糖尿病と向き合う:回復・管理のためのガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
糖尿病は、血糖値(血液中の糖の量)が高くなりすぎる病気です。治療や生活習慣の改善によって、血糖値を目標の範囲に保つことが「回復」につながります。2型糖尿病では、健康な生活習慣により血糖値が正常化する「寛解(かんかい)」と呼ばれる状態になることもあります。
重要な事実
- 糖尿病は長く続く病気ですが、毎日の管理で合併症を防ぎ、健やかに暮らすことができます。
- 血糖値を測ること、食事・運動・薬の管理を続けることが大切です。
- 2型糖尿病の一部の人は、減量や生活改善で血糖値が正常になる寛解をめざせます。
とても一般的な病気です。日本では成人の約6人に1人が糖尿病またはその予備群とされています(厚生労働省の調査より)。
子どもからお年寄りまで、年代を問わず起こりえます。1型糖尿病は子どもや若い人に多いですが、2型糖尿病は中高年に多く、最近では若い世代にも増えています。
症状
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない → 119番
- けいれんを起こしている → 119番
- 低血糖で見当識障害がある、倒れそうになる → 119番
- 深く速い呼吸や、吐く息に甘い果物のようなにおいがある → 119番
- ⚠血糖値が非常に高い、または低いと測定されたが意識はある
- ⚠嘔吐や腹痛が激しい
- ⚠高熱や悪寒がある
- ⚠足に深い傷や感染がみられる
一般的な症状
- のどがよく渇く
- トイレが近い(特に夜間)
- いつもより疲れやすい
- 視界がぼやける
- 傷が治りにくい
- 体重が急に減る(特に1型糖尿病)
子供の症状
- 夜尿(おねしょ)が続く
- 体重が減るのに食欲はある
- 元気がない、ぐったりする
- 吐き気や腹痛をともなうこともある
高齢者の症状
- 症状が現れにくく、食欲不振や脱水を起こしやすい
- 転びやすい、足のしびれや痛みを感じない
- 意識がぼんやりすることがある
- 膀胱炎や肺炎など感染症を繰り返す
原因
主な原因
- インスリン(血糖を下げるホルモン)の出が少ない、または働きが悪い
- 1型糖尿病は、自分の免疫がインスリンを作る細胞を壊してしまうことで起こる
- 2型糖尿病は、遺伝的な要因に運動不足や過食などの生活習慣が重なって起こる
リスク要因
- 家族に糖尿病の人がいる
- 肥満(特に内臓脂肪が多い)
- 運動不足
- 高血圧や脂質異常症がある
- 妊娠中に糖尿病になったことがある(妊娠糖尿病)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 極端なのどの渇き、急な体重減少、吐き気などの強い症状がある
- 血糖測定で極端な高値・低値が続く
- 感染症や発熱をくり返す
- 意識の変調がある(緊急対応が必要)
定期受診を予約すべき場合:
- 定期の通院(医師が決めた間隔)
- 年に1回の健康診断の血液検査
- 足のチェック、歯科検診、眼科検診
- 療養指導士や栄養士の相談
診断
血液検査で、空腹時血糖値、ブドウ糖負荷試験、ヘモグロビンA1c(HbA1c)などから診断します。家庭用の血糖値測定器だけでは診断できません。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖値:朝食前の血糖を測る血液検査
- ブドウ糖負荷試験:糖を含む飲み物を飲んで血糖の変化を見る検査
- ヘモグロビンA1c(HbA1c):過去1〜2か月の平均の血糖状態を表す血液検査
- 尿検査:尿に糖やケトン体が出ていないかを見る検査
診察で予想されること
診断後は、医師から治療目標や生活改善の説明があります。まずは無理のない範囲で食事・運動・薬の使い方を学んでいきます。定期的に通院しながら、自分に合った管理方法を見つけましょう。
治療
糖尿病の治療は、血糖値をなるべく正常に近づけて、合併症を防ぐことです。治療の柱は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つです。日本の厚生労働省のガイドラインでも、生活習慣の改善と定期的な受診を大切にしています。よりくわしくは、かかりつけ医や糖尿病専門医に相談してください。
自宅でのセルフケア
- 医師や栄養士の指導に沿って、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事をとる
- 食後に軽い歩行や体操などの運動を習慣にする(1日30分程度をめやす)
- 医師から指示された血糖測定や記録を続ける
- 足の傷がないか、日常的にチェックする
- 禁煙や節酒を心がける
医療治療
薬物治療は、血糖値が高い状態が続く場合に医師が考えます。飲み薬のほか、注射薬や貼り薬、血糖値を自動で測る装置など、さまざまな選択肢があります。どの治療がよいかは、年齢・糖尿病の型・生活スタイルなどから医師が判断します。必ず医師の指示に従い、自己判断で止めたり増やしたりしないでください。
手術が検討される場合
重度の肥満をともなう2型糖尿病では、減量手術(バリトリック手術)が血糖改善に役立つことがあります。ただし、手術は誰にでもすすめられるものではなく、専門チームの評価と術後の継続的な管理が必要です。日本では健康保険が適用される施設がありますので、主治医に相談してみましょう。
この病気と共に生きる
糖尿病の治療は、続けやすさが大切です。毎日の記録や習慣を無理なく整えられるよう、医師や療養指導士と一緒に目標を決めましょう。うまくいかない日があっても、次の日で調整できれば大丈夫です。自分のペースで管理を続けることが、回復への近道です。
生活習慣のアドバイス
- 決まった時間に食事をとる
- 睡眠時間を十分とり、疲れをためない
- ストレスを感じたらリラックスする時間を作る
- 禁煙する
- 飲酒は医師に相談する(飲んでもよい量は人により異なります)
- 外出時には低血糖に備えてブドウ糖や飴などを持ち歩く
食事と運動
食事は「どか食い」や「まとめ食い」を避け、野菜から食べるなど食べる順番にも工夫をしましょう。運動は、歩く、階段を使う、家でラジオ体操をするなど、無理なく続けられる方法で構いません。目安は「1日30分歩く」こと。続けることで血糖値が改善しやすくなります。
精神的健康と心の健康
糖尿病の管理は「自分を責める」ことではなく、自分の体と向き合うステップです。落ち込んだり不安になったりするのは自然なことです。そうした気持ちを家族や友人、医療者に話してみましょう。うつ症状が続く場合は、遠慮なく主治医や専門の相談窓口に相談してよいのです。
予防
2型糖尿病は、日常生活での予防が可能です。過食や運動不足を見直し、健康的な体重を保つことで、発症を遅らせたり防いだりできます。一方、1型糖尿病は予防方法がまだ見つかっていません。
ワクチン
糖尿病の人は感染症にかかると重症化しやすいため、季節性インフルエンザや肺炎球菌のワクチン接種がすすめられます。かかりつけ医と相談し、時期と種類を決めましょう。
検診プログラム
健康診断での血液検査は、血糖値の異常を早く見つける大切な機会です。年に1回は受けましょう。妊娠を予定している人は、妊娠前に血糖の検査を受けておくことも勧められます。
合併症
治療しない場合
- 心筋梗塞や脳卒中などの心血管病
- 腎臓の働きが落ちる糖尿病性腎症(透析が必要になることも)
- 網膜の血管が傷む糖尿病性網膜症(失明の原因になることも)
- 神経の障害による足のしびれ・感覚低下、足の潰瘍(えそう)
- 感染症にかかりやすくなる
長期的な見通し
糖尿病といわれても、適切な治療と生活習慣を続ければ、多くの方は合併症を防ぎ、健康で活動的な毎日を送ることができます。血糖値を改善できれば、薬が減ったり、飲まなくてもよい状態になったりする方もいます。焦らず、一歩ずつ取り組みましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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