股関節置換術の概要
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
人工股関節全置換術(じんこうこかんせつぜんちかんじゅつ)は、傷んだ股関節(こかんせつ)を人工の部品に置き換える手術です。股関節の痛みや動きの制限を改善し、日常生活の質を高めることを目的としています。
重要な事実
- 股関節は、太ももの骨(大腿骨)の先端(骨頭)が骨盤のくぼみ(臼蓋)にはまっている関節です。
- 人工股関節は金属や特殊なプラスチックでできており、長期間使えるように設計されています。
- 手術後はリハビリが重要で、多くの人が以前よりも痛みなく歩けるようになります。
日本では年間約10万件以上の人工股関節置換術が行われており、高齢化に伴い増加しています。厚生労働省の統計でも、よく行われる手術の一つです。
主に60歳以上の人に行われますが、若年者でも股関節の病気やけがが原因で行うことがあります。女性の割合がやや高いです。
症状
- 急に股関節が激しく痛み、足にまったく体重をかけられない
- 股関節の形がおかしい(脱臼が疑われる)
- 人工股関節手術後、突然の激痛や腫れ、発熱がある(感染や脱臼の可能性)
- 足のしびれや動かせないなど、神経の異常が疑われる
- ⚠痛みが強く、普通の痛み止めが効かない
- ⚠股関節が赤く腫れて熱を持っている
- ⚠最近転倒した後に股関節が痛くて歩けない
一般的な症状
- 股関節の痛み(特に歩く・立ち上がる・階段を上るときに強くなる)
- 股関節のこわばり(特に朝や長時間座った後)
- 足を動かせる範囲が狭くなる(例:靴下を履くのが難しい)
- 痛みで夜眠れない
子供の症状
- 子どもの股関節の病気(先天性股関節脱臼・ペルテス病など)が原因で、将来的に人工股関節が必要になることがあります。ただし、子どもの時期に手術をすることはまれです。
高齢者の症状
- 加齢による変形性股関節症が最も多く、痛みや歩行困難が徐々に進みます。
- 転倒による骨折(大腿骨頸部骨折)が原因で人工股関節置換術が必要になることもあります。
原因
主な原因
- 変形性股関節症:関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接こすれて痛みや動きの制限が出る
- 大腿骨頭壊死:太ももの骨の先端に血液が行かなくなり骨が壊死する
- 関節リウマチ:免疫の異常で関節が炎症を起こし、変形する
- 股関節の骨折:特に高齢者の大腿骨頸部骨折で、骨頭の血流が途絶えると壊死する
- 先天性股関節脱臼の後遺症
リスク要因
- 年齢(特に60歳以上)
- 肥満(体重がかかるため)
- 遺伝(家族に股関節症の人がいる)
- 股関節のけがや骨折の既往
- スポーツによる過度な負担(長距離ランナーなど)
- 関節リウマチなどの炎症性疾患
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然、足に体重をかけられないほどの股関節の痛みがある
- 転倒後に股関節が痛くて動かせない
- 人工股関節手術後、急な痛みや腫れ、発熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- 股関節の痛みが数週間続いている
- 日常生活(歩く・立ち上がる・靴下を履く)に支障が出ている
- 市販の痛み止めを飲んでもあまり良くならない
診断
医師が問診と身体診察を行い、その後画像検査で股関節の状態を詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 問診:痛みの場所・程度・始まった時期、日常生活の支障度を確認
- 身体診察:股関節の可動域(動きの範囲)や歩き方の確認
- X線検査:骨の形や関節のすき間の狭さ、骨棘の有無を確認
- MRI検査:軟骨や骨の状態、壊死の範囲を詳しく調べる
- 血液検査:炎症の有無や関節リウマチの可能性を調べる
診察で予想されること
診断は外来で行われることが多く、特別な準備は必要ありません。医師の指示に従って検査を受け、結果に基づいて治療方針の相談をします。手術が必要と判断された場合、術前検査(心電図や血液検査など)を行い、全身状態を評価します。
治療
股関節の病気の治療はまず保存療法(手術をしない治療)を試みます。それでも症状が改善しない場合に人工股関節置換術を検討します。
自宅でのセルフケア
- 体重を適正に保つ(股関節への負担を減らす)
- 低負荷の運動(水中ウォーキング・自転車こぎなど)で筋力維持
- 杖や歩行器を使い、痛みのある側に体重をかけすぎない
- 長時間の立ち仕事や正座を避ける
医療治療
保存療法としては、痛みや炎症を抑える薬(非ステロイド性抗炎症薬など)の内服や外用、理学療法(ストレッチ・筋力トレーニング)、関節内注射(ヒアルロン酸やステロイド)があります。効果やリスクについては医師と相談してください。
手術が検討される場合
保存療法を十分に行っても痛みが強く、日常生活に大きな支障がある場合、人工股関節置換術が検討されます。手術のタイミングは患者さんの年齢・健康状態・生活スタイルを考慮して医師と話し合って決めます。
この病気と共に生きる
手術後はリハビリが重要です。退院後も自宅でリハビリを続け、徐々に歩く距離を伸ばしていきます。最初は歩行器や杖を使い、痛みが減るにつれて装具を外していきます。
生活習慣のアドバイス
- 高負荷のスポーツ(ランニング・ジャンプ・コンタクトスポーツ)は避ける
- 転倒に注意(段差やカーペットの端など)
- 長期間同じ姿勢を続けない
- 定期的に医師のフォローアップを受ける
食事と運動
バランスの良い食事で骨や筋肉の健康を保ちましょう。特にカルシウムやビタミンDを意識的に摂ることが大切です。運動は、医師や理学療法士の指導のもと、水中運動やウォーキングなどの低負荷運動を継続してください。
精神的健康と心の健康
手術やリハビリは時に不安やストレスを感じることもあります。痛みの改善に時間がかかると落ち込むこともあるかもしれません。無理をせず、自分のペースで回復に取り組みましょう。
予防
すべての股関節の病気を予防することはできませんが、健康的な生活習慣でリスクを減らせます。適正体重を維持し、股関節に負担をかけすぎない運動を続けることが大切です。
検診プログラム
特に症状がなければ定期的な検診は必要ありません。ただし、股関節に痛みや違和感がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 股関節の痛みが慢性化し、日常生活に支障が出る
- 歩行が困難になり、寝たきりのリスクが高まる
- 筋力低下や関節の変形が進行する
- 心理的なストレスやうつ状態につながることもある
長期的な見通し
人工股関節置換術は成功率が高く、多くの方が痛みから解放され、歩行能力が改善します。手術から数年後には、ほとんどの人が日常活動にほぼ制限なく戻れます。ただし、人工関節には寿命があり(通常15~20年)、再手術が必要になる場合もあります。定期的なフォローアップを受けることで、長く良い状態を保てます。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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