子宮摘出術の概要
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
子宮摘出術(しきゅうてきしゅつじゅつ)は、子宮(赤ちゃんが育つ袋のような臓器)を手術で取り除くことです。これは、大きな病気やつらい症状を治すために行われることがあります。
重要な事実
- 子宮摘出術は女性に行われる一般的な手術の一つです。
- 手術の理由は、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ:子宮にできる良性のコブ)、子宮内膜症(しきゅうないまくしょう:子宮の内側の組織が外にできる病気)、子宮脱(しきゅうだつ:子宮が下がってしまう状態)、がんなど、さまざまです。
- すべての子宮摘出術で卵巣や卵管まで取るわけではありません。症状や年齢によって、取る範囲が決まります。
- 手術後は妊娠できなくなります。このことは手術前にしっかり医師と話し合うことが大切です。
子宮摘出術はよく行われる手術です。日本では年間約10万件以上の子宮摘出術が行われていると報告されています。
この手術を受けるのは女性のみです。多くは30代から50代の女性ですが、10代や60代以上でも行われることがあります。
症状
- 突然の大量の性器出血で、意識がもうろうとする
- 激しい腹痛や背中の痛みで動けない
- めまいや立ちくらみがひどく、倒れそうになる
- ⚠通常の生理と違う、持続する下腹部の痛みがある
- ⚠閉経後の出血がある
- ⚠発熱を伴う下腹部の痛みがある
一般的な症状
- 生理の量が多く、大きな血の塊が出る
- 生理痛が重く、日常生活に支障が出る
- お腹の張りや圧迫感がある
- 腰痛や脚の痛みがある
- 性交時の痛みがある
- 頻尿(何度もトイレに行きたくなる)や排尿障害
子供の症状
- 思春期の女性でも子宮摘出術が必要になることはまれですが、重い月経困難症や大量出血がある場合があります。その場合は早めに小児科や産婦人科に相談してください。
高齢者の症状
- 閉経後の出血がある(閉経後1年以上たってからの出血は要注意)
- 子宮や腟の出口が下がってきて何かが落ちてくる感じがする
- 排尿や排便がしにくい、または失禁がある
原因
主な原因
- 子宮筋腫(しきゅうきんしゅ): 子宮にできる良性の腫瘍で、強い出血や痛みの原因になります。
- 子宮内膜症(しきゅうないまくしょう): 子宮の内側の組織が子宮の外に広がり、炎症や痛みを引き起こす病気です。
- 子宮脱(しきゅうだつ): 子宮を支える筋肉や靭帯が弱くなり、子宮が腟の中や外に下がってしまう状態です。
- 子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん): 悪性の腫瘍で、治療の一環として子宮を摘出することがあります。
- 腺筋症(せんきんしょう): 子宮の筋肉の中に内膜組織が入り込み、強い痛みと出血を引き起こします。
リスク要因
- 年齢(40代以降に多い)
- 出産経験がない、少ない
- 肥満(体重が増えると女性ホルモンの影響を受けやすくなる)
- 子宮筋腫や子宮内膜症の家族歴がある
- 人種(特にアフリカ系女性で子宮筋腫の発生率が高い)※ただし日本人でも多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 生理以外でも性器出血が続く
- 下腹部に強い痛みや圧迫感がある
- 尿や便が出にくい、または痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 年に1回の婦人科検診(子宮がん検診を含む)
- 生理痛や生理の量が以前より明らかに変わったと感じたら
- 閉経後に出血があったらすぐに受診(緊急ではないが、1週間以内に)
診断
子宮摘出術が必要かどうかを決めるために、まず原因となる病気を診断します。問診(症状の詳しい聞き取り)、内診(腟の中から子宮の状態を調べる)、画像検査(超音波など)を行います。
行われる可能性のある検査
- 内診(ちんしん): 医師が指で子宮や卵巣の大きさや硬さを調べます。
- 超音波検査(ちょうおんぱけんさ): お腹の上から、または腟の中から機械を当てて子宮の画像を見ます。
- MRI(磁気共鳴画像): より詳しく子宮や周りの組織の状態を調べます。
- 子宮内膜組織診(しきゅうないまくそしきしん): 子宮の内膜の一部を採取して、がんの有無を調べます。
- 血液検査: 貧血や炎症の程度、腫瘍マーカーを調べます。
診察で予想されること
検査は多くの場合、日帰りで行えます。内診や超音波検査では少し痛みを感じることがありますが、数分で終わります。結果が出るまでに数日から1週間ほどかかることがあります。医師から結果と治療の選択肢について詳しい説明があります。
治療
子宮摘出術の前に、まずは薬による治療や、子宮を残す手術(筋腫核出術など)が試されることが多いです。子宮摘出術が必要と判断された場合、手術の方法(腹腔鏡手術、腟式手術、開腹手術)や切除範囲(子宮だけか、卵巣や卵管も含むか)を、年齢や病気、全身状態を考慮して決めます。
自宅でのセルフケア
- 規則正しい生活と十分な睡眠をとる
- バランスの良い食事で貧血予防(特に鉄分を含む食品を意識する)
- 適度な運動(ウォーキングなど)で血流を良くする
- 症状がひどいときは無理をせず安静にする
- 痛みや出血を記録して医師に伝える
医療治療
子宮摘出術以外の治療法としては、痛みを和らげる薬(鎮痛薬)、出血を抑えるホルモン剤、子宮内に器具を入れる治療(子宮内システム)、子宮動脈塞栓術(血管を詰めて筋腫を小さくする方法)、または子宮を傷つけずに筋腫だけを取り除く手術(筋腫核出術)などがあります。これらの治療で十分な効果が得られない場合に、子宮摘出術を検討します。
手術が検討される場合
子宮摘出術は、以下のような場合に医師から勧められることがあります: * 薬や他の手術では症状が改善しない * 子宮がんなどの悪性腫瘍がある * 重い子宮内膜症や子宮脱で、他の治療が難しい * 子どもをこれ以上望まず、症状が日常生活に大きく影響している
この病気と共に生きる
子宮摘出術後の回復期間は、手術の方法によって異なります。腹腔鏡手術や腟式手術は入院期間が短く(数日)、開腹手術は1週間程度の入院が必要なことが多いです。退院後も2~4週間は重いものを持ったり激しい運動を控える必要があります。仕事や家事の再開は医師の指示に従いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 術後は安静を第一にし、医師の許可が出るまでは無理をしない
- 縫合部位の感染を防ぐため、清潔を保つ
- 髪を洗ったり入浴するタイミングは医師の指示に従う
- 性行為の再開時期も医師の指示に従う(通常4~6週間後)
- 骨盤底筋を鍛える運動を医師に相談しながら行うと回復を助けられる
食事と運動
術後は、傷の治りを助けるためにタンパク質(肉、魚、豆腐、卵)を十分に取りましょう。便秘を防ぐために食物繊維(野菜、果物、全粒穀物)も大切です。水分をたくさん飲むことも回復を早めます。運動は、医師の許可が出たら軽い散歩から始め、徐々に強度を上げていきます。激しいランニングや筋トレは少なくとも6~8週間は避けてください。
精神的健康と心の健康
子宮を失うことは、女性にとって身体だけでなく心にも大きな影響を与えることがあります。早期閉経によるホルモンの変化、妊娠できない喪失感、女性らしさの変化への不安などが生じることがあります。これらの気持ちは自然なことであり、一人で抱え込まずに医師やカウンセラー、パートナーや家族に相談することが大切です。
予防
子宮摘出術が必要となる病気のすべてを予防することはできません。しかし、定期的な婦人科検診(子宮がん検診を含む)で早期発見・早期治療を行うことで、子宮摘出術を避けられる可能性があります。また、健康的な体重を維持すること、バランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理が、ホルモンバランスを整え、子宮筋腫や子宮内膜症のリスクを下げるのに役立つと言われています。
検診プログラム
子宮頸がんの予防には、HPVワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)が有効です。また、20歳以上の女性は自治体が行う子宮頸がん検診を定期的に受けることが推奨されています。子宮体がんの場合は、閉経後の女性を中心に、超音波検査や組織診が行われることがあります。検診のスケジュールはかかりつけ医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 子宮筋腫や子宮内膜症: 貧血が悪化してめまいや疲労が続く、痛みが強くなり日常生活が困難になる、妊娠しにくくなる
- 子宮脱: 腟の中に子宮が完全に出てくることで排尿や排便ができなくなる、感染症を起こす
- 子宮がん: 放置すると転移して命に関わる
長期的な見通し
子宮摘出術後は、多くの症状(痛み、出血、圧迫感)が改善し、生活の質が大きく向上することが期待できます。ただし、手術による合併症(感染、出血、血栓など)や、卵巣も一緒に摘出した場合は更年期症状が出ることがあります。全体的に見れば、子宮摘出術は安全で効果的な手術であり、多くの女性が日常生活に戻っています。術後の経過は個人差がありますが、医師の指示を守り、定期的なフォローアップを受けることで、健康を維持できます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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