股関節置換術の準備
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)は、痛みや動きの悪さがひどくなった股関節を、人工の関節に取りかえる手術です。手術の前にしっかり準備することで、回復がスムーズになり、より良い結果が期待できます。
重要な事実
- 手術の前に、医師と一緒に手術の目的やリスク、回復の流れを確認します。
- 体重を適正に保つことや、股関節を支える筋肉を鍛えることが準備に役立ちます。
- 手術の数週間前から禁煙や飲酒の制限が勧められることがあります。
日本では年間10万件以上の人工股関節置換術が行われており、股関節の病気による痛みや歩行困難を改善する一般的な手術です。
主に変形性股関節症(関節の軟骨がすり減る病気)や大腿骨頭壊死(骨の一部が血流不足で壊死する病気)で股関節の痛みが強い方、または関節リウマチなどの影響で股関節の機能が低下した方に行われます。高齢者に多いですが、若い世代も受けることがあります。
症状
- 手術後の急な激しい痛みや腫れ、発熱(感染の可能性)
- 手術した足が急に冷たくなったり、色が悪くなったりした場合(血栓の可能性)
- 息苦しさや胸の痛み(肺塞栓の可能性)
- ⚠手術後の傷口から赤い腫れや膿が出る
- ⚠足のむくみが急に強くなった
- ⚠発熱が続く
一般的な症状
- 股関節の痛み(歩くときや体重をかけると強くなる)
- 股関節のこわばり(朝や動き始めに感じやすい)
- 股関節の動きが悪くなる(靴下をはく、足を組むなどの動作がむずかしい)
- 足を引きずるような歩き方
高齢者の症状
- 股関節の痛みで夜眠れない
- 歩く距離が短くなった
- 杖や歩行器がないと歩きにくい
- 転倒のリスクが高まる
原因
主な原因
- 変形性股関節症(加齢や体重の影響で軟骨がすり減る)
- 大腿骨頭壊死(けがやステロイド薬の使用などで骨の一部が壊死する)
- 関節リウマチ(免疫の異常で関節に炎症が起きる)
- 股関節の骨折やけがの後遺症
リスク要因
- 加齢(50歳以上でリスクが高まる)
- 肥満(股関節に負担がかかる)
- 過去の股関節のけがや手術
- 遺伝的な要素(家族に関節の病気が多い)
- 重い荷物を長年扱う仕事やスポーツ
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 股関節の痛みで歩くのがむずかしい
- 痛みが強く、市販の痛み止め(せんよう薬)でもおさまらない
定期受診を予約すべき場合:
- 数週間以上続く股関節の違和感や痛みがある
- 日常生活(歩く、階段の上り下り、靴下をはくなど)に支障が出てきた
- 他の治療(薬やリハビリ)で改善しない
診断
医師が問診(症状の聞き取り)と身体診察(股関節の動きや痛みの確認)を行い、画像検査で詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- X線検査(股関節の骨の状態や関節の隙間を確認)
- MRI検査(軟骨や骨の細かい状態を見る)
- 血液検査(炎症や感染の有無を調べる)
診察で予想されること
診断のときは、痛みの場所や程度、日常生活での困りごとを医師に詳しく伝えましょう。画像検査は痛みはなく、時間も30分程度です。診断結果をもとに、手術が適切かどうか、他の治療法も含めて医師と話し合います。
治療
人工股関節置換術の準備には、手術前の健康状態を整えることと、手術後の生活を見据えた計画が含まれます。手術自体は全身麻酔または下半身麻酔で行われ、約1~2時間かかります。術後は数日間の入院と、その後のリハビリが必要です。
自宅でのセルフケア
- 手術の2~3週間前から禁煙する(喫煙は回復を遅らせるため)
- 適正体重を維持する(肥満は手術のリスクを高める)
- 股関節を支える筋肉(お尻や太ももの筋肉)を鍛えるトレーニングを医師や理学療法士の指導で行う
- 自宅の環境を整える(手すりをつける、段差を減らすなど)
医療治療
手術前に痛みや炎症を抑える薬(非ステロイド性抗炎症薬など)が使われることがあります。また、貧血や感染症の検査を行い、必要に応じて治療します。手術の方法には、前からアプローチする方法や後ろからアプローチする方法などがあり、患者さんの状態に合わせて医師が選択します。
この病気と共に生きる
手術後は、痛みが和らぎ、歩行や日常生活が改善します。ただし、完全に元の状態に戻るまでには数か月のリハビリが必要です。退院後も自宅での運動や通院リハビリを続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 手術後は股関節に負担のかかる動作(しゃがむ、正座、足を組むなど)を一時的に避ける
- 階段の上り下りはゆっくりと、手すりを使って行う
- 長時間の同じ姿勢を避け、こまめに休憩をとる
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、特にカルシウムやビタミンDを多く含む食品(牛乳、小魚、緑黄色野菜など)をとると骨の健康に役立ちます。運動は、ウォーキングや水中ウォーキングなど、股関節に負担の少ないものを医師の許可のもとで行いましょう。
精神的健康と心の健康
手術後の痛みや動きの制限に不安を感じることがあります。無理をせず、周囲の助けを借りながら、一歩ずつ回復を目指しましょう。気分の落ち込みが続く場合は、医療者に相談してください。
予防
人工股関節置換術が必要になる原因のすべてを防ぐことはできませんが、適正体重の維持や股関節に負担のかかる動作を避けることで、関節の劣化を遅らせることができます。転倒を防ぐことも大切です。
検診プログラム
特に定期的な検診は不要ですが、股関節の痛みや違和感が続く場合には早めに整形外科を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 股関節の痛みが悪化し、歩行が困難になる
- 日常生活の動作が制限され、介助が必要になる
- 脚の長さが左右で変わることがある
- 筋肉が衰え、転倒のリスクが高まる
長期的な見通し
人工股関節置換術は、多くの方で痛みが大きく改善し、歩く力が戻ります。手術の準備をしっかり行い、医師の指示に従えば、高い満足度が得られる治療法です。最新の人工関節は耐久性が向上しており、適切に使えば10~20年以上持つこともあります。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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