肺全摘出術の概要
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肺全摘術(はいぜんたくじゅつ)は、病気の肺の片方を全部取り除く手術です。主に肺がんや重度の肺感染症の治療として行われます。この手術は肺の機能が大きく変わるため、手術前の検査と準備がとても大切です。
重要な事実
- 肺全摘術は全身麻酔で行われる大きな手術です。
- 手術後は残った肺が体全体のガス交換を担うため、呼吸機能が低下します。
- 術後はリハビリテーションと生活習慣の見直しが必要です。
肺全摘術は比較的まれな手術です。肺がん治療の一部として行われることが多いですが、最近ではより体への負担が少ない手術(肺葉切除など)が増えています。
主に肺がんや重度の肺感染症(結核など)を患った成人が対象となります。喫煙歴のある方や高齢者に多い病気が原因となるため、そのような方々が受ける可能性があります。
症状
- 突然の強い胸の痛み
- 急に息ができなくなる(呼吸停止)
- 大量の血を吐く
- 意識を失う
- ⚠発熱と悪寒(かん)が続く
- ⚠痰に血が混ざる(少量でも)
- ⚠息切れが急に悪くなる
- ⚠術後の傷口から出血や膿(うみ)が出る
一般的な症状
- 長引く咳(せき)
- 血が混じった痰
- 胸の痛み
- 息切れ(呼吸困難)
- 原因不明の体重減少
- 疲れやすさ
原因
主な原因
- 肺がん(最も多い理由)
- 重度の肺感染症(結核や真菌感染症など)
- 気管支拡張症(ひどい場合)
- 肺外傷(交通事故など)
- 良性腫瘍や炎症で肺が機能しなくなった場合
リスク要因
- 喫煙(最大のリスク)
- 長期間の粉塵や化学物質への曝露
- 肺がんの家族歴
- 免疫力の低下
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記の緊急症状がある場合はすぐに119番に電話してください。
- 術後、発熱や傷の異常がある場合はすぐに医師に連絡してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 長引く咳や息切れが続く
- 痰に血が混ざる
- 胸の痛みが続く
- 体重が減る
診断
肺全摘術が必要かどうかを判断するために、まず肺の病気の診断が行われます。画像検査や気管支鏡検査などで病変の状態を調べ、さらに手術が安全に行えるかどうかの全身評価(肺機能検査、心臓検査など)を受けます。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線検査
- CT検査(コンピューター断層撮影)
- PET検査(陽電子放射断層撮影)
- 気管支鏡検査(内視鏡で気管支の中を観察)
- 肺機能検査(息を吸ったり吐いたりする力を測る)
- 血液検査
- 心電図や心臓超音波検査
診察で予想されること
診断には数日から数週間かかることがあります。検査結果をもとに、医師から治療の選択肢について詳しい説明があります。手術以外の治療(放射線治療や薬物療法)が提案されることもあります。十分に納得して治療方針を決めましょう。
治療
肺全摘術の治療では、病気の肺全体を取り除くことが目的です。手術は全身麻酔下で行われ、通常は胸の側面を切開します。術後は数日間の入院が必要で、その後長期的なリハビリテーションと生活習慣の調整が続きます。
自宅でのセルフケア
- 手術前に禁煙することが最も重要です
- 手術前に呼吸訓練や体力づくりを行う
- 術後は医師の指示に従って安静と活動を調整する
- 傷口を清潔に保ち、感染のサインに注意する
医療治療
肺全摘術は主に肺がん治療の一環として行われます。手術前に化学療法(抗がん薬)または放射線治療が行われることがあります。また、手術後も必要に応じて追加の治療(化学療法や放射線治療)が行われることがあります。具体的な治療計画は担当医とよく相談してください。
手術が検討される場合
肺全摘術は、他の治療法では十分な効果が期待できない場合に検討されます。例えば、肺がんが肺の中心部にあり、部分切除では取り切れない場合や、感染症で肺が完全に機能しなくなった場合などです。手術を受けるかどうかは、肺機能や全身状態を評価した上で、医師と一緒に判断します。
この病気と共に生きる
肺全摘術後は、残った肺が通常よりも多くの酸素を取り込むように働きます。時間とともに徐々に慣れますが、息切れを感じやすくなります。日常生活では階段の上り下りや重いものを持つ作業に制限が出ることがあります。無理をせず、自分のペースで活動しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を徹底する(受動喫煙も避ける)
- 呼吸リハビリテーションを継続する
- 感染症予防のために手洗いやマスク着用を心がける
- 定期的に医師のフォローアップを受ける
- インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種を検討する
食事と運動
栄養バランスのよい食事をとり、体力の維持に努めましょう。たんぱく質やビタミンを十分に摂ることが大切です。運動は、医師の許可があればウォーキングなどの軽い有酸素運動から始めます。息切れが強い場合は運動を控え、医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
大きな手術後は、気分の落ち込みや不安を感じることがあります。身体の変化に慣れるまで時間がかかることもあります。そのような気持ちは自然なことですので、一人で抱え込まずに家族や医療スタッフに相談しましょう。必要に応じて、心理カウンセリングを受けることも有効です。
予防
肺全摘術そのものを予防することはできませんが、原因となる肺の病気を予防することは可能です。最も効果的な方法は禁煙です。また、空気のきれいな環境で暮らすこと、肺感染症を予防することも重要です。
ワクチン
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは、肺感染症の予防に役立ちます。特に肺の手術後は免疫力が低下していることもあるため、医師と相談の上で接種を検討しましょう。
検診プログラム
肺がんの早期発見には、低線量CT検査が有効です。特に50歳以上の重度喫煙者など、リスクの高い方は検診について医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 肺がんなどの病気を治療しないと、進行してさらに重い症状が出る可能性があります。
- 感染症が悪化して全身に広がる恐れがあります。
- 呼吸不全に陥る危険性があります。
長期的な見通し
肺全摘術を受けた後の見通しは、原因となった病気の種類や進行度、患者さんの全身状態によって異なります。多くの人は手術後に症状が改善し、生活の質が向上します。ただし、呼吸機能は低下するため、長期的なリハビリと健康管理が必要です。最新の治療法やサポートを活用することで、充実した生活を送ることができます。
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最終更新: 2026年7月31日
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