を1日1.5~2リットル飲むようにしましょう。便秘を避けることが傷の負担を減らします。運動は、産後4~6週間はウォーキングなどの軽い活動にとどめ、骨盤底筋群に負担がかからないようにしてください。医師や理学療法士の指導を受けると安心です。
精神的健康と心の健康
出産後の身体の変化や痛み、傷のケアに対する不安は、精神的な負担になることがあります。特に傷がなかなか治らなかったり、予想以上に痛みが続くと、気分が落ち込むこともあります。これは決して珍しいことではなく、多くの女性が経験します。自分の感情をパートナーや医療者に伝え、必要なら助けを求めることが大切です。
予防
会陰切開そのものを必ず防げるわけではありませんが、以下の方法でリスクを減らせる可能性があります。
合併症
治療しない場合
- 創部感染症(痛み、発赤、膿、発熱)
- 傷の治癒遅延や裂開(縫合した傷が開いてしまう)
- 瘢痕形成(傷あとが硬くなる)による痛みや性交痛
- まれに、会陰部の血腫(血液がたまる)
長期的な見通し
ほとんどの場合、会陰切開の傷は数週間で適切に治癒し、長期的な問題を残すことはありません。適切なセルフケアと医師のフォローアップにより、感染などの合併症はしっかり予防・治療できます。治療を受ければ、多くの女性が完全に回復し、性生活や日常生活に支障をきたすことはありません。
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最終更新: 2026年7月31日
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